1章:ふぇえ...学園ラブコメと異世界ファンタジーを両立するのは難しすぎるよぉ 3話(三国解斗)
次に解斗が目をあけるとそこには、非現実がひろがっていた。今立っている道にはレンガが敷き詰められ、周りの建物はだいたい石造りだ。道行く人は魔法使いだったり騎士だったりと何かのテーマパークに来たみたいだ。左を向くとコロッセオをモチーフにしたような集会所、右を向くと家が連なったような形をした武具屋があるが足は自然と左へ向いた。
集会所へ入るとあまりもの人の多さに解斗はぐへっとなる。どうしてド平日の真昼間なのにこんなに人が多いのだろう。みんなリストラされて暇人になってしまったのだろうか。いやそれはないか。
解斗はひとごみをかき分けながらは受付を目指す。受付は入口から10メートルほど進んだ先にあり、女性のバイトさんがカウンターにたっているのだが、このバイトさんは1日に3回は告白されている、という噂がある。現場に居合わせたことはないので本当かどうかは知らない。
ここでは、クエストを受けたり、乱戦モードというプレイヤー同士で戦うことの申請ができるが、解斗にとって後者は必要ない。あとは大会に申し込んだりもできる。
受付で待ってる間、解斗は自分の腕をみた。そこには蛍光色で「三国解斗、rank:13位、skillスキル:光の支配者ライトロード、HP:20085、TP:14970」と記されている。ランクとは全プレイヤー中の今の実力の順位のことだ。スキルとはゲームをはじめた時にランダム与えられる技みたいなもので使えば使うほどレベルが上がり強力になるが、発動にはTPが必要なため使いすぎに注意。HPはご存知の通り体力のことだ。体力がゼロになるとゲームオーバーになり、集会所に連れ戻される。ちなみに解斗はthaeDを始めてからチートスキルのおかげでまだ一度もゲームオーバーになったことがない。
自分の番が回って来たので解斗は、最上級クエスト・暗黒龍の咆哮<暗黒龍ディアボロス1体の討伐>と紙に書いてバイトさんにそっぽを向きながら渡した。
別にバイトさんと目が合わせられないとか、恥ずかしいとか、そういうわけではない。ただ、解斗は他人と話せない。半年以上家族以外と話す機会がなかったため解斗のコミュニケーションレベルは0に等しかった。
バイトさんは少し訝しんでいたがすぐににっこりスマイルで応対してくれた。笑顔がまぶしく見えるのは多分照明のせい。
ちなみにAnoter WorlDにはコミュ症以外の障害者は存在しない。当然だ。ここにいるにいるのは彼らの精神なのだから体は思うように動くし思ったことを言葉にできる。コミュ症以外は。
解斗は少し顔を赤くしながら、転送マシンの中に入った。