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1-18.魔法と王国騎士団

設定詰め込みだと難しいと思うので、ここらで一旦落ち着きます。

章の終わりに設定纏め挟む予定なので、今は全部「へーそーなんだ」でOKです。


幼少期編はリズム良く行きたいので、そろそろ終わりですかなぁ_φ( ̄ー ̄ )


 背後からやって来た騎士っぽい人たち十五名ほどは、それぞれ小さな竜?に乗っていた。ガチャガチャと鎧の音を鳴らしながら、最初に問いかけて来たリーダーらしき人が近づいて来る。


「我らは王国騎士団飛竜部隊、そしてオレは王国騎士団副団長及び飛行部隊隊長のジャン・グレイスフィートだ。隣の街にて訓練をしていたところ、異様な吹雪の目撃情報を受け至急訪れたのだが……」


 眉を上げながら、瞬時に魔力を消したヴァル、背後にひれ伏すグレイシャー・ドラゴン、最後に俺を睨みつける騎士たち。


 王国騎士団、父さんが昔いたって言う騎士団か。何だか装備も豪華だし、竜に乗ってるし、嘘じゃなさそうだ。


「もう一度聞こう。先ほどの魔法はなんだ?」


 八歳児の俺を子供ではなく戦士として見つめる瞳。完全にさっきのを見られていたらしい。ここは嘘をついても無駄そうだが、だからといって何と答えたものか……あ、そっか、父さんの名前出せば信用だけは何とかなるかも。


「ええっと、俺はクリストファー・ガルシアと言います。王国騎士団については、父アラン・ガルシアから少し聞いたことがあります。憧れだったので、お会いできて光栄です」


 子供らしい笑顔を貼り付け、愛想よく、いかにも無害そうに振る舞ってみる。ヴァルには負けるが、今世の俺は中々いい顔に生まれているのである。活かさない道はない。


「ほぉ、ガルシア様の」


 すると相手は感慨深そうな顔をして、ならば全ては父上と共に話そうと言った。


「久しぶりにお顔を見たいものだ。怪我をされてそのまま退団なされたからな。しかし、そこのドラゴンはどうしたものか」


 あー、そっか、この人たちを連れて帰るのはいいとして、目を離した隙にグレイシャー・ドラゴンが暴れたら困るもんな。あれ、けどこいつ、俺に従いたいって言ってたよな。


「なー、少しこの辺で待っていてくれるか? あと、吹雪を起こさないでくれると助かるんだが」


 いまだに首を垂れ続けているドラゴンに言うと、うむと首を動かした。


「よいぞ、人間よ。オレは強者に従うゆえ、その願い、聞き届けようぞ」


「じゃあ、頼むぞ。暴れたら怒るからな……そういうわけなので、家までご案内します、ジャンさん」


「え、あ、おお……信じて良いのだな? そいつが暴れないと」


「はい、まあ、その点については大丈夫です」


「そうか……ならば皆、家まで付き従うように」


「「「は、はい!」」」


 疑うような視線は変えないものの、先の戦いを見ていたためか、異論を唱える兵はいなかった。


 そうして帰路に着くこと、三十分後。見張りとして二体を除いた飛竜はグレイシャー・ドラゴンのもとへ置いて行かれた。まあ、家の前に置かれても困るし。


 鎧で歩いているというのに全く息を上げない騎士たちには驚きだ。と、家に着いたな。


「多分、父は書斎にいると思うので、呼んできますね。母にも伝えないと」


 隊長さんの命令で、彼以外は家の周りに待機となった。どのみち全員を迎え入れて歓迎するのは無理あるし、ナイス判断だ。


 とはいえ、さすがに家の周りにいられると、ご近所さんは気になるようで、グレイシャー・ドラゴンが吹雪を止めたこともあってちらほらと玄関に出て何事かとこちらを見る人たちがいる。


「あー、母さん、こちら王国騎士団飛行部隊のジャン・グレイスフィート隊長さん。外にも騎士の人たちがいるんだけど、お話があるから、とりあえず父さん呼んでくるね」


 キッチンにいた母さんに声をかけると、母さんは俺の背後にいるジャンさんを見て驚いた声を上げた。


「あらあらあら、お久しぶりね、ジャンさん」


「お久しぶりです、シエラ殿」


 あれ、二人って知り合いなの?


「母さんは昔、騎士団付きの修道女だったって言ったでしょう? ジャンさんはアランの部下だったのよ?」


 そういやそうだったな。だから治療魔法がらすごく強いんだよね、母さん。


 母さんがお茶を用意してくれている間に、俺は書斎へ向かった。


 こんこんこん、と扉を叩く。すぐに中から返事があった。書斎では領地に関する仕事をしていることが多いから、入るときはノックをしなさいと言われている。


「入るね、父さん」


「どうした?」


 仕事机に乗った大量の書類から目を離した父さん。今年はいつもより寒いもんだから、食物だとか獣だとか、色々と問題が多いらしい。そんな中、新たな面倒ごとを持って来てしまったため申し訳なさがあるが、しゃーない。


 グレイシャー・ドラゴンを止めて吹雪を収めたんだ、領地にはプラスのことだ、堂々としよう。


「王国騎士団飛行部隊隊長のジャン・グレイスフィートさんとその部下の方たちが来ているんだ。とりあえずジャンさんだけが家に入ったんだけど、お話があるから、父さんもってことで、今いいかな?」


「ジャンか、懐かしいな。しかし王国騎士団だと? なんで……」


「あー、それなんだけどね、大変言いづらいんだけれども」


 うぅ、最近俺の平和な異世界生活が崩れている気がする。


「サンクチュアリ大森林でゲートが開いたことで、近所の森にグレイシャー・ドラゴンが現れたんだ。それで、隣街で訓練をしていた王国騎士団が異様な吹雪の報告を受けてここへ来たんだけど……」


「グレイシャー・ドラゴンだと!? なるほど、この異様な吹雪はそいつのせいか……森は少し離れているから、魔力探知ができなかったか……失態だな、すぐに住民の避難と討伐を」


 勢いよく立ち上がって外へ向かう準備に手をかける父さんを止めるべく、俺は正直に告げた。


「違うんだ、父さん」


「何が違うのだ、すぐにでも倒さねば危険だ」


「違うの、王国騎士団がここに来たのは討伐を領主である父さんに要請したいからじゃなくて、俺がグレイシャー・ドラゴンを倒したのを見たからなの」


「…………」


 絶句する父さん。


「殺してはないんだけどね、無力化したっていうか、勝ったっていうか。今は森で大人しくしてくれているよ。吹雪も止めてくれた」


「…………」


「俺、よく分かんない魔法使っちゃってさ、それを見られてて、話があるってことで、俺どうしたらいいか分からなくて、王国騎士団っていうからとりあえず父さんの名前出してみたんだ。ごめんなさい」


「…………よく分からない魔法って、いうのは?」


 ようやく意識を取り戻した父さんがぽつりと囁いた。こんなに覇気のない父さん初めて見たかも。


「ええっと、運命作家(ストーリーテラー)っていう魔法。俺もよく分かんないんだけど、頭に浮かんだんだ」


「聞いたこともない魔法だが……まさか……いや、効果を聞かねば判断は何とも……」


 グレイシャー・ドラゴンといい、ジャンさんといい、この魔法は何かヤバいのだろうか。


 確かに魔法書とかにもないけど、新しい魔法使っちゃったとか? それだと確かにまずいなぁ。


「分かった、ひとまずジャンと会おうか」


 なんだか一気に十歳くらい老けた顔の父さんの後ろを追って、俺はジャンさんと母さんが紅茶を飲んで待ってくれているリビングへと戻った。


***


 大体の事情を説明し終える。


 俺がヴァルに連れられて外へ行き、魔力操作と魔力感知を覚え、それをもっと身につけようとヴァルが言ったことで森へ入ったこと。


 そこでグレイシャー・ドラゴンを見つけ、戦いになってしまったこと。宙に浮かされ死を感じた時、魔法の名が頭に浮かんだこと。


 それの効果が、相手の魔法に干渉するものだったこと。実際、相手が発生させていたはずの吹雪は俺に味方し、さらには一部が塊となって氷の槍と化した。


「ううむ……それは、まさか、な」


「やはり、アラン様もそう考えますか」


 かつての部下というだけでなく、剣技における弟子の一人のようで、ジャンさんは父さんに様をつける。


「ああ。シエラ、お前はどう思う?」


「私も、同じことを」


 え、なに、俺そんなにヤバいことした?


 分からなくてヴァルに目を向けると、こいつ、バリバリと菓子を食ってやがる。


「んぁ? なんだ、クリスよ」


「俺、ヤバいことしたの?」


「何だお前、まさかとは思ったがほんとに無意識でアレを生み出したのか」


「アレって魔法のことだよな。そりゃ、知らない魔法だったけど、もしかして闇魔法とか言わないよな」


「もっとマズいぞ、クリスよ、はっはっは!!」


 菓子で汚れた指をペロリと舐めたヴァルはニヤリと笑って言った。


「クリスが使ったのは、伝説級魔法の中でも全属性統一魔法にあたるものだ。威力ではなく、世界への干渉をする方だな」


 「はぁぁぁぁぁあ」と深いため息の大人三人。


 「へ?」と状況を理解できない俺。


 「なっはっはっはっは!!」と笑う悪魔。


自分で書いといてなんですけど、

クリスもまあまあヤバいやつだけど、

父も結構ヤバいですよ。現役時代、中隊隊長だっただけで、大隊でも団長でもないのに、現団長&現副団長の師ですからね。


ちなみに、王国騎士団はクリス父のいたころとは違う編成をしています。

現在は125名の騎士が五つの部隊(剣術部隊、投擲部隊、魔法部隊、飛行部隊、暗殺部隊)に分かれてそれぞれ特化型でやってますけど、昔は大隊1つ、中隊2つ、小隊3つでした。そのためバランス良いけど、どれかを極めるのはむずい状態でしたね、はい。

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