第二章エピローグ『遷ろう世、変わらぬ空』
「ホントだよォ、空に腕がぐーんて──」
「嘘おっしゃい、馬鹿言ってないで支度してきなさいっ」
秘密裏に動いていたオリヴィーの騒乱だったが、滅亡の危機にまで追い詰められた結果、やむを得ず取ったキヨシの行動により、一般の住民も知るところとなった。
噴火の被害は最小限に抑えられたが、オリヴィー西側の採掘基地周辺は、地図の書き換えが必要なレベルまで崩壊。また、巻き上げられた砂漠の砂と火山灰により、作物は住民の迅速な対応により大した被害を受けなかったものの、その日一日の天気は荒れに荒れた。
だが、住民たちの間で話題となっていたのは、そこではなかった。
「オイ! 聞いたか、見たか!?」
「ああ、聞いたよ! 『ザマミロ空賊ヤロー』だッ!!」
ドッチオーネ空賊団の崩壊──早朝、数十人のガーゴイルたちが酷く恐慌した状態で、街中の衛兵隊屯所に出頭してきたのだ。供述内容自体は支離滅裂だったが、それでも一定の信憑性があると判断された。事実、西の採掘基地は溶岩に飲み込まれて崩壊し、ティナが発していた暴竜の気配を、街の住民全員が感知していたからだ。
現場調査に向かう道中、下手人不明のガーゴイルの惨たらしい遺体が大量に発見されたのも、噂に拍車をかけていた。
そして──
──────
「……ぐ…………」
闇の中から目覚めたキヨシは、視界いっぱいに広がる蒼玄を、ぼうっとした意識の中漫然と眺めていた。自分がどうしてそうしているのかイマイチ掴みかねていたが、全身を苛むチクチクとした痛みに意識が覚醒していくに連れ、記憶も戻っていく。
「──うおおおおッ痛ッて!!?」
全てを思い出したキヨシは跳ね起きようとしたが、右肩を刺すような痛みと、腰回りのベルトという物理的な障害に阻まれた。どうやら今キヨシは、飛行機の座席で眠りこけていたようだ。ワケも分からぬまま辺りをくるりと見渡すと、心底驚いた顔をしたまま固まったティナが目の前に──
「……キヨシ、さん?」
「あ……ハイ、どうも。キヨシでェす──わぷッ!?」
寝起きで若干間抜けな反応をするキヨシの視界は、抱きついてきた温かく柔らかなティナの身体に遮られた。 手元にいたドレイクが機内の床に落ちて悲鳴を上げていたが、ティナには聞こえていない様子。
「キヨシさん……ギヨジざん゛!! あ゛あ゛あ゛ーーーーッ、よがっだあ゛!!」
「あばばばば! 何なにナニ!?」
抱き付くなりうじゃじゃけた顔で声を上げて泣き出すティナについて行けず、置いてけぼりを食らうキヨシだったが、
「おう、起きたかクソ白髪。もう二度と起きないかと思ったわよ」
飛行機の操縦席をしながらキヨシをからかうカルロッタの物言いで、状況をなんとなく察した。
「ガル゛ロ゛のばがぁ!! 縁起悪いごど言わないでよお゛!!」
「あの、ティナちゃん。取り敢えず離れてもらえる? 俺がロッタに殴られる前に!」
「別にそんなことしないって。ティナったら、アンタが心配過ぎて離れねえわ、メシも食わねえわ、ろくすっぽ寝ねえわ……しゃーないってなモンよ。ま、三日も目を覚まさなけりゃね。感謝しなさいよ。アンタが地下から吹っ飛ばされて助かったのも、ティナがいてこそだったんだから」
カルロッタにそう言われて顔を上げると、目の隈が浮き出たティナの顔が目に入る。自分の行動を省みると、確かに随分心配をかけるムーブをしているように思えた。おまけにこの満身創痍となれば、尚更だ。
「そうか…………ゴメンな、つらい思いをさせちまった──ん? ちょっと待て、今『三日』っつったか!?」
「そ。アンタ、地下で何やってたのか知らんけど、身体中ガタガタだったんだから。それくらいしなくっちゃ、ロンペレは斃せなかったんでしょうけどね」
「ロンペレを──てことは、オリヴィーは!?」
「大丈夫、ロンペレの死体はまだ出てきてないけど、消息不明。オリヴィーも人的被害は確認されてない。火山灰で作物が少し不作になりそうだけど、オリーブは収穫時期を過ぎてるから、大局に影響はないってさ」
「……そう、か」
「キヨシさんが、オリヴィーを救ったんですよ──わ!?」
カルロッタの口から語られたオリヴィーの現状を聞いたキヨシは、先程まで抵抗していたのとは逆に、全身の力を抜いて、ティナの身体に身を任せる。
「本当によかった……!」
心からの安堵。戦いの終わりから三日目にして、キヨシはやっと、自分が『やり遂げた』ことを実感できた。
「もう、キヨシさんの方がずっと大変なのに、何言ってるんですか」
「それはそうと、いつまでこうしてんだ?」
「イヤです?」
「いやむしろちょっと嬉しいけど」
「くふふっ、キヨシさんフケツ!」
「そーいう意味じゃねーわ、このマセ──ん?」
ここでキヨシ、ようやく違和感に気付く。今、キヨシは危うく『マセガキ』と口走りそうになったが、ティナはそんな子ではない。断言できる。そして、もう一度ティナの顔を観察してみると、目蓋をきゅっと閉じている。まるで、目を見られたくない、と言わんばかりに。
【セ、セカイさんやり過ぎ!やり過ぎですからぁ!!】
そして何より、キヨシの脳内に響くこの慌てた声。
「……セーーーカーーーイイィィーーーーーッ!!」
「くふふっ! バレちった♡」
「どの辺りから!」
「ロッタさんのお墨付きを貰った辺り、かな?」
カルロッタが『しゃーない』と言った辺りからティナが引っ込み、セカイが表に出てきていたようだ。そしてティナが抱き締めていたのにかこつけて、キヨシをからかっていた、と。セカイの平常運転だ。
「あんまり驚かないねぇ、ティナちゃんの声も聞こえてるの」
「……驚いたよ。けど、今回のことも含めて……そういう兆候は前からあったからな。つーか離れろ。危ねーって、ベルトつけて着席してなさいよ」
「やだ。きー君に掴まってれば平気だもん」
【やだ、じゃなくてえ!!】
「じゃ、離れてもいいんだ?」
【えっ】
唐突なセカイの宣告に、ティナは戸惑う。以前なら言っている意味が分からず、即答しただろう。
今は違う。キヨシがすぐ傍にいるだけで、どこか安心する──いや、それ以上。どこか温かで、幸せな気持ちになる。それがセカイにダダ漏れであると考えると─幸い、キヨシには伝わっていないが─非常に気恥ずかしい。だが、そんな気持ちの源を手放したくない自分も存在する。
相反する二つの心持ちを天秤にかけたティナが、最終的に出した答えは、
【もうちょっとだけ……なら】
「え、あっ……えええーーーッ!? ぎゅうッ」
「きー君、照れてンだァ~~~~~~かわゆいのォ~~~~~~~!!」
セカイがキヨシを抱き締め、頭を撫でくり回す感触は、内に引っ込んだティナにも伝わり、幸せ気分に拍車がかかる。
何故こんな気持ちになるのか、ティナ自身にも分からない。キヨシが目覚めた安心もあるかもしれないが、本質的には違う気もする。何故ティナが自分の気持ちを理解できないか──理由は単純明快、これまでティナが味わったことのない感情だから。
ちなみに、セカイはその感情の正体を知っている。だが敢えて言わずにおいた。"ライバル"にわざわざ教えてやることはあるまい、と思ったのだ。反応が可愛いというのもあるが。
「照れッ!? ああもうやめッ……ええいロッタ! 殴る蹴るしていいから引き剥がしてくれ!」
「アンタを?」
「俺を!」
「さっき『殴られる前に』って──」
「いいから!」
「見てて面白……ベルト外すの危ねーから、もうちょっとこのままで」
「今なんて言おうとしたコラァ! 前は俺を蹴っ飛ばしたクセにィ!!」
キヨシの悲鳴半分のツッコミで、機内は笑い声に包まれた。キヨシが目を覚まし、こうして笑い合えたことで、オリヴィーの動乱は完全なる終局を見たと言えるだろう。
「ま。精々自分の心配してろ、"重症患者"。右肩はちゃんと入ったけど、『慣らし』が必要になるってヴァイオレットが言ってたわよ」
「あ……そうなの? だったらむしろ寝かしといてくれよ。なんだって飛行機に……」
「下」
「下? な──」
カルロッタに言われるがまま、機外に目を向けたキヨシは愕然とした。眼下に広がっていたのは、陸地一つ無い一面の大海原。そう、ここはもうオリヴィーではなかったのだ。
「海!? なんで洋上を飛行……まさか、もうアティーズに向かってるのか?」
「話が早くて助かるわ。ホントはアンタが目を覚ますまで、オリヴィーに滞在するつもりだったんだけど……ちょっと事情が変わってね。半ば脱出に近い形で、昨日オリヴィーを出た。あのクソッタレ騎士にお膳立てもしてもらってね」
「クソッタレ騎士……まさかジェラルドさんのこと言ってんのか? つーか事情って何よ?」
よもや、空賊団の残党に襲われたかなどと考えていたキヨシの思考を先読みしたらしく、カルロッタはキヨシがそれを口にする前に、
「アンタが想像してるより……ずっとヤバイ事情よ」
──────
一方その頃。オリヴィー中央街のとある宿にて。
「……よかったのか? 彼等を我々の監視下から脱出させるだけでなく、手まで貸すなんて」
「むしろ、その方がいい」
「何故?」
その一室の窓から、噂に流れ行く街並みを眺めながら、レオは手元の紙片を読み眺めるジェラルドに、キヨシたちを送り出した理由を問うた。
「我々の監視下というのはつまり、法王府のお膝元ってことだ。あんなの近くに置いといたら、間違いなくいずれ存在がバレる。混乱は必至、国の偉い人たちがビビって弾けて、余計な争乱の火種になり、何もかも全部ご破算になるのは目に見えてるさ」
「……それだけではないんだろう?」
そう、ジェラルドもレオも、キヨシが『創造の使徒』などというデタラメを吹いていたことを、とうの昔に見抜いていたのだ。どういう事情であの右手の力を手にしたのかは、今の二人には知る由も無いが、少なくとも、ヴィンツ国教騎士団団長に口利きや物言いができる立場の人間ではない、ということは最初から分かっていた。
だが、それでも二人はキヨシと友好的な関係を築く選択をしたのだ。
「当然。彼等は──いや、彼。『キヨシ・イット』は『革命の嚆矢』と成り得る。今の内に恩は売っといた方がいいと思ってな」
「『革命の嚆矢』……あの青年がか? オイ、どこへ行く」
「出るぞ」
「は? 待て、分かるように言え」
ジェラルドは紙片を丸めてくずかごに投げ捨てて立ち上がり、部屋を後にする。レオもその後に続いた。
「俺たちの戦いは、長く、永く続くと見ていた。とても俺が生きてる内には不可能だと思ってたんだがなぁ。嬉しいような、面倒なような」
「彼が現れたことで、"計画"が前倒しになったと?」
「どの程度かはさておき、間違いないと思ってる。彼等はまだまだ強くなり、多くのことを知っていくだろう。そしていつか、必ずまた我々と相見える。問題なのは、どちらが早く接触できるか」
「……こちらが早ければ?」
「その時こそが、立ち上がるべき時になるだろうな」
ジェラルドはいつものおちゃらけた顔とは打って変わった、ヴィンツ国教騎士団団長の──否、『ジェラルド・キャスティロッティ』としての顔を表面化させた。
「さて……法王府に戻るぞ」
「何? 予定では、もう数日休暇──ッ!!?」
宿の受付まで降りてきた二人を待っていた男を見たレオは仰天した。
「……ンッフッフッフ、いやいやいやはや。お待ちしておりました。我等が団長と、そのご子息様」
長髪に痩けた頬、そして純白の鎧以外寸鉄一つ帯びていないその出立ち──二人は彼を知っていた。騎士団内でも、腕っこきの同僚だからだ。
「貴様……何故ここにッ!? フェルディナンドッ!」
「何故も何も、空賊団が起こした内乱の事後処理に。それが私では、何か問題でも?」
そう。ヴィンツ国教騎士団にてレオと同じ分隊長職を務め、キヨシの指を切断した張本人──魔弾のフェルディナンド、その人だった。
「よう、フェルディナンド。手紙、確かに受け取ったぜ」
「ッ!? まさかさっき部屋で眺めていた紙片は!」
「……一昨日、宿に戻ったらテーブルに置いてあって驚いたよ。途中で濡れたのか、ふやけてぐにゃぐにゃになってたけど」
──道理で事が済んでも、この街を離れなかったワケだ。
先程部屋で投げ捨てた紙片は、フェルディナンドが直接ジェラルドに宛てたもの。内容を掻い摘まむと、『今向かうのでそこにいろ』と鼻につく丁寧な文章で記してあった。本来なら事が済んだらトンズラするはずだったジェラルドだったが、先手を打たれて動けなかったのだ。
「しかし、変な話だ。内乱が起きたのが一昨々日の晩から一昨日明朝にかけて。そんで、手紙の到着から二日後にここへ……どう急いでも、五日は前に出発してないと、所要時間の計算が合わねえんだが……どういう経路で、ここの騒乱を知った?」
「匿名の通報、ですよ。早速ですが、西の森林地帯で発見された空賊の遺体について、お二方から話を聞きたい……たまの休暇中に恐縮ですが、お戻りを」
「了解した」
「ジェラルドッ!!」
元々内密に処理しようとしていた事柄。あまり喋り過ぎると、ためにならないという懸念からレオは声を荒げるが、
「ただし! こっちの話も聞いてくれよな。連中に襲撃されて壊滅状態の善良な集団の話とか含めて、経過が複雑なんだ」
「……ンッフッフッフ。善処致します」
ジェラルドもただで転ぶ気はないようで、相手への心証も考慮した上で、トラヴ運輸の再興にも利用できるという考えの元、大人しく従うことにしたのだった。
だがそれも今だけだと、親子はそう考えていた。全ては、二度の此度のような災禍を起こさないため、そして自分たちのような存在を、二度と生まないために。そのために──
──この体制を……教皇を、打倒する。
──────
「騎士の追っ手!? 事が起きて二日でなんて、早過ぎるだろ!」
「出るしかなかったのはそういうワケ。遭遇する前に出られたけど」
「……なるほどな」
目を剥いて話を聞いていたキヨシだったが、それが終わると座席に深く座り直し、後ろ髪を引かれる思いでやってきた方向──オリヴィーの方を振り返った。
「ケケ、心残りでもあるのか?」
「あるさ。トラヴの皆に、ちゃんとお別れをしておきたかったんだけどな……」
ドレイクの軽口に対しにべもなく、しかし一抹の寂しさをのせて、キヨシは呟く。
やるだけやった。かけるだけの言葉もかけた。キヨシは自分でそう思っていたが、いざこうして離れてみると、もっと色々とやれたのではないか、と思わずにはいられない。
「それは、大丈夫だと思います」
と、センチメンタルに浸っていたキヨシの後ろから、ティナが『心配無用』と声をかけた。
「お? ティナちゃん戻ったか。で、大丈夫だってのは?」
「トラヴ運輸の皆さんから、言伝を預かってます」
「言伝?」
「『私たちの英雄によろしく。またおいで』──だそうです」
それを聞いた瞬間、キヨシはすぐに後部座席のティナから目を逸らし、前へと向き直った。
「……英雄なんざ、ガラじゃねえって」
「言うと思いました。でも……キヨシさんが悩んで、戦って──その結果として、オリヴィーの平穏を勝ち取った。トラヴ運輸の皆さんも、言い方は悪いかもしれませんけど……もう誰一人、怒りや憎しみを原動力にしている人はいない。キヨシさん。皆、『またおいで』って言ってくれたんですよ? アレッタさんが言ったとおり、犠牲になった人たちの分まで懸命に生きる選択ができるのも、きっとキヨシさんのおかげ。だから──」
ティナは少し緊張した面持ちで、ふぅっと息を吐いた。
「キヨシさんは、褒められていいと思うんです」
ティナもセカイも──どころか、恐らくカルロッタやアレッタ、そしてレオたちでさえ、今回の件においてのキヨシの功績を疑わないだろう。この件の引き金を引いたのはキヨシかも知れないが、少なくともそれを差し引いても余りあるだけの活躍をしたのもまた事実。これは当事者の誰も疑う余地のない、正当な評価なのだ。
だが、自分という人間への評価がとてつもなく低いこともあり、キヨシは"英雄"などと持て囃されることに、あまりピンときていなかった。
「ったく……ガラじゃねえって言ってんのによ。第一、今回の件は誰が欠けても上手くいかなかった……俺はあくまで代表しただけ──」
ここまで語ったところで、ティナがキヨシの顔と肩を後ろから掴んで、無理矢理自分の方を向かせた。そうしてキヨシの目に写ったのは、可愛らしいがどこか怒ったような表情でキヨシの目をじっと見るティナ。そして、心に響いてくるもう一人の感情。
「【これ、二人でやってるんだから】」
こうなると、キヨシは観念する他ない。
「でも、まあ……気持ちだけ受け取っとく、かなァー……」
「ふふっ、よしとします」
「でも! 誰が欠けても上手くいかなかったってのもマジだからな。だから、ティナちゃんもセカイもロッタもドレイクも皆みんな……褒められていいと思うぜ」
「へっ!? あの、それは、その…………」
「助けてくれたんだろ?」
「で、でもっ! キヨシさんが地下に残ったのは、私が──」
「そんなん、俺も同じさ」
「うっ、うぅ~~~~~~っ……!!」
逆に褒められるとは思っていなかったらしく、顔を紅潮させて地下で着せられたキヨシのジャケットを被って縮こまる。その姿がどこか愛らしく思えたキヨシが噴き出すと、釣られてティナも笑い出す。
最初の一歩はとても小さく、たどたどしいもの。それはキヨシだろうと誰だろうと変わらない。重要なのは、どんなに小さくてもただ踏み出すこと。
キヨシもまた、ティナやセカイから勇気をもらったのだ。
持ちつ、持たれつ──それでいい。願ってもない。それだけで皆幸せだ。
「さて、もうすぐアティーズね。アレッタには悪いけど、今回の件は言っちゃえば寄り道だからね」
「あ、そーいや考古学者志望だったなお前」
「人のこと言えた義理かこの野郎……最近絵を描いてるとこ全然見てねえぞコラ」
「俺が絵描き志望だって、覚えてくれてんのか! イェーイ、嬉ピー」
「キィィィ、ムカつくゥっ!!……ま、もうアタシを縛るもんは何もねえ。思う存分やってやるわよ!」
「楽しみだね、ドレイク!」
「もう二度と飛行機使いそうにない所を願いたいね、俺ちゃんは」
めいめい、思うことは様々だ。しかし皆が向いている場所は同じ。
「ともかく、これでようやっと本筋ってワケだな。待ってろよ、アティーズ!!」
【待ってろーっ!!】
「ろ、ろー!」
キヨシ一行を乗せた飛行機は一路、東の島国『アティーズ』へと向けて飛んでいく。
快晴の空──西から東へと追い風が吹いていた。




