君の笑顔は無邪気さは見る影もなくどこかへ行ってしまった
貴方は冷たくなってしまった。裂かれてしまいそうだけど涙は流さない。だって、泣いてしまったなら貴方にかかって寒い思いをさせてしまう。
二人で笑って歩いた道を一人で歩いて、横で笑っていてくれた貴方は私の腕の中で一緒に歩いてくれている。力なく重力に従うように腕を垂らして、白くなった顔で空を仰いでいる。
一人ゆく道は侘しさが、募っていく。
「貴方悲しいなら空を見上げたらいいよ。どこまでも広がっていて悩みがちっぽけなものに思えてくる」
貴方はそう言ってくれたけど、今空を見上げても私の悩みは全然ちっぽけに思えなくて苦しさだけが広がっていく。何も詰まってない喉で息をするのが難しくなって、貴方を落とさないように地面に膝をつく。
あぁ、ごめんなさい。これ以上貴女に寒い思いをさせたくなかったのに涙がとめどなく溢れて頬から頬へ伝わっていく。白く氷のように冷たくなった頬を一撫でする。温かい自分の手と対照的に冷たい貴女の頬はこの世界に存在しないことを、より強く認識させて辛くなる。
「……ごめんね」
私は貴女が置いて言って欲しいと言っていた場所に置いていく。
ではまた。