32.未知の恐怖
結局、両方ともスキル取得しないで保留する事になった。
【樹】は佐藤兄妹のどちらかに決定してはいるが、【治癒】に関してはモンスター氾濫時に備え、医学知識を持つ人間に取得してもらった方が良いのではないかと言う事で落ち着いた。
特に今のところは治癒スキルが必要な場面は無いしね。
万が一の時は天井から脱出すれば良いし、myダンジョンに入ってすぐの脇の荷物スペースに保管して備えておけば、何とかなると思う。
では、久し振りにダンジョン探索再開だ。
………………
…………
……
遺跡エリア奥を進んで広々とした礼拝所へと抜け出ると、礼拝所の途中からは切断された様に次の領域へと変わり、今度はうって変わって大小様々なキノコが立ち並ぶ領域になった。
キノコは大きなサイズで10メートルくらいの高さはあると思う。
一番小さいのでも、ちょっとした椅子くらいの高さはあるね。
毒々しい色してるけど、これって食えるのかな?
「こらまた異世界だね~。」
「ダンジョンだと分かっていても、にわかに信じられない景色でござるな。」
キノコエリアに入って暫く歩くが、モンスターは一向に現れる気配がない。
だけど、段々と胞子が舞う濃度が濃くなってきていて、若干視界が悪くなってきた。
……今思ったんだけど、この胞子って吸って大丈夫なのか?
問題提起した方が良いのかな? と、思いながら歩いていると、マサやんが脇に何かを見つけた様だ。
「ん? 何だありゃ?」
何か気になる物でも見つけたのか、マサやんは急に方向転換して横道に逸れると、何かに近付いて剣で突ついてる。
ウ○コでも見つけたのか?
「おう、どうしたマサやん……。」
加茂が声を掛けながらマサやんに近付き、何か一瞥した瞬間に急にこちらを向いて全員に引き返す様に言った。
「今来た道をすぐ戻れ! 話は後だ!」
「え? え?」
訳も分からないまま、全員が走って引き返す。
え? え? 何なに?
何がヤバイのか判らないのが一番怖い。
教えてっ!?
何見つけたの?
チョ~怖いんですけど。
説明を要求する!
………………
…………
……
「「「「ハア、ハア、ハア……。」」」」
猛ダッシュして遺跡エリアまで帰って来た。
……さあ、君達は何を見てしまったのか説明して貰おうか?
「……冬虫夏草だ。」
はい、ヤバい~!
やっぱりね!
やっぱ、あの胞子は吸っちゃ駄目なやつだったわ。
「あん? 冬虫夏草?」
「冬虫夏草は確か、生きた虫を苗床にして育つキノコでござる……だとしたらあのまま進むのはかなり危険だったでござるな。」
「ああ、どおりで魔物が一匹も見当たらなかった訳だわ。 異世界産の菌だと育つ早さも違ったかもしれんからな。 あそこでマサやんが見つけてなかったら早々に全滅してたかも知れん。」
いや、マサやんお手柄だよ。
ウ○コ突ついてるなんて思ってごめんよ。
って言うか、結構な量の胞子を吸っちゃったかもしれないんだけど大丈夫かな?




