眠れる朝のバス停
習作ですが、楽しんでいただきましたら嬉しいです。
一人の少女がバス停で腕時計の針を追いかけていた。
少し短い髪にマフラーというベール、白を基調とした制服の上にブレザーを着て、足は小刻みに震えていた。
「ううー、寒い」
彼女以外バス停にいる人はおらず、時たま自転車をこいでいる人が通りすぎるだけの風景だ。
バスが来る予定を知らせるランプは三つのうちの一番右で光っていた。
「夜ふかしするんじゃなかったー……いくら見たい番組だって録画すればいいのにリアルタイムで見たい欲出すなよ昨日の私……」
そう言っては時々吹く小さな風が彼女の体を冷たくしていく。
現在、時刻は七時二十九分。バス停から学校に着くまでの時間は四十五分かかるのでスムーズに登校出来れば、ホームルームの時間にギリギリ間に合う。
「早く来ないかなあ……」
さっきよりも足の振動は微かに大きくなり、視線が針とランプの間を右往左往していた。
ランプの光が真ん中に移ると、さらにそれらが酷くなった。
「だめだ、寒い、死んじゃう……」
寝不足でただでさえ重いまぶたが少しずつ閉じられようとして、ハッと開いてはすぐに閉じようとする。
そこからはほとんど意識が無かったのかフラフラと動いてはバス停に頭からぶつかり目が一気に、悪夢でも見たかのように開かれた。
「眠いし、寝坊するし、バス逃すし、良いことないよぉ……」
そんなことを呟く彼女を目に、一番左のランプが救いの手を差し伸べた。
最近眠いです。