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夢見の家 回想13

「まだ、俺のこと、彼に教えてなかったのか?」

彼がちらりと威を視線で示すと、洸野は剣人と同じように苦笑しながら頭を掻いてみせた。

「えっと、とりあえず、剣人兄さんが着いてから説明した方がいいからって、裕穂さんが」

その言葉だけで納得したのか、剣人は「はぁぁっ」と大きな溜息をついて威へと向き直った。

「山下剣人、洸野の兄だ。お前さんたち4人組の中で唯一、始めましてになるのかな」

威はその言葉に目を丸くして随分高い位置にある剣人の顔を凝視した。

洸野の兄というのも驚きだが、それよりも威たちが『4人組』だと知っていることでも更に驚きだ。

「母さんの葬式の後、山下の『父親』の所に引き取られそうになったのを阻止してくれて、それ以来一緒に住んでるんだ」

洸野の言う『山下の父親の所』というのは彼の実の父親と正妻のいる屋敷のことだ。山下家は代々日本の伝統的な武道を賞する家系で、外国の血が自分たちの血筋に入ることをかなり厭っていた。故に、彼の父親はずっと愛してきた洸野の母親を愛人にすることしか出来ず、『家』が選んだ格式ある血筋の女性を妻に迎えていた。

洸野が威の目の前の人物を『兄』だというのなら、彼は洸野の父親と正妻の間に生まれた長男ということになるのだろうか。

「弟を引き取るのは兄としての役目だからな」

異母兄としては珍しい考え方に、威は至極感心した。

「普通の母親違いの兄弟だと、隼人はやとくんみたいな態度を取るほうが多いと思うんだけどね」

裕穂も威と同じように思って言葉を繋げると、剣人は何を言ってるんだとばかりに首を傾げてみせた。

「何を言ってるんだ?俺と洸野は母親も父親も一緒の兄弟だぞ」

剣人の爆弾発言に威以外の二人も目を真ん丸くした。特に洸野は本当に予測すらしていなかったのか固まっている。

「て、さとる月路つきじから何も聞いてないのか?」

さすがに剣人もここにいる全員が知らないことに思い行ったのか、意外そうにその疑問を口にした。

「理は自分が必要だと判断おもうことしか俺たちには言わない」

「月路は、理が言うだろうからっていう判断したと思う」

とりあえず洸野、威の順番で幼馴染を庇った彼らに剣人と裕穂は揃って大きなため息をついてみせた。

「だめじゃん。理くん。自分、行方不明になるって解ってるのに何やってんの、あの子」

「「「は?」」」

ため息混じりに本日最大の爆弾を投下してくれた裕穂に、男3人はぽかんと大きく口をあけてしまった。

彼女はそんな彼らの反応を然りと予測していたのか、大きな目をすぅっと眇めて悪意のある笑みを浮かべてみせる。

「彼はね、高校一年でどういう経緯でそうなるのか知らないけど行方不明になるって知っていたの。その上で、僕に洸野くんと威くんのこと頼むんだよ?守って、手助けをって。馬鹿にしてるよね、そんなこと頼まれなくてもするのに」

天使の外見とは違うけんの含んだ台詞から受ける衝撃は大きすぎるものだった。

(知っていた?自分が行方不明になるって)

だからこそ、彼は彼女エアルから翼を受け取ったのか。だからこそ一人だけしか戻れないと解った時に迷いも無くあの世界に自分が残ることを決めたのか。

手酷いジョークのようだ。最初からの諦めで行動されていたのなら、いったい自分が努力したことはどうなるのか。自分の選択は何故その未来を変えるために動かなかったのか。

洸野も威と同様に視線を落としている。その顔は今まで見たことも無いような暗い顔だ。

「ま、自分が地球世界こちらに戻ってこれることも知ってるみたいだったから、安心して行方不明の道を選んだんだろうけど、滅茶苦茶迷惑だよねぇ」

彼女は怒りの大きさを隠さないまま、そう結論付けると自分の発言で底辺まで落ち込んでいる二人の少年へと近づいた。

銃弾爆撃並みの爆弾発言投下の回でした。

ラブラブ先輩カップル組は他にもいろいろと小ネタを持っていますが、すぐには出してこないでしょう。

長かった『回想』の部分も後一話で終わりです。

前に書いた話ではそのまま使えなかったので書き直していたら迷走してしまい、途中放棄したくなりましたが、何とかなりそうです。

ただ今、仕事が忙しいので早々にUPできないとは思いますが、気長にお待ちください。

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