1章 1話(語り手:三国解斗)
今回が初投稿です。二〇一五年現在高校生なので次作が出るのが遅くなりそうですが、どうか最後までお付き合いくださいませ。
三国解斗は道路工事の騒音で目を覚ました。最近その騒音のせいでろくに寝れてない。オートパイロットだかなんだかで四六時中機械で工事しているそうだ。父さんが小さい頃は人の手で工事がされていて、よくそこにボールが落ちてしまって工事員のお兄さんのとってもらっていた、とか前に聞いた気がする。
解斗はベットから体を起こすと「eiD、今何時?」と眠たげな声で呟く。するとちょうど目線ほどの高さの空中に、もともとそこに浮いていたような感じで半透明なディスプレイが姿を現した。と思うと画面が変わって日付が表示される。そこには2050年9月13日水曜日14時24分12秒、と記されていた。
eiD。soladeadlive社、通称ソラデが開発、販売している多機能通信機のことで、テレビ電話はもちろんゲーム、通販、インターネットなどの機能がある。今どきの人なら持ってて当然のアイテムだ。
解斗は立ち上がってドアの前に立った。そしてドアノブの下にある数字プレートに1107、と打ち込む。するとガチャっと鍵を開けたような金属音がしてドアが左にスライドした。足元を見やるとそこにはサンドウィッチが2つとパックカフェオレがお盆の上にならんでいる。解斗はそれらを消しかす1つすらのっていない勉強机の上に置き、自分は椅子に腰かけた。ここまでわずか5秒。もう、慣れているのだ。
要するに、解斗は引き籠っていた。歩いて5分かからないところにある高校にも行かず、親にもめったに顔をあわせない。出かけるのもせいぜいコンビニにゲームのプリペイドカードを買いに行くくらいだ。まああれもこれもぜんぶ「アイツ」のせいなんだけど。
朝食を食べ終えると解斗は座ったまま今度は「eiD、thaeDログインして。」と呟くと、「thaeD、ログインしますので安全な環境へ移動してください。」と機械音がかえってきた。解斗はなお一層深く腰かけ、目をつむった。
thaeDとはソラデが配信、運営するeiD専用アプリケーションのことだ。2040年に確立された「幽体離脱理論」を応用して意識をAnotherWorlDと呼ばれる架空世界へととばし、そこにあるクエストを攻略する、といった趣旨のゲームで今日ではユーザー20億人を突破している。年に一回、その世界大会が行われており、優勝者には1億円贈られるというが二人一組で行う世界大会に解斗が出られるはずもなかった。
次回もまたみてね!