一羽目 始まり
皇国シュワルツ・ハイネスより北に十日ほど行った、標高9873mの世界最高峰の精霊山ガーナ霊山の山頂にひっそりとたたずむ村があった。コウリア村というその村には10数人の老人たちと2人の子供が住んでいた。
その村のはずれにある屋敷のような大きい山小屋に一人の少女がやってきて、ドアをノックした。
「はいはい、どなたかな。」
大柄な初老の男性が家の中から現れた。
「こんにちわ。おじ様。」少女はお辞儀をした
「ウェンはいる?」
「ウェン?そういえば朝食も早々に出掛けて行ったが、まだ戻ってないな。ウェンが帰ってくるまで中に入って待ってるかな?」
老人は、笑みを浮かべた。
「えぇ、そうしてもらうわ。」
初老の男性は少女を中にいれた。
家の中は、右側は暖炉があり、左側にいくつかの部屋に別れていた。でも、どの部屋にも扉がなかった。
少女は暖炉の前にあるひじ掛け椅子に座った。
「もうすぐ戻るとは思うのじゃが。」
その時、行きよいよくドアを開け少年が入ってきた。
「インディ・ウェンディア、只今参上」
二人はため息をつき初老の男性はキッチンに向かい、少女は額に手をあてさらに深いため息をついた。
「あ、イリア居たんだ。どうしたの?」
ウェンディアはあっけらかんとした感じで言った。それを見た少女はウェンディアの態度に腹を立て怒った口調で、
「ウェン、あんたまた狩りに行っていたでしょ!!」
ウェンの胸を人差指で突き、ずいずいと押した。そしてウェンは指で押されながらなんとか耐えていた。
「痛いよ、ルナ。何もそんなに怒らなくても。」
ドアによりかかったウェンは、しょんぼりしてウルウルした目でイリアを見つめた。
「あっ!! ごめん。言い過ぎた」
イリアはそんな彼をみてやりすぎてしまったと思った。
「なーんてね。そんなことで俺がイリア、また引っ掛かった。そんなことで俺は泣かないよーだ。」
ウェンはいたずらな笑みを受けべ、走って一番奥の部屋に入ってしまった。
「もう、ウェン今度という今度は許さないから。」
イリアはウェンの後に続きながら部屋に入った。
初老の男性は2人の姿を心配そうに見つめた。
「ウェン、村の外に出るのは危険なのよ。わかってる?」
イリアはウェンに対して説教じみた話をしていた、ウェン自身は聞く耳を持っていなかった。
ウェンはイリアの説教を耳にたこができるほど聞かされていたし実際に外はカオスとかいう得体のしれない怪物もいるのも知っている。だけど、この村には面白いことなんてないし食料も山のてっぺんだからほとんど何もない、|初老の男性(お父さん)もだいぶ年がいきすぎてるから無理もできないから少なからず体に影響を与えないようにしたいのが本音だった。
「ウェン、聞いてるの?」イリアはウェンの顔を覗き込んだ。
「ウワァ」
気の抜けた声がもれウェンは顔を赤くなってしまった。イリアはクスッと笑い説教をするのを一時中断して、イリアがウェンに説教をしている間にもってきた、ココアを少し飲んだ。
「所で、なにが狩れるの?」
「え!? イリア気になるの?」
ウェンは少し驚いた。
女の子が、いや、イリアならありえなくないか、でも何で行きなり?
「何で行きなりそんな事気にするの?」
「いやあの〜いつも手ぶらだから・・・」
何でそんな事聞くのか自分でもわからなかった。
「山狐と猪だよ。」
「え?」
「俺が狩る動物。」
ウェンは少し恥ずかしそうな顔をしてココアを一気に飲み干した。
日が傾き始めた頃、ドアをノックし老人が入ってきた。
「ウェン。少し出てくるからな。」
「どこ行くのさ、父さん。」
「いやな、今から緊急の集会があるんだ。まぁ2、3時間で戻るからな。イリア。」
初老の男性はそう言いながら、新しいココアを置いて、空になったこっぷを二つ持って、
「村全員の出席だから、もう少しここにいてくれないか?」
「えぇ、いいですけど。」
イリアは胸がざわめき寒気が襲って来た。
「そうか、ありがとう。」
そういって老人は部屋を出てやがて家のドアが閉まる音が聞こえた。
「緊急って、何かあったのかな?」
ウェンはさっきイリアの説教を思い出した。
「まさかね。」
ウェンはそのことを心の奥に閉まった。
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登場人物1
NAME:ウェンディア・ルーズベルト
AGE:16
Maine weapon:刀
Sub weapon:短刀
紹介
白き翼の主人公。山奥にある村に住む少年
スカイブルーの目に黒の髪でやや子供じみた性格をしている。そのためイリアによく説教される事もしばしば。
村の襲撃によりある力が目覚め、旅をすることになる。