選ばない権利についての現状 個々の事例から見える総評
選ばない権利を保障する〈とされている〉法定得票の適用事例の数などから分かる近年の情報については先の項目で記述したが、個々の事例についての調査からの評価はされていないのでここで述べる。
個々の事例について一つ一つ記述するのはかなりの文字数を消耗し、ここで判断できた法定得票数の適用事例の現実を記述することは混乱を生む。故に総評という形で記述する。ただし、外部資料を使用することで現実の把握をしやすくすることにする。
法定得票の適用事例について個々の事例を総務省がわかりやすくまとめている資料はインターネット上に存在する。ただし、作成時期が古いので近年の事例は存在しない。総務省に近年の事例についてのの資料があるかを問い合わせても同様の資料はなく、比較的新しい資料について総務省は、事例の把握はあったので事例の名称を聞きだしては一つ一つ検索して情報を収集する必要があった。よってかなり面倒な作業であるので古い資料だけで話す。古い資料だけでもその異常さが判断できることが幸いである。
「法定得票 再選挙」で検索、「過去の再選挙の事例について」を参照求む。
上記資料では前話における「適用事例」での
2007年 4月22日 宮城県加美町長選挙 以前の情報をまとめたものである。なお、再選挙の結果が出ているので同選挙の再選挙が実施された同年6月17日から2007年 4月22日 東京都昭島市議会議員選挙の再選挙2008年10月05日までの間に作成されたものであると推測できる。〈総務省は再選挙が完了した事例しか把握していない。そのため問い合わせ時点で再選挙が終わっていなかった2023年 4月23日 滋賀県日野町議員選挙については自力で発見せざるを得なかった。〉
この結果わかったことはこの法定得票が事実上、選ばない権利を保障できていないという現実だった。
「過去の再選挙の事例について」で見るのであれば最終的に当選した立候補者が1度目の選挙で法定得票数による落選経験がある議員であるという事実だ。〈再選挙である右表最上段の名前が左の表に存在するか探してみる〉
新しいほかの選挙のデータを調べてみると、再選挙の結果が出ている11事例のうち10例が1度目の選挙で法定得票を下回り、有権者より政治家たる資格なしと判断された立候補者が最終的に当選しているという現実である。
さらに唯一最初の立候補者が落選していると判断できる事例では1度目の選挙で落選した立候補者が一人も立候補しなかったことが当選しなかった理由であり、どうして立候補しなかったかといえば1度目と2度目の選挙の期間が1年半近く空いていることにより、モチベーションの維持や就職など選挙に出れる状態ではなかったことが原因である可能性がある。ゆえに、特段の事象なき場合、法定得票数割れした「政治家たる資格なし」と判断された人間が当選している現実が存在する。
これが法定得票数が事実上 選ばない権利を保障していないとする根拠である。
法定得票数制度の適用を望み、白票と投じても最終的に自分の思いと反する政治家がほぼ必ず選ばれてしまう現実…。その問題について次回記述するつもりである。