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異次元の殺し屋  作者: 永山ぴの
第1章【女子高生と殺し屋】
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プロローグ『いつかのお話』


 世界が、崩れていく。

大地は揺れ、空は褐色に染まり、今にも終わりが見えてくる。

 あらゆる場所で、生きている人間が悲鳴をあげた。

助けを求めた。

 だが、そんな抵抗は無駄だった。

建物に押しつぶされる人々、荒波に呑まれる人々……簡単に命が奪われていく。

誰も、他人に構っている余裕なんてなかった。

 そんな世界で……絶望しかない世界で、たった一人の少年が、最愛の少女を抱きしめて、少女を想って泣いていた。

 少年は、今にも崩れそうな研究施設の中にいた。


「なんで……こんな、結果に……」


 少年の、少女を抱きしめる力が強くなる。

少女の命を零れ落とすまいと。

 少女は今にも消えそうな声で囁く。


「あなたは、十分……頑張ったんですから……泣かないで」


「でも、お前は……!」


 少女の手が、そっと少年の頬を撫でた。

人差し指で少年の涙をすくい取る。


「嬉しい、です……最期に、あなたに……こんなにも……想ってもらえて……」


「最期……」


 少年はその言葉に全身が震えた。

少年にとって、少女の最期などあってはならなかったから。

こんな結末はあってはならなかったから。


「絶対に……ダメだ」


「……?」


 少年はゆっくりと頭上を見上げた。

深く、深く、深呼吸をする。

 しばらく経って、腕の中の少女と目を合わせる。


「お前の最期は、こんな形じゃ終わらせない。 俺が絶対に、書き換える」


 少女はその言葉を噛みしめるようにして、小さく笑った。

その目には、うっすらと涙が浮かんでいた。


「私は……あなたのこと、ずっと……信じてます。 だって……」


 少年が、力の入らなくなった少女の手を握る。

少女の期待に応えようと。


「だって、あなたは……世界最高の、殺し屋ですから……」


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