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二羽目 襲撃そして力

 ウェンの父親は村の中央にある高床式の小屋に入って行った。

 中に入ると薄暗く四隅と中央にロウソクが灯っていた。

 中央のロウソクを囲う形で、老人たちは既に輪になって話し合っていた。

「おぉ、来たか。待ちわびたぞ。ケビン」

 小屋の奥にいる、最も老けている口髭を生やした老人がにこやかに言った。

「遅くなってすいません。長老。」

 ケビンはそう言いながら長老と向かう形で、輪の中に入った。

「ちょうど、ウェンディア君とイリア君のことを話していたところじゃ。」

 長老はゆっくりと話し始めた。

「2人ともすでに成人となっています。本当のことを話してもよろしいかと。」

 村の中でいちばん若い(二人を除いて)初老の男がずいっと前に出た。

「いやまだだ。まだその時ではない」

 ケビンは冷静に言った。

「その時とはいつですか?」

 ケビンは応えなかった。否、応えられなかった。それは、彼等が此処に来たのとほぼ同時期にカオスが発生し始めた。

「彼等はあまりに幸せ過ぎる。」

「でわ、厳しくしろと?」

「違う!! 私は彼等には強くなってほしいのだ。」

 思わず立ち上がって、叫んでしまった。長老はケビンと初老の男性をなだめた。

 言い争いは延々と続きかれこれ三十分以上はたとうとした時、不意に長老が、

「最近この近辺でカオスが目撃された。」

 カオスという言葉が出た時、全員の血の気が引いた。

「この近辺で、ですか?」

 ケビンは恐る恐る聞いた。

「うむ、先日ウェンとイリアの様子を見に、皇国からの使者が来ての、いつも数人は来るはずなのじゃが、その日は1人だけじゃったから、ワシは『今日は一人かの』と聞いたら、使者の顔から血の気が引いて『あと、2人来るはずでしたが、カオスにやられてしまいました。』と言ってな、詳しく聞くとここから一時間ほど下った森で殺られてしまったそうだ。」

 長老はゆっくりと話した。その場にいた全員が凍り付き、沈黙してしまった。

 

「やはり、あの2人しか対抗手段がないとは、人間とは弱い生き物だな。」

 沈黙を破ったのはケビンだった。

 その時、村の守衛が息を切らしながら中に入ってきた。

「か、かか、かかかか、か、カオスが現れました。」

「ウェン達が危ない。」

 誰かが言って、その場にいた人たちは行きよいよく立ち上がり、2人のもとに急いだ。

 しかし、ケビンの家に向かう途中、すでに集会場にいた半数以上はカオスにより死んでしまった。

 

 ケビン(ウェン)の家

 

 ケビンは家に着き2人がいる部屋に向かった。

「ウェン、イリア無事か?」

 ケビンは行きよいよくドアを開け、繰り返し叫びながらウェンは。というよりも破壊した。

「「無事って何のことさ?」」

 ウェンとイリアは同時に答えた。

「話は避難所で話す。はやく来い。」

 ケビンは家を外に出たが既にカオスは家のまわりを何重にも囲んでいた。

「くっ、しまった。」

 ケビンは苦虫を噛みつぶしたような顔をした。

 ウェンとイリアは話を聞いていたカオスを目の当たりにして驚愕した。ウェンとイリアが聞いた話より今いるカオスがおぞましく見えた。紫や黒のまだら模様をした人型や動物型などがざっと20以上はいた。

 じりじりとカオスたちは3人との距離の円を縮めケビンはそばにあったライフルを構え人型のカオスめがけて撃った。

<バン バン バン バン>

ライフル弾は見事にすべて当たり風穴を開けたが、すぐに修復し人型のカオスの腕がケビン達めがけて伸びた。

 ケビンはウェンとイリアを脇に抱え飛び退いた。

 カオスの腕がドアに当たるとたちまちに腐りボロボロになって、。

 ケビンはウェンとイリアを下ろし、

「お前たちは逃げろ!! そして、皇国の皇王様に会え!!」

 と言って手紙をウェンに渡した。しかし、その後ろにオオカミ型のカオスがいることが後ろから近づいていることに気付かなかった。

「危ない!!」

 イリアが叫び、ケビンが振り向くと同時に狼型のカオスはケビンの首めがけて襲いかかった。

「ウワァ」

 ケビンが叫び、倒れ、

「ニ、ニゲ、ろ」

血の気が引き、肉はただれ、歯は剥き出しになり、目は陥没し、皮が溶けやがて血のついた骨がむき出しになった。

 ケビンを食らった獣型のカオスは分離し2体になりそして、ゆっくりとウェンとイリアに近づきだした。しかし、恐怖とケビンの死でその場を動けなくしていた。

 2体の獣型のカオスがウェンとイリアに飛びかかろうとした時、ウェンとイリアは目をつぶった。

「キャーーーーーーーーー!!」

「うゎーーーーーーーーー!!」

 しかし、いくら待ってもカオスがウェンに飛びかかってこなかった。

「へ?」 

 ウェンは目を開けた。そこは白く何もない空間のようなところにいた。

 ウェンはイリアの所へ駆け込んみ、抱きかかえた。

「イリア?イリア?」

ウェンはイリアを揺すりながら繰り返し呼び掛けた。イリアはゆっくりと目を開けて、

「ん、ウ〜ン」

「イリア、大丈夫?」

「うん何とか。・・・ここどこだろう? それにカオスやおじ様は?」

 イリアは起き上がり、あたりを見回した。

「わからない」

 ウェンもここがどこだかわからなかった。それに、どうしてこんな所に居るのか?それに、父さんはどうして・・・ウェンの心の中には不安や恐怖が黒くつのっていくような感覚を覚えた。イリアもまた、同じ思いで今にも泣きそうな顔を必死に隠そうとした。

光の雪のような物が降ってきた。

「何、この光?」

2人は光の雪を手の平に乗せようとした。しかし、光の雪は2人の手を通り、光の雪はやがて、机の形になりそしてシルバーのチェーンネックレスとシルバーのリングが机の上に現れた。

「ウェン」

イリアとウェンはうなずき、ウェンはネックレスをイリアはリングをそれぞれ手に取った。

 するとウェンが手に取ったネックレスから一匹の白猫が、イリアのリングから黒猫が現れた。

「うーん、よく寝たな。ありがとう、坊や。」

 白猫が言葉を発したので、ウェンは驚き、体が跳ねた。

「うゎ、猫がしゃべった。」

「そんなに驚かなくても、それに猫がしゃべっちゃいけないのかな?」

 白猫はそう言いながら、ウェンの肩に乗った。

「まぁ、いいじゃねぇか。嬢ちゃん。俺はネス。彼女はルナだ。よろしくな。」

 黒猫ネスも肩に乗った。

 「よろしく。俺はウェン。ウェンディア・ルーズベルト。よろしくルナ」

 ウェンはニッコリと笑った。ルナもあいさつ代わりに頬ずりをした。

「よろしく。私はイリア・ガイナックス。よろしく、ネスさん。」

 ねすもまたにっこりと笑った。

「ネスさん、ここはどこ?」

イリアは白い地面に正座の状態で座り、ネスを膝の上に乗せて頭をなでた。ウェンもイリアの隣にあぐらの状態で座り、ルナはウェンの足の上に座った。

「ここは、時空のはざま。過去も未来もない時間の止まった世界。」

ネスは淡々と語り、ルナの方を見た。

「ウェン、イリア、あなた達は神に選ばれたのよ。」

「「え!?」」

ウェンとイリアは驚き、一瞬何を言っているのかわからなかった。

「そう君たちは、神王シンオウ様に選ばれたんだ。」

ネスは白い地面に降り、伸びをした。

「それじゃ、ルナやネスは神王様の使いなのか?」

ウェンは神王様を予想した。きっと、頑固な老人で、ローブを着こんで人間たちを見て楽しんでいるのだろう思った。

「そうよ、私たちは神王様の使い見たいのものね。」

ネスは軽々と自身の身体の何倍もある高さの机を軽々と飛び乗った。

「そろそろ、私たちの話をしていいかしら?」

ルナも机に飛び乗り、ネスの隣に飛び乗った。2人はうなずいた。それを見たルナは話し始めた。

「私たちがこの時空のはざまに連れて来たの。それは、魔の地つまり、地下の世界から悪魔、あなた達で言うカオスが地上を荒らし始めたの。もともと悪魔は時々、偶然にも出てくることがあったらしいけど、ここ数年、悪魔の出現が多くなって来たの。それで、神王様はおかしいと思って、適正者を探し始めたの。それ・・・」

「ちょ、ちょっと待って、いくつかわからないことがあるんだけど。」

ウェンは耐え切れなく言葉を遮ってしまった。

「何?」

ルナは怒ることなくウェンの疑問に答えようとした。

「俺たちの住んでる世界とほかに悪魔の世界、ルナやネスがいる世界はどういう風になりったっているのさ? それに、てきせいしゃってなんのこと?」

とウェンの疑問にネスが答えた。

「それは俺から説明しよう。 まず世界はイリアとウェンの住んでいる世界の上に俺たちが住んでいる天上界。天上界は浮き島と呼ばれる人が乗ることができる雲に人たちが住んでいんだ。逆に下の世界は実はどんな所かわからないのだけど、文献ブンケンではマグマに囲まれた世界で悪魔が住んでいるけど、詳しいことはわからないんだ。 適正者は私たち天界の人間に近い血筋の人間のことだ。」

ネスはできる限りの説明を言い終えて、2人を見た。

「大体わかった。けど、悪魔が出てくる理由は?」

イリアも疑問をネスに投げた。

「それは悪魔以外にはわからないの?」

ルナは少し言い辛そうに答えた。

「わかったわ。話を続けて、ルナ。」

イリアはルナの気持ちを察知して話をつづけさせた。

「ありがとう。適正者を探して、君たちのを見つけたわ。しばらくあなた達を見てすぐに神王様に2人を見せたらすぐに行って来いって言われたわ。そして、村に着いたらカオスがいて、何とかここまで連れてこられたってわけなの。」

取り合えずルナは言い終えた。それを確認してから今度はネスが話し始めた。

「それじゃ契約とそのアクセサリーについて話そう。」

ネスは2人を見て、話を続けた。

「契約はそのアクセサリをつけて魔法陣により契約の印という呪文を唱えて終わり。契約後はアクセサリは契約解除しない限り外せない。アクセサリは契約により力が発揮され、身体能力などが上がる。最大の特徴は武器の生成だ。武器はその人により武器は変わり、その人の成長により武器も変わるんだ。終わり!!」

ネスはそう言って2人を見てから、2匹で呪文を唱えた。

≪Appear in the name of thou,ness. The seal of the contract(汝、ネスの名のもとに現れよ 契約の印を)≫

 マナはそういうと、魔法陣が白い地面から青く浮き上がった。

「それじゃ、説明も済んだし契約の印をしましょうか。」

 ネスは魔法陣の中に入った。

 2人は、顔を見合せうなずいた。2人の思いは一緒。村の人たちやカオスに怯える人たちに勇気を与えカオスを・・・悪魔を倒し原因を突き止めようと決めた。

「わかったわ。契約しましょう。」

 イリアとウェンは魔法陣の中に入った。

「2人とも目を閉じて。」

 ルナはそう言って、呪文のようなものを唱え始めた。

 〈 I’m the person who watches a contracting party. Based on making a contract I give the power to contracting parties.(我、契約者を見守る者。我、契約に基づきこの者らに力を授けん) 〉

 ルナが唱え始めると魔法陣から金色の粒子が、2人と2匹の周りに集まり、粒子はやがてウェンのネックレスとイリアのリングに粒子が集まり、やがて、その二つと2匹は粒子となり、それぞれの前で1つの形を形成した。そして、まばゆい光りに2人につつまれた。

登場人物2


イリア・ガイナックス


AGE:15


MAIN weapon:小銃

SUB weapon:ナイフ



ガーナ霊山の村に住む少女。赤茶色な瞳に金色の髪をポニーテールにしている。最近は、ウェンいじりを楽しんでいる。

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