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「もう一度蜂、、、は帰ってきた。」という暗号を解くメイドさん

 僕たちは今めっちゃ美味しい氷菓を食べるために工魔科学帝国中枢の紅魔城の中に不法侵入し、そこにある図書館に来ている。


 僕のマイメイドであり元剣聖(笑)のランスロットアレクシアによると、図書館の中には禁書庫と呼ばれる場所があり、そこにめっちゃ美味しい氷菓を奢ってくれるコネがあるそうだ。


 受付の白いロングヘアーがキュートな不思議な意匠の施された首飾りをつけた女性に不法侵入がばれないか内心冷や汗をかきながら禁書庫への入り方を聞いたところ、


 「もう一度蜂、、、は帰ってきた。勇者パーティー一行に対する、本の貸し出しは一回で三冊までです。返却の際はそこの返却機をつかってください」


 という注意事項とともに柔らかなプライスレスの笑顔が返ってきた。どうやらこの受付の女性は僕のメイドが元勇者パーティーであることを知っているようだ。何者なのだろう、、、


 「これは山といえば川的なあれだよね」


 「はい、ネロ君の性格を考えるに暗号でしょうね」


 「なるほど、、、どうしようか?」


 「ネロ君の思考からしてこの手の問題はしっかり問題文を読めば誰でも解ける仕組みになっていると思います。」


 「それって暗号として大丈夫なの?」


 「まあ暗号といってもただの彼の趣味ですからね、まずは情報収集としてこの図書館を回ってみましょうか」


 そういった、アレクシアてくてくと歩き出しこの図書館の中を回り始めた。


 この図書館は案外とこじんまりとしたもので、大きさは横幅と縦幅ともに50mくらい、特徴としてはこの部屋の扉となる部分を除いたすべての壁に本が敷き詰められている。しかし本棚は壁際にしかないため受付と返却用の機械のようなもの以外にこの部屋にあるのは壁の本棚だけという僕たち不法侵入者から見ても不思議なつくりになっている。


 ちなみにその本棚はジャンル別にAからZまでのアルファベットに区分分けされている。


 そこで僕はBという目印のついた伝記が置かれている本棚に目が留まった。僕たちの氷菓探しの元凶ともいえるランスロット英雄譚がそこに置いてあったからだ。


 「本当に君は英雄だったんだよな、、」


 「どうなんですかね、確かに私たち人類から見れば、私は英雄といって差し支えのないものなのかもしれません。しかし魔族やその他種族から見れば、蛮行とも取れる。だから私は私の利益になりうるであろうことをしてきただけです。全部自分のために行動してきました。それによって影響を与えた人物が多かっただけのことですよ。」


 「それランスロット英雄譚の1ページ目にも書いてあったよね、本当にそういう物なのかな?」


 僕はパラパラと手に取ったランスロット英雄譚をめくった。


 「はい、視点を変えてみることは、どんな時でも大事なことですよ坊ちゃま。そして今の坊ちゃまのお言葉のおかげで禁書庫に入るための暗号を解けたかもしれません。その本は今から借りるので坊ちゃまが持っておいてください」


 「え?どういう意味?」


 アレクシアは図書館では怒られそうな駆け足で二つの本を借りる。


 一つはRの本棚に置いてあった絵本。


 もう一つはEの本棚においてあった学術書だ。


 その二つの本を持ったアレクシアは白いロングヘアーの受付の女性の元へと戻り


 「もう一度蜂、、、は帰ってきた。の意味が分かりました。この三つの本を貸してください!」


 太陽のようないつもの明るく無邪気な笑顔で言った。


 「えええ!もうわかったの?どういうことなのか説明してよ!」


 「まずこの暗号に関してですが、一番初めに解かなくてはならないのは出題者に答えを伝える方法です。」


 「え、普通に受付の人に答えを言えばそれで終わりじゃないの?」


 僕の暗号のイメージは山といえば川という所で止まっていたのでアレクシアの言っていることは予想外だった。


 「私も最初に聞いた時はそう思ったのですが、そうなると一つおかしなことがあるんです。禁書庫の暗号を解きに来た奴に借りた本の返却時の注意なんて伝える必要ないんですよ。」


 「あ!」


 確かに考えても見れば彼女の発言には違和感がある。


 「つまり、もう一度蜂、、、は帰ってきた。の後の部分である本の返却は三冊までというのも暗号の一部なんです。そしてそれが指し示すことは」


 そういった彼女は本棚に付いたアルファベットの目印に指を向ける。


 「本三冊分で表せる文字、アルファベット三文字ですよね」


 受付の女性は柔らかに微笑みながらうなずく。


 「そして肝心の暗号部分である、(もう一度蜂、、、は帰ってきた。)には暗号の前半部分と後半部分に意図的に作られた溜めがありました。これは分けて考えろという事でしょう。一番重要なのは前半部分のもう一度蜂はという部分です。坊ちゃまこれを英語に直したらどうなります?」


 「えっとbee againって感じかな」


 「惜しいですね、英訳としては間違いではないのですが今回求められている答えではありません。こういう時は少し強引に考えると良いですよ。これはさっき言った通りアルファベット三文字でなければなりません。つまり答えは、英単語でもう一度という意味を持つRE と蜂という意味の英単語であるBeeを一文字に変換してBこれで三文字。つまり答えはREBです。」


 「すごいぞ!ランスロット、さすがは僕のメイドさん!でもさ?なんで迷いなく三つの本を選べたの?ここまでの推理だと本棚の位置しかわからないよな、まさか適当じゃないよな?」


 「もちろん理論はあります。しかしこれは、坊ちゃまには少し不利な問題かもしれませんね。実は暗号は(本の返却は三冊まで)というところだけではなく(勇者パーティー一行)という部分も暗号なのです。つまり勇者パーティーの剣聖である私ランスロットの英雄譚は伝記のおいてあるBの本棚の本です。そして次にとったこの本は子供向けの本が置いてあるRの本棚の勇者ラルフをモチーフにした幼児向けの絵本です。最後に取ったこの本は学術書つまりEの本棚に置いてある賢者ガリレイの魔術書です。つまり(勇者パーティー一行)の部分は私たち勇者一行の本をとってこいという暗号だったのです。」


 「そして後半部分である、(帰ってきた)の部分は返却機にこれらの本を入れろという事でしょう。」


 そういったアレクシアはその三つの本を順番通りに返却機に入れた、するとこの部屋全体から「ガタンッ」という大きな音が鳴る。


 「おめでとうございます!」


 受付の女性は舌を出して微笑む、先ほどまでの清楚な笑みとは違う彼女の本質のようなものが現れたかわいらしい顔だった。

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