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寿司戦隊ニギリンジャーX  作者: 冷詞 奴
EP1 寿司戦隊と日常と
5/7

5話 マグロレッドとマッチョたち

ある晴れた日、マグロレッドは寿町にあるトレーニングジムを訪れた。

もちろんバトルスーツではなく、普段着でだ。彼は強靭な体を持つが、常に新たな挑戦を求める精神を持っていた。ジムに入ると、そこは筋肉隆々のマッチョたちで溢れかえっていた。


「よう、新しい顔だな。ここは町の強者が集う場所……覚悟しとけよ」と、一番大柄な男性が言った。


マグロレッドは怯む様子もなく笑顔で応じた。

「そうだな。みんなの力を借りて成長したいんだ。よろしく頼む!」


周囲の男たちは少し驚いた表情を浮かべながらも、マグロレッドを歓迎した。もちろん、からかってやろうという気持ちは抑え切れずに。


「さて、新入りくん。ここでは力が全てだ。君の実力、見せてもらおうか?」


マグロレッドは笑みを浮かべ「うむ。力の試し合いか、楽しみだ!」と返した。彼は闘志に満ちた眼差しで相手を見据えた。


マグロレッドは男たちとの力比べに臨んだ。最初は彼の穏やかな態度に対して、少し舐めた態度を見せる者もいたが、その場で彼の驚異的な筋力と俊敏性によって一転して尊敬の眼差しで見られるようになった。


「おっ、初めてであんなに動けるとは……意外だぜ」

「すごいパワーだ!こいつ、怪物かもしれんぞ!」


ジムの雰囲気は一変し、マグロレッドをめぐって一層の興奮が高まった。彼はただ力比べを楽しむだけでなく、自身の技術や戦術をさらに磨くために、これらの強者たちとの戦いを求めていた。


「みんな、ありがとう。これからも色々と学ばせてもらおう!」とマグロレッドは謙虚に答えた。


「おい……そういえばあの声、どこかで聞いたことないか?」一人の男が仲間に耳打ちする。

 

「あぁ、確かにあの声、どこかで聞いたような気がするな。でも何だろう?」

「そうだな……。あの『寿司戦隊』のメンバー……マグロレッドに似ているような……」

「まさか、あいつが本当にあの寿司戦隊のマグロレッドだったりするのか?」


男たちはマグロレッドを注視し、耳打ちし合う。


「いや、まさか。あの寿司戦隊のメンバーがこんなところに来るわけがないだろう?」

一人が疑問を呈した。


しかし、その言葉に対して周囲は静まり返り、誰もがマグロレッドの姿を確認しようと注目する。マグロレッドはその視線に気づき、あっけらんかんとした顔を浮かべた。


「どうしたんだ?」と、彼は穏やかに尋ねる。


「いや、その……君は本当に『マグロレッド』なのか?」

一人の男が勇気を出して尋ねた。


マグロレッドは一瞬だけ戸惑ったが、すぐに笑顔を取り戻した。

「そうだ、俺がマグロレッドだ。普段はバトルスーツで戦っているけど、今日はみんなと一緒にトレーニングをしたかったんだ」


その言葉にジム全体が一斉に息を呑む。そして、次の瞬間、歓声が上がった。


「本物のマグロレッドだ!信じられない!」

「おい、写真を撮ってもらえないか?」

「こんなところで会えるなんて……ラッキー!」


男たちは一気に友好的な態度に変わり、マグロレッドに対する尊敬と興奮が溢れ出した。彼は一人ひとりと握手し、写真を撮り、そしてトレーニングのアドバイスまで求められるようになった。


「みんな、ありがとう。今日は楽しい時間を過ごせた。でも、これからもみんなと一緒に成長したいんだ。だからあまり特別扱いするのはやめてくれ」


その言葉に男たちはさらに喜び「もちろんだ、マグロレッド!これからも筋肉仲間として一緒に頑張ろうぜ!」と応えた。


 

次の日、また新たな人物がジムに現れた。

男は地味なトレーニングウェアを身にまとい、帽子を深く被って顔を隠していた。しかし屈強な体格は隠せておらず、強者の雰囲気を醸し出している。


男はジムに入り、周囲の様子を窺いながらトレーニングを始めた。彼の筋力と動きは一見して普通のトレーニングジムのメンバーとは違い、その鋭さと力強さから、経験豊富なトレーナーたちはすぐに彼の実力を見抜いた。


「おい、あの新顔、ただ者じゃないぞ」

「確かにな。動きがプロのそれだ」


一方、マグロレッドは普段通りのトレーニングを続けていたが、ジムの雰囲気がいつもと少し違うことに気づいた。視線を感じた彼は、周囲を見渡すと、見慣れない男が目に入った。


「彼も新人か……?」

マグロレッドはその男に興味を抱き、声をかけることにした。


「やぁ。君もここでトレーニングを始めたのか?」


男一瞬驚いたが、すぐに微笑みを作り返した。

「ああ、そうだ。今日からこのジムに通い始めたんだ。君が噂のマグロレッドかな?」

「そうだ、俺がマグロレッドだ。君の名前は?」

マグロレッドは友好的に尋ねた。


「俺は……ブリュース。よろしく頼むよ」

男は妙な間をもってそう名乗った。


二人は互いに簡単な自己紹介を済ませ、共にトレーニングを続けた。ブリュースと名乗る男は、その間もマグロレッドの動きや実力を観察していた。


しばらくトレーニングした後、ブリュースは静かにマグロレッドに近づいた。


「もう気づいてるんだろう?」

そう言うが、マグロレッドは言葉の意味を理解していない様子だ。


「なんのことだ?」

「フフ……俺の正体だ。俺こそが孤高のダークヒーロー……」

ブリュースはそこまで言うが、やはりマグロレッドはピンと来ていない様子で子首を傾げる。


「孤高のダークヒーロー?」

マグロレッドは少し戸惑いながら繰り返した。


ブリュースは帽子を取り、顔をしっかりとマグロレッドに見せた。


「そうだ。俺の正体は……ダークヒーロー・ブリンジャーだ」


一瞬の静寂が訪れる。しかし、マグロレッドは相変わらず戸惑いながら「……すまない。君のことをよく知らなくて」と申し訳なさそうに答える。


「なんだと……!?このブリンジャーを知らないと言うのか!?どこまでも気に食わんヤツだ……!!」

ブリンジャーはプライドを傷つけられたのか、目の奥で静かな怒りを燃やす。


「落ち着いてくれ。俺は単にトレーニングに集中してるだけなんだ。君がダークヒーロー・ブリンジャーだってことを知らなかったのは、俺の勉強不足だったな」

マグロレッドはなだめるように言った。


ブリンジャーは終始顔をしかめていたが、その言葉を聞き鼻で笑う。


「いいだろう……ならば、俺の強さを見せつけてくれる」

ブリンジャーは不敵に笑う。その顔は自信に満ち溢れていた。


「おい、今から俺はマグロレッドと力比べをする!」

ブリンジャーは高らかに宣言する。


「お、なんだなんだ?」

「あの新人、すごいやる気だな」

その宣言に周りの男たちはザワつき、二人の周囲に集まってくる。


「なんのつもりだ?」

「クク、ギャラリーは多い方が燃えるだろう?」

  

――――俺がここに来たのは他でもない。マグロレッドがジムに現れたとの噂を聞いて、だ。ここで俺が力を奴を打ち負かせば、俺の名声は一気にうなぎ登りだ。


ブリンジャーの宣言により、ジムの雰囲気は段々と熱気に包まれていった。


「なかなか大それた宣言だぞ、新入り!」と、一人の男がヤジを飛ばす。


「本当にマグロレッドと戦うつもりか?あの男、一流のヒーローだぞ!」


ブリンジャーはそんな周囲の反応を嬉しそうに受け止め「当然だろう?俺は今日ここで、マグロレッドと真剣勝負をする。俺の真の力を見せてやる」と自信満々に宣言した。


一方のマグロレッドは、ブリンジャーの自信に応えるように穏やかに笑みを浮かべた。


「ブリンジャー、君の意気込みは分かった。受けて立とう」


ブリンジャーはジムの中央にあるリングへ上がる。どうなら直接、格闘戦を申し込むつもりだ。


「マグロレッド!俺との真剣勝負に応じる覚悟はできたか!」


マグロレッドは落ち着いた表情で応じた。


「もちろんだ。君の力を試すのはいい経験になる。しかし、本当に本気で戦うつもりか?」


ブリンジャーは嘲るように笑う。


「当然だ。侮るな!ここで俺の力を見せてやる。そしてこのジムに、この町に俺の名前を刻みつけるのだ!」


マグロレッドはブリンジャーの覚悟を感じながら、戦いに備えた。ジムの中心に立つ二人を囲むようにして、周りの男たちも興奮を抑えきれない表情で見守っていた。


ブリンジャーは自信満々に腕を組み、挑発するように待っていた。

「さあ、マグロレッド。これからお前を粉砕してやるぞ!」


マグロレッドは静かながらも堂々とリングに向かい、対峙した。


「あぁ。試合のルールはどうする?」

「ルールなど要らん!ただ、力で勝負するんだ!」

ブリンジャーは野性的な気迫で叫んだ。


ジムのメンバーたちは興奮のあまり、ざわめきを抑えることができない。この熱気はまるで、場のエネルギーが彼らの中を駆け巡るようだった。


「行け、新入りー!!」「マグロレッド、頑張れ!」「どっちが強いんだ?ワクワクが止まらねぇ!」


好戦的なブリンジャーに、マグロレッドは静かに応じる。


「分かった。では力で勝負しよう」


二人はリングの中央で向き合い、闘志を燃やしていた。ジムの周りには興奮した声援が飛び交い、その熱気がリングを包み込んでいた。


「いくぞッ!!」

 

ブリンジャーは先手を取って、素早くマグロレッドに向かって一気に突進した。その速さと力強さによって、彼の攻撃はリングを揺るがすほどのものだった。


しかし、マグロレッドは冷静にその攻撃をかわし、ブリンジャーの背後にまわる。そして、力強い打撃ひとつで彼をリングの端に押しやる。


ブリンジャーは立ち上がり、マグロレッドに向かって再び突進する。彼は激しい連続攻撃を仕掛け、その一撃一撃がリングに轟音を響かせた。


マグロレッドはその攻撃に対して、自身の機動力と反射神経を駆使してうまくかわし、同時にカウンターを放つ。その正確な技術と力強い一撃で、ブリンジャーを圧倒した。


「ちっ……!」

ブリンジャーは息を切らしながら睨みつける。


マグロレッドのカウンター攻撃に少し動揺しながらも、再び攻勢に出る。彼の攻撃は荒々しく、力強さと狡猾さが混ざり合っていた。

マグロレッドはブリンジャーの攻撃を避けながら、その動きを読み取る。彼は静かに呼吸を整え、次なる一撃を狙った。


ブリンジャーの攻撃はますます激しさを増し、ジムの中には熱気が充満していた。観客たちは二人の激しい戦いに息を呑む。


マグロレッドは正確にその攻撃を受け止め、ブリンジャーの攻撃パターンを読み取っていた。

ブリンジャーはひたすら攻め続け、次々と技を繰り出すが、マグロレッドの反応は素早く、それを巧みにかわす。その度に観客たちはどよめき、熱い声援が飛び交う。


そして、マグロレッドは一瞬の隙を見つけて強烈なカウンターを決めた。その一撃がブリンジャーをリングの端に吹き飛ばし、観客たちは一斉に歓声を上げた。


ブリンジャーは何とか立ち上がり、マグロレッドに向かって再び猛攻を仕掛ける。彼の勢いは弱まるどころか、ますます激しさを増し、その姿はまさに孤高のダークヒーローを体現しているようだった。


「なかなかやるなッ……マグロレッドォ!」

「君もだ。ブリンジャー!」


弱まることの無い彼の闘志に、マグロレッドは素直に敬意を表す。


「だが終わりにしよう……!」


マグロレッドの拳から赤い閃光が放たれた刹那、ブリンジャーは反射的に、自分の身を守るために全力を注いだ。


――――マズイ、この攻撃はッ……!!


マグロレッドの強烈な一撃がリングを揺るがし、ブリンジャーはその衝撃でリングの外へ吹き飛ばされた。観客席の熱気は最高潮に上がり、一斉に歓声が上がる。


ブリンジャーは辛うじて立ち上がろうとするが、そのダメージは大きく、彼は息を荒くしながらマグロレッドに向けて視線を送る。


マグロレッドはリングの中央で静かに立ち、ブリンジャーを見つめている。彼の表情には戦いの余韻と共に、相手への敬意がにじんでいた。


「ブリンジャー、立ち上がれるか?」

マグロレッドが静かに尋ねる。


ブリンジャーは一瞬、言葉に詰まる。そして、やや恥ずかしそうに俯きながら「お前の強さ、認めよう……。俺はここでお前を倒す覚悟で挑んだが、お前の前に敗れたことに悔いはない」と語った。


マグロレッドはブリンジャーの言葉に深く頷いた。彼はそっと手を差し伸べ、ブリンジャーを助け起こした。


「ありがとう、ブリンジャー。君も間違いなくヒーローだ。お互いに成長し合えたことを誇りに思う」とマグロレッドは穏やかに言った。


ブリンジャーはマグロレッドの手を受け、立ち上がる。


「……俺は、今日の戦いで多くを学んだ。俺の力、もっと高めてみせる。そしていつか、お前を超える日を楽しみにしている」

「あぁ。そのときは、また真剣勝負だ!」

マグロレッドは微笑んで応じた。


ジムのメンバーたちは二人の戦いを讃え、拍手喝采を送る。ブリンジャーの挑戦は終わりを告げ、彼はジムの一員としての道を歩むことに決めた。


その後、ジムではブリンジャーとマグロレッドの戦いが話題となり、二人の名前はますます広まっていった。特にブリンジャーは、その孤高の戦いぶりが多くのジムメンバーに感銘を与え、彼のファンも急増した。


マグロレッドはいつも通りのトレーニングを続けながらも、ブリンジャーの成長を見守っていた。彼は「寿町の強者たちと共に成長する」という新たな目標に向かって努力を重ねるのであった。


【次回予告】


突如、町で起こった動物たちの凶暴化……町は混乱に包まれ、寿司戦隊の四人は再び集結した。彼らはその背後に潜む真相を解き明かし、町と動物を救うため立ち上がるッ!!

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