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第二章-11『心折れず』

 良い知らせと悪い知らせがある。


 今日でも定番の決まり文句だが、今まさにキヨシたちが置かれている状況にはそのような気分があった。


「オイ白黒! 大丈夫かッ!?」


「あ、ああ……」


 そしてキヨシの疲れ果てた脳ミソは、無意識に良い知らせの方を優先して認識する。


 キヨシとガーゴイルの間に入ったのは、キヨシ側の援軍だった。アレッタが何らかの理由でこちらの危機を察知し、トラヴ運輸の倉庫から探しに来てくれていたのだ。地獄に仏とはこのことか。


 そして、悪い知らせ。キヨシもティナも心情的には拒絶したいところだったが、目の前でガーゴイルを組み伏せてその上にドカッと腰を下ろす『白銀の鎧』の存在感が、それを許さなかった。


「一飯の礼をと思って、探していたんだがな……これは一体どういう状況なのか、説明願いたい」


 夕方に遭遇したヴィンツ国教騎士団の団員に見つかってしまったのである。


 状況的には差し引きゼロ、いやどちらかと言えばキヨシたちの方が若干分が悪い。この路地は一本道、背後はゴミの山、脱出したければ騎士を超えて進まねばならない。


 そうなると、頼みの綱はやはりアレッタの飛行能力か。


「クッ……ソオオオオ!! どけこのチビ野郎オオオオオォォーーーーーーッ!!」


 突如地に伏すガーゴイルが吠え、頭を、棍棒をブンブンと振り、体をあちこちの壁やゴミにぶつけて騎士を振り落とさんと暴れだした。騎士が小柄とはいえ、重そうな鎧も着込んでいるし、組み伏せられた状態からよくもまあやるものだ。


 さしもの騎士もこれには堪らず空中に放り出されてしまう。さらにガーゴイルは追撃せんと棍棒を大きく振りかぶる──が。


「フン、デカい図体に対して脳が小さいようだな。酔いに任せて暴れることしか知らないとはね」


 小柄の騎士は放られながらも未だ余裕の態度。微かに笑みすら浮かべている。


「なんだとテメエェエエエエ、許さ──」


 メキリ、と湿った音がキヨシの耳にも届いた。


 奴は何が起こったのか理解できない顔をしているが無理もない。本来、空中にいた騎士には棍棒を避けようがないのだから。


 しかしあの騎士は、旋風に舞い踊る木の葉の如く空中でくるりと回って振り下ろされた棍棒を躱し、背負っていた長槍に遠心力をたっぷり込めて横に薙ぎ、ガーゴイルの頬骨を砕いたのだ。


 その瞬間、キヨシとティナ、そしてアレッタの三人は風に揺れる騎士に、確かに見た。


 小柄な騎士の耳は『いかにも』といった感じで尖っていて、そしてその体は完全に重力に逆らって浮遊していたのだ。


 騎士が槍を手の平でくるっと回して持ち替えて、持ち手の先端で白目を剥いたガーゴイルの額を小突いてやると、巨体はグラリと揺れてそのまま倒れてしまった。


 たった一撃で、決着してしまったのだ。


「あの挙動……そしてあの長槍は、まさか……」


「な、なんだよ! アイツを知ってるのかよ!?」


「まさかとは思うけど……」


 その様を呆然と見ているしかなかった三人だったが、アレッタはあの騎士が何者なのか勘付いたようだった。


「そのまま眠っていろ──む」


 異形を一撃の下に叩き伏せた騎士に「おうい」と声をかけ、ラフな格好の中年の男が肩で息をして近付いてきた。


 彼もまた、この騎士と共に喫茶店で遭遇している。


 小柄な騎士は溜息と共に眉間を揉んだ。


「フゥ〜ッ……や、やっと追いついたぞ……なんだ、今どういう状況だ」


「隊列から遅れるなと言った! 今日だけで二度目だぞ」


「俺とお前しかいないと言った! 今日で二度もォ! 第一、空を飛べるお前に追いつくなんて無理だ! それに今は休暇中だろォ!? 鎧まで着てきやがって」


「こういうことが起こり得るから着ているんだよ、『ジェラルド』」


「『レオ』、お前そんないつも気を張り詰めて、疲れないのか?」


 名を呼び合う二人を見たティナは目を見開き、口元を両の手で抑える。その表情は驚愕に満ちていた。


「……まさか、『ジェラルド・キャスティロッティ』と『レオ・キャスティロッティ』!?」


「二人だけで理解して話を進めるなよ! なんだ、そのキャスティロッティってのは!」


「父さんから、聞いたことがあるんです」


 父さん、つまり衛兵隊の重鎮フィデリオからの伝聞ということ。この時点でもう嫌な予感しかしない。


「鎧を着ている方が『空飛ぶ騎士』レオ・キャスティロッティ……そしてもう一人がその父親の、ヴィンツ国教騎士団『騎士団長』様、ジェラルド・キャスティロッティ……です」


 頭をトンカチでブン殴られたような衝撃に口癖である『マジィ?』すら出てこなかった。


 『分が悪い』どころではない。この子供に呼び捨てにされて振り回される冴えない男は、なんとキヨシたちを追い回している組織の長だった。それがどういう因果か、休暇中にこの街のこの場所で出くわしてしまったのだ。


 あの日、フェルディナンドと交戦した際にその場にいなかったのも、喫茶店でのファーストコンタクトの際にキヨシたちをキヨシたちと認識していなかったのも、休暇中で不在だったからだろう。喫茶店ではキヨシたちを追わなかったのではなく、まだ知らなかったのだ。


 ──冗談じゃねえッ!!


 だからと言って、馴れ合いなど言語道断。リスクが高過ぎる。


 キヨシは自身の声が、そしてアレッタの名が騎士たちの耳に届かないようにできるだけ小声で、


「飛べるか!? すぐにここを脱出したいッ」


「え? で、でも……」


「戸惑うのも当然だけど、俺たちの事情は知ってるでしょ! 連中がそっちに気を取られてるうちに、早く!」


「待つんだ」


 呼び止められて声のした方を見やれば、小柄の騎士──レオが長槍を背に収め、手の平をこちらに向けて立っていた。交戦の意志が無いという証明のつもりだろうが、キヨシからしたらそんなことは関係ない。


「繰り返しになるが、まずこの状況について説明願いたい。それにこのガーゴイルは、ローブに入っている紋からして"ドッチオーネ"の構成員だろうが、君らのことを僕は知らない。合わせて説明を」


「ド、ドッチオーネ? い、いや俺たちは……その」


 ──おたくらの敵だッ!


「何を言い淀んでいるんだ? 何か疚しいことでも?」


「そ、それは……」


 ──あるんだよ、疚しいことならいくらでもッ!!


 対応をすればするほど、どんどん立場が悪くなっていく。すぐにでも逃げ出したいがそうはさせてくれなさそうだ。アレッタの力を借りようにも、向こうの不意を突けなかった時点で厳しい。レオの異名『空飛ぶ騎士』がまさにその通りであれば、向こうにも空を飛ばれてチェックメイトだ。


 絶体絶命。


 ──どうすればいい!? どうすれば丸く収まるんだッ……!?


 その時だった。


 背後のゴミの山から、焼けるような音と共に臭気が発せられた。騎士側も想定外の事象のようで、一行と同じだけ注意を引かれているようだ。


 今度は何だと背後を振り返ると、ゴミの山には凄まじい熱を感じる橙色の一本線。それがさらに一本、もう一本と刻まれていき、遂にはゴミの山は音を立てて崩れ、その中を謎の黒衣が勢いよくブチ抜いてきた。


 その黒衣は騎士たちやキヨシやアレッタ、騎士二人とその足元で伸びているガーゴイルなどには一切目もくれず、


「え──」


「何ィッ!?」


 トカゲの精霊を連れた少女の方へと一直線に迫った。


 ──狙いは、ティナちゃんッ!!?


 ゴミの山を焼き切り乱入してきた黒衣は、明らかにティナを狙ってまっしぐらに突撃してきていた。コイツが一体どこの何者なのか、いつから尾けられていたのか等々、疑問が浮かんでは泡と消える。


 しかしながら、成すべきことは明瞭としていた。


「させるか、よォッ!」


「──!」


 守る。ただのそれだけだ。


 横合いから間に入ったキヨシは、ティナの襟首を引っ掴んでアレッタの方へと放り、調子を確かめるが如く右手を一振り。それは黒衣の左手に弾かれこそしたが、なんとなく手応えがある気がした。


 右手を、とは言っても指に宿る異能を使うのは好ましくない。今背後にいるジェラルドとレオは、何も知らないとはいえヴィンツ国教騎士団の重鎮なのだ。


 であるならば、徒手空拳に頼る他ない。


 感情のまま右手を、左手を、半ば破れかぶれに振り回して黒衣と対峙する。が、素人丸出しの攻勢は、最小限の動きでひらりひらりと躱される。


「このッ──うおッ!?」


 苦し紛れのハイキックを放つも黒衣の頭部を捉えることなく腕に防がれた。さらに、喧嘩慣れしておらずジンジンと痛むその蹴り足を掴まれ、軸足を払われて地に叩きつけられ──そうになったのを地に手をついて防ぎ、その手を軸にした掴まれていない方の足蹴りが、黒衣の腹部に向けて放たれた。


 残念ながら命中こそしなかったものの、さすがにこれには堪らず、黒衣は手を放して飛び退く。そして手を離されたことによってキヨシは今度こそ地面に体を打った。


 この間数秒。ずぶの素人の割にはそれなりに渡り合えていると、キヨシは自負していた。そして、それと同時に気付いたこともある。


「……ちょーっと、容赦無さ過ぎるんじゃない? 私が『女』って見て分かんない?」


「俺の知り合いに、ゴミ山をブッちぎって幼女を攫いに来る女はいねえ」


 闘いの最中、黒衣のフードからチラリと覗く顔立ちや、キヨシの足を掴んだ指の細さ。見間違うはずもない。


 この黒衣、自称通り女性のようだ。


「おたくがどこの何者かはこの際どうでもいい。問題は、おたくが付け狙っているのがこの子──」


 キヨシは喋りながら足元に丁度転がっていた手頃な木片を不意打ち気味に蹴飛ばした。黒衣はやはり最小限、それも首を傾けるだけでひょいと避け、木片は焼き切られたゴミ山の残骸に突き刺さる。


 しかしそこは計算通り。さらにその避けた先、黒衣の頭に向かって足元のゴミを拾って投擲した。


 ゴミは黒衣の顔面にクリーンヒット。ダメージは無いに等しいが、重要なのはそこではなく、気を逸らすこと。そして視界を奪うことだ。


「ペッ、ペッ! うーっわ、汚っ!」


「それはゴミがか? それとも俺がか!?」


「──ッ!」


 不快感を露わにする黒衣に間髪入れずに接近し、攻撃の構えを取る。ダーティなやり方かもしれないが、一切の躊躇は無い。


 腰を深く沈ませ、ゴミだらけの汚らしい地をぐっと踏み込む。間違いない、このまま込めた力を解放すれば、虚を突かれた黒衣の顔面に右の拳が突き刺さる。


 ──これで、勝……ッ!?


 今まさに、拳が打ち込まれようとしている黒衣の顔面。これまではフードに阻まれてその全容は視認できなかったが、力を解き放つその瞬間、キヨシは見た。見てしまった。


 黒衣のその顔がティナの、セカイの面影を持っているのを。


「びーっくりしたけど……素人だ、ねっ!」


「ぐふァッ!!?」


 その事実が、キヨシの反応をコンマ数秒ほど遅らせた。


 視野の外から飛んできた拳を腹に受け、反射的に下がった頭に踵が景気良くめり込む。この動きからして、黒衣は確実に何かしら闘いの経験を積んでいるのが察せられる。さらに言えば、キヨシはその際の動きに覚えがあった。


 ──この挙動、カルロッタさんの……!


 戦跡の森で対峙し、殴りつけられた際に見た、カルロッタの動きに酷似していたのだ。


 黒衣は鼻血を流しながら倒れ伏し苦悶するキヨシを見下ろし、


「今、自分で気付いていないかもだけど、あなたは踏み込みつつもおーっきな、迷いを抱えてたね」


「……何の話だ」


「『迷うくらいならやめてしまえ』……うちの亭主の口癖」


 急に脈絡も無く浴びせられた言葉に、はらわたがキュッと絞まる感覚を覚えた。黒衣が何を言っているのかは理解できない。しかし言い知れぬ不快な感情がキヨシの頭をもたげる。


 まるで、黒衣に図星を突かれたかのように。


 『自分で気付いていない迷いを抱えている』と、無意識下で肯定している自分自身が腹立たしく、思わず歯軋りをした。


「……何故それを今、俺に言う」


「さあ。私自身にも、ちーっとも分からない。まあ、"人攫い"にしては上等だと思ったから……ってことにしておいて」


「何──」


 立ち上がり『人攫いはてめえだろ』と言いかけた瞬間、背後でただならぬ気配を感じた。騎士ではない。ましてアレッタにここまでの気配──いや、殺気を放つことなどできはしないだろう。ティナも同じだ。


 そうなれば、残るはあと一人しかいない。


「……行けッ!」


「何を──ッ!?」


 気配の動きを鋭敏に察知し、地に手をついて屈む。するとキヨシの背を踏み台にして跳躍した少女の小さな足が、黒衣へとスッ飛んで行く。


「きー君を、よくもォォォーーーーーーッ!!」


 ティナの体を乗っ取ったセカイだ。


「ティ、ティナッ!?」


 黒衣の困惑は誰の目にも明らか。そしてティナの名前も把握しているということは、やはり初めからティナが狙いだったのだろう。しかし困惑しながらもしっかり防御している辺り、手馴れている。


 が、それだけではセカイの攻撃を防いだことにはならない。


「え──」


 セカイが備えている異能、それは『鎧の上からだろうと、叩くだけで身体の自由を奪う力』だ。黒衣もその例外ではなく、表情に驚愕を滲ませて片膝をつく。しかし、これまでセカイの力を受けた者たちとは違って、『倒れ伏さず、力は完全に抜けていない』。


 それでも黒衣にとって、この事態は予想外のものだったようだが、


「……どうして、あなたが()()()()()()の技を。まあなんにせよ──」


「ッ──きゃッ!?」


 大して意にも介した様子もない黒衣は、なんと上半身の力だけでセカイを後ろに放り投げたのだ。


「ちょーっと、おイタが過ぎるかな」


 投げられたセカイはふわりと宙に舞い、ゴミ山のてっぺんにドサリと墜落した。大した怪我はしていないようだったが、


「てッ……めえェェェーーーーーーッ!!」


 キヨシを逆上させるには十分過ぎた。


 我を忘れ突っ込むキヨシの拳を、黒衣は片膝をついたままあっさりと弾いて対応し、キヨシの腹辺りに掌を軽く当てる。


「……すーっごく、熱いよ」


「な──」


 その瞬間、確かに黒衣の手から熱を感じた。いや、それだけではない。


 ──何かが、入って……ッ!


 黒衣の掌を通じて、得体の知れないエネルギーのようなものが入ってきて、キヨシの身体の中を焼き尽くさんと暴れだした。


「ぐあああああああアアアァァアアアアアーーーーーーッ!!?」


「き、きー君ッ!!」


 割れ響く絶叫。ドレイクにも勝るとも劣らない熱が、キヨシの体中を容赦なく突き刺していく。


 ──熱いッ! 痛いッ!! 闘うどころではないッ!! 熱い熱い熱い熱いィィィイイイッ!!?


 しかし、キヨシの体は一切燃えていない。火のチャクラを流し込まれたのだ。ドレイクに火のチャクラを持っていない者が触れると、焼けるような感覚を味わうのと同じ理屈。キヨシに火のチャクラが無いことは、ファーストコンタクトのあの日に実証済みだ。


 つまりこの黒衣は火の魔法使いでもある、ということになる。


 身を切る苦痛に悶え倒れるキヨシを尻目に、ごく短時間のうちに力が戻った黒衣はゆっくりとセカイへと歩を進めていく。


 状況を黙って見ていられなくなったアレッタも、応戦しようと翼を大きく広げるが、


「待て」


 背後で静観していた騎士団長──ジェラルドがアレッタを制止した。それに対しアレッタが『アンタ偉い騎士なんだろ、見てないで止めろよ!』と言うよりも早く、無言でキヨシの方を指さす。


「グ……がっ、さ……させるもの、かッ……!」


 未だキヨシ、心は折れず。


 立ち上がる体力は残されていないが、気力のみで無理矢理体を動かし、無様にも地を這って黒衣の足を掴み低レベルな妨害を試みた。分かっている。こんなものはただうざったいだけで、妨害になどなりはしない。それでもキヨシは動かずにはいられなかったのだ。


 走馬灯が如くキヨシの脳内を駆け巡る、ここに至るまでの経緯、情景、そして生涯。その全てが失敗、あるいは決定的挫折やすれ違いの記憶だ。思い出すだけで反吐が出るような思い出だってある。


 そんな中で手にした、唯一と言って過言ではない宝物。キヨシの『セカイ』、そしてその器。


「『迷うくらいならやめてしまえ』……だと? 嫌だ、ねッ……!」


 ──守る! 守るんだッ! なんとしてもッ……!


 黒衣はキヨシのその手を振り払うでもなく踏みにじるでもなく、自身に必死にしがみつくキヨシの鬼気迫る顔をただじっと見ていた。何か思うところがあったのか、それともただ軽蔑し見下しているのか、キヨシには分からない。分からないが、親愛なる者の面影を残す黒衣の顔を見ていると気が抜けてしまいそうになり、それを防ぐのに並々ならぬ努力を要した。


 様々な感情がせめぎ合う中、背中を軽く叩かれる感触を覚える。何が起こったのかと振り向こうとするが、何故か四肢から少しずつ力が抜けていって、その現象がだんだんと頭まで登ってきているようで、もうほとんど動けない。


 だがその代わり、キヨシの耳に声が届いた。


「……さっぱり状況が掴めずどっちに与することもできなかったから黙っていたが、ここまで行くとそういうわけにもいかないな。詳しい話は目覚めた後で聞く。とりあえず今は眠っててくれ」


 男性の声だった。この場にいた男性はただ一人、そしてセカイのあの力をフェルディナンドは『騎士団長の手管』と呼んで──


『きー君! きー君ッ!!』


 ──畜、生……。


 かけがえのない者がぼんやりと映るキヨシの視界を、黒いもやのようなものが這い上がってきて、キヨシは遂にしがみついていた意識を手放す。


 そして、『守れなかった』という絶望と失意に溺れていった。

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