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3話

side:真



今、季節は春




この道を始めて通ってから、11年目になる。




俺と玲が向かっているのはもちろん学校だ。





名高き名門……とまではいかないが、知らない人は居ない程度には有名な学園……





それが『月光学園』だ。





少し月光学園の説明をしよう




月光学園は初等部から高等部まで一貫して教育をする学校……所謂エスカレーター式の学校だ


俺と玲は初等部からここに通っている


無論、中等部や高等部になってから加わった仲間もいるが、ほとんどが初等部からの付き合いだ


さらに、月光学園での特徴は『便利屋』の育成だろう


初等部は普通の私立小学校となにも変わらない


しかし、中等部、高等部に進学する際にはそれ相応の『芸』がないといけないのだ


楽器の演奏でも、ダンスを踊ることでも、声マネでも……挙句の果てには水道管の工事ができるなんて言う馬鹿げたものでも構わない、とにかく何か出来ないといけないのだ


玲は無論記憶能力によって進学した……俺か?


俺は武力


要するに腕っぷしだ


試験の時に空手部の先輩のところに道場破りに行って、一発で沈めてやった


その時の部員の絶望的な顔を見て、笑いそうになった俺は悪くない




まぁ、そんなこともあって、現在学年は2年……そしてこの高等部2年からは進級の制度が変わるらしい


詳しいことは全く聞いていないが、何やら学力だけでは進級できないらしい……


はっきり言おう




これ以上勉強は増やさないでくれ……



今のままでも悲惨な成績で、去年の末には補習や補講でほとんど遊べない状態だったんだ


チームのミーティングも何度休んだことか……



チームについては追々話すが、今俺は柄にもなく不安でいっぱいである……



せめて俺の武力が活かせればなぁ……




そんな淡い期待を持ちながら、学園への道を進む



時計を見れば8時13分……たしか集合が8時30分なので余裕で間に合う時間だな



そして、一つ重大なことに気が付く……







さっきから、玲の気配がない……


勘違いであることを望みながら自分の周りを見渡す…………いない……だと



おそらく通り道の公園だろう



そう予測を立てて走り出す



ここから公園まで走って2分



公園から学園まで玲のペースで走って7分……ギリギリかな……




そう思い、少しペースを上げて走る……




……公園が見えた、あとはベンチのところに行けば……




やっぱりいた




朝っぱらから日向ぼっこしていやがる……



少しイラつきながら玲を起こす



「おい、玲走らないと遅刻だぞ」



そういうと跳ね起きる玲



別に遅刻のことを聞いて焦ったわけではない、ただ……


「真!!ねぇ、走るの?走るんでしょ?走るんだよね?」


興奮気味に聞いてくる玲をいなしつつ、あぁと短く返す


すると


「まこと~~、先走るね~~~」


「ちょっと、待て」



さっさと走り始めてしまったので、俺もあとに続く




玲は頭がいい


そして運動が大好きだ



そして、俺はこう思う



こいつ……走りたいからわざと公園で寝てるのか?






いろいろな可能性を考えてると、豪勢な門が見えた



時計を見ると8時25分を指していた……ギリギリだったな……



俺たちはペースを落として歩き始める



満足そうな玲の顔を見て


「まぁ、こういうのもたまにはいいかもな」


誰にも聞こえない声で呟いて、校舎に向かって歩いていった。

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