空白の空は白く美しい
私には何もないの、
何にもできないの、
と言った君
雨は冷たく降りこめて
君の声が包まれていくこと
弱い姿を見せない君が見せた
普通であり普通でない姿のこと
夏の終わりの空は暗く冷ややかで
15センチメートル、
背の高い僕は君に傘を渡した
君は大丈夫だよ、
何があってもきっと大丈夫、
と言った僕
夜の片隅で指を滑らせて
弱い言葉しか生み出せないこと
機械の向こう側の君の画面の
縦に長い緑の吹き出しが濡れていること
月が光る空は容赦なく追い詰めて
200000センチメートル、
離れた僕は君にとって何
僕を絶望から救ってくれた
君への恩は忘れない、
と言ってから
深遠な湖を思わせる瞳を持った
君の身体に包帯を巻いたこと
身も心も傷だらけの僕らでも
見つめ合うとロマンチックだったこと
空白の空は白く美しく
優しさで世界を包み込みながら
0センチメートル、
君を抱きしめた