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2-14.昼食

最近ちょっと新キャラや新展開多かったので、一度ここらでのんびり回です。


 寮の食堂ではなく、本館にある食堂へと向かった俺、グリム、シアの三人衆。


「運動のあとはエネルギー補給だな!」


「眠ったあとはお腹がすくね~」


「魔法使うとカロリー欲しいよな」


 皆ばらばらの理由で食事を求め、席に着く。おばちゃんたちがカウンターにいるのはどの世界も共通のようだ。カウンターの奥に見える調理場では、炎魔法や水魔法、小規模な攻撃魔法が駆使され、食材が焼かれたり洗われたり、ナイフによって切られたりしている。


「どれ食べよっかな」


 メニュー表を手に取り、ぺらぺらと捲る。日ごとに内容が変わる部分があるから、あのウィンドウにはできないようだ。あれ、一応は内容が定まってないとだめだもんな。おかしいのは俺だけで。


「カレーかあ。でもステーキも美味しそう……あれ、待てよ、これは」


 その時俺は、視線を止めてイラストの描かれた一文に目が留まった。

 『ラーメン&餃子セット』と書かれている。


「これは、食べるしかないな、うん」


 前世と同じものかは分からないが、イラストを見た感じは一緒だ。


「オレ様はステーキ二人前だな」


「ボクはね~、お子様ランチにするよ。あれ、クリス君はラーメンセットなんだ~。中華料理好きなの?」


「ああ、(この世界では)食べたことはないけど、興味があってね」


「そっか~、ボクの故郷にいつか案内するよ~、美味しいお店あるんだあ」


「そういや、シアは東洋の国から来たんだったか」


 だから名前も中国語、いや、この世界では違うんだけども、ともかく漢字なわけだ。


「うん。両親がそっちの龍王國の出身でね~、大使館で働いているから、異文化交流?みたいな感じでボク、推薦を貰ってこっちに来たんだ~」


 りゅうおうこく。強そう。やっぱドラゴンとかいるのかな。

 つか、この世界にも大使館ってあるんだ。ちゃんと外国と交流してるんだなあ。交流の一員に選ばれるってことは、シアは相当優秀か、あるいは親が大使館の中でお偉いさんなのかだな。


「楽しみにしてるよ」


 おばちゃんのところへ行って注文を済まし、十五分も経たないうちに完成したものが運ばれてきた。魔法を使っているからか、速い。


「火傷しないようにね~」


 おばちゃんの一言に礼を言い、いただきますを揃って言うと、各々食べ始める。

 まず、ラーメンの香りをかいでみる。うん、見た目も匂いも、豚骨ラーメンそのものだ。麺とチャーシュー?ともやし?の乗った、シンプルかつ旨そうなラーメン。さて、一口頂こう。


「ごくり」


 慎重に、箸を使って麺を取る。四本ほどの麺を、口に入れて……香ばしい油の匂いが鼻を抜け、柔らかな麺を咀嚼する。うん、上手い。無限に食えるぞこれ。久しぶりに食べたことでちょっと旨味にバフがかかったとはいえ、これは前世ならば十分人気店になれただろう。一学食で提供されていることが惜しいくらいだ。あるいは、王都はどの店もこうなのか? 餃子も最高だ。噛むと液がじゅわりと滲み、熱いながらも手が止まらない。


「クリス君、箸使うの上手だね~」


 お子様ランチのプレートの一画にあるオムライスを食べ終えたシアがそう言った。そっか、洋食が定番の世界だから、基本的には箸がないのか。グリムもフォークとナイフでステーキを頬張っていること、だ、し……待て、もう二人前食べて追加の注文に入ったのか!?


「まあね~」


 シアには適当にはぐらかし、ラーメンを半分ほど食べたところで辺りを見てみる。初めてこの食堂を利用したが、大学の食堂みたいだな。椅子があって、長机があって、カウンターがあって。今も多くの生徒が出入りしている。


 視線を感じるのは、無視しようかな。


「クリスは目立っていたからなあ、最初の授業で上級を使うとは、いやはや恐れ入ったがオレ様も負けてないぞ!」


 グリムががっはっはと笑って言った。ああ、なんだかヴァルみたいだな。今頃ヴァルは王都の上空でも飛んでいることだろう。透明化するようには言いつけたから、騒ぎにはならんはずだ。ただ昔とはすっかり変わった景色を見たいだけだと本人も言っていたし。グレイは部屋にいるか、ヴァルが暴走しないよう見守っているか。


「そういえば、バーキン家ってすごいの? なんか、取り巻きみたいなのいたけど」


 相手のことを知っておくべきかと思って聞いてみると、シアが「まあね~」と気の抜けた声で説明してくれる。


「バーキン家は田舎貴族だけど、最近商売に成功して金があるんだ~。王に献上したみたいだし、昇っているところだ~ね~、あむあむ、あ、このプリンおいし~」


「うむ。王への献上品、たいそう素晴らしい品だったと聞いたぞ。レッドラン家も負けてられんの!」


「あれ、レッドラン家って貴族なの? ごめん、俺田舎出身だからあんま知らなくて」


 多分、父に領地があるとはいえ世間的には平民の身分の俺の方が珍しいんだろうな、この学院。


「レッドラン家は貴族ではないぞ。豪商の家系である。代々、国内だけでなく外国へも輸出しているのだ。ただ、近頃は魔獣たちの動きが活発でな。不可侵領域を避けて異国へ向かうとなるとそれなりの月日がかかるし、護衛の手が多く必要なのだ。だからオレ様は強くなって、最強の商人となるのである!!」


「おお~、がんばれぇ~」


「おお……」


 なんだか筋肉バカかと思っていたらちゃんとした目標と動機があって驚いたぞ。俺もそういうのないかな。学院来た理由はジャンさんの監視下に置くため、みたいなもんだし。魔法を極めてみたいのは、前世になかったから面白そうと思っただけだし。結構不純だよな。


 マジェスティは最近来ないし、魔王目指すのは面倒そうだし。なんかないかなあ。


 とりあえず、残っているラーメンと餃子を食べ終える。ごちそうさまでした。


「バーキン家は、新たなライバルになりつつあるのである! 特にあの兄だな、クラッド・バーキンは強いぞ! クリスよ、お前は勝てるのか!?」


 わくわくした面持ちで聞かれましても、まあ、勝てるとしか言えませんね。


「もちろん……あ、けど、ルールってどうなるんだろう。俺使い魔二人いるし、相手が不利だよね」


「問題ない。あちらには使い魔が四人いる」


「ほえ~」


 いけない、おもわずシアみたいな返事しちゃったよ。


「なんだ動じぬのか」


「まあ、うちの使い魔、強いからねえ」


「ファイアードラゴンとグレイシャードラゴンだったか。確かに強いな。だが、相手も十分にだな……」


 正確には、最上位悪魔【原初の悪夢】ヴァルサルクとグレイシャードラゴンなんだけどね。それこそヴァルなんて、天使とか連れてこない限り接戦すらないんじゃないかな。


「となると、お互いに使い魔ありかな。使い魔同士が戦って、勝ったら主人たちの戦いに参加、みたいな構図になりそうだ」


 そうなれば俺は勝ち確だ。でも、それじゃあつまらないよな。俺の強さを証明しないと。


「使ったことない魔法、やってみてもいいかも」


「なんだ、クラッド・バーキンを練習台にするのか」


「そんな挑発じみたことをする気はないけど、実家は田舎だったからね。訓練場なんてなかったから、今回、安全に魔法を放てるのならやってみたいなって。俺威力の調整がちょっと下手でさ。でも決闘なら威力ミスっても問題ないでしょ? 相手を倒すのが目的だし、観客には防御の結界でもしてもらえばさ」


「はっはっは、そりゃあ楽しみだなあ、クリス!! キマイラ寮の仲間として応援しているぞ! あのラッセルとやらの物言いはオレ様も少しむかついたしな!」


「ありがとう」


 そういえばさっきからシアがやけに静かだけど。


「ぐーぐー」


「食べ途中で寝るなシアー!!」


「追加のステーキ三人前だよ」


「あざっす!!」


 グリムは食べ過ぎた!!


ラーメン餃子、美味しすぎるよね(*'ω'*)


最近、使い魔君たちの登場少ないのは許して??

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