21.チーム名は大事
次の休日、ダンジョン前でマサやんと待ち合わせしたので向かうと、いつもと違ってゲート前の広場は変な雰囲気だった。
何かいつもと違うなと訝しみつつもマサやんを探して歩いていると、金の刺繍が施された紫色の特効服を着たマサやんが元気に声をかけてきた。
「チーッス! 今日はヨロシクな!」
「う、うん。 やっぱ特効服なんだ……。」
「ハッハッハ!」
「気合いブリバリよっ!」
……ああ、成る程ね(察し)
「朝から気合い入ってるね……あっ、これがパーティーのエンブレムね。 これがないと一緒にダンジョン潜れないから。」
「おっ、悪ぃな。 これタマゴか?」
「うん、良いデザインが思い付かなかったからこれで良いかなって。」
同じアイテムを身に付けないと別々のダンジョンへと飛ばされてしまうので、ダンジョン付近にある探索者御用達の店でオリジナルバッジを作ってくれるサービスがある。
加茂と組む事になった時に作った物だ。
猫を象ったバッジで目の部分にタマゴの特徴である傷を示す小さな線が掘ってある。
当然、俺も加茂も身に付けてるよ。
「へへっ、これで俺もチームの一員って訳だな。 そう言えばチーム名って何っつーんだ?」
「え? んなもん無いよ?」
「っくぁー! おいおい、冗談じゃナイジェリアだぜ? チーム名が無きゃ、ビッとしねえだろが」
何だその言い回し。
初めて聞いたわ。
何か良く分からないけど、マサやん的には大事な事らしい。
額に手をあて、アチャーみたいなポーズをとっている。
「まあまあ、落ち着けよマサやん。 最近、パーティーを組みだしたからまだ決まって無いと言うか考えて無かったわ。 今日は潜るだけ潜って後で考えようぜ。」
「……しゃあねえなぁ。 確かに今、適当に考えるって訳にもいかねぇからな。 良し、そんじゃ行くかぁ。」
そう言ってマサやんは身を翻し先へと進む。
そんなマサやんの背中には【悶鬼威】という漢字の刺繍が大きく施されていた。
………………
…………
……
「ほー、マサやんは日本刀を使うのか。」
「ああ、これはレプリカだけどな。 実家にはこれしか無かったから持ってきたけどよ、日本刀ってあんま良く無えみてえだな。」
マサやんはイメージ通り日本刀を持ってきたが、どうやら自分なりに勉強してきたらしい。
ゴブリンを倒した後、納得いかなかったのか、渋い顔をしてレプリカの日本刀を見つめていた。
それにしても、家にレプリカとは言え日本刀がある家って、お父さん何やってる人なの?
「じゃあ、これ使えよ。 スケルトンが使ってたナマクラの剣で悪いけど、一応研いでおいたから、それなりに使えると思うぜ?」
「おっ、悪ぃな。」
加茂はそう言って先日倒したスケルトンの剣を渡す。
一応、予備にと一本とっといたのだ。
そして、試し切りにとゴブリンを探し出し、何合か斬りつけて倒した。
「おっしゃ、これならイケるな。」
今度はどうやら満足したらしい、なかなか気にいったようだ。
……それにしてもアレだな。
マサやんの風貌もさることながら、特効服にショートソードって凄い絵面だな。
別の意味で異世界感が凄い。




