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貴方を心から愛しているから! 私の顔を見ないで!

作者: 七瀬






私はこの村では、“一番の美人”と言われていた。

誰よりも綺麗で可憐で美しい女性ひとだと!

当時、私と付き合っていた彼も? この村では、“一番の美男子”と

言われ、私と彼が一緒に歩いているだけで。

小さな村なのに、人だかりができるほど。

【有名なカップル】として! 雑誌にも取り上げられた。

あの時の私は、幸せを噛みしめていたわ。




・・・そんなある日。

私の前から、一人の知らない男性が歩いてきて、液体のような

何かをかけて逃げて行ったわ。

私の顔は、みるみるうちに燃え盛るように顔が熱くなり爛れ落ち

るような痛みを感じたわ。

この村で最近、流行っている。

“アシッドアタック”を私は受けてしまったのよ。



誰かの妬みなのか? 恨みなのか? 嫉妬なのか?

私には、何も分からないのだけど、、、?

このキレイな顔が、怪物のような顔に崩れ落ちてしまった。

私はすぐさま、病院に運ばれて何度も手術もしたのだけど、、、?

もう、元の顔に戻る事はなかった。

彼も、今の私の顔を見て! 直ぐに私から離れていってしまったわ。




彼とは? 結婚の約束もしていたのに、、、。

破談になった事で、私は親に面倒を見てもらう事になったの。

私の父親は? 怪物になった私の顔を見て! こう言ったわ。



『・・・一層の事、お前が死んでくれれば俺たち家族はこんな辛い

思いをしなかったはずなのに。何故? お前は、そんな顔でも生きて

いられるんだ!』

『・・・ごめんなさい、パパ、ママ!』

『そんなヒドイ顔で、これからも生きていくのか?』

『パパ! 娘にそんな言い方ないわよ! ワタシは、この子が生きて

くれてさえいれば、それで良かったと思ってるのよ。』

『・・・じゃあ、お前がコイツの面倒をみろ!』

『・・・えぇ!?』

『・・・・・・』





・・・そう言って、父親は私達の前から消えたわ。

私がキレイで、村の皆から特別扱いされている時は、自慢の娘だと

みんなに私を自慢していたのに。

私が、こんな顔になったら? 父親は家族を捨てて何処かに行って

しまった。

未だ! “犯人は捕まらず”私以外の犠牲者も何人かいるわ。

表向きは、笑顔で私を褒めてくれていても。

裏の顔は? “嫉妬心でいっぱいなんだと分かったの!”

しかも!? 私の彼は、村でも美男子の好青年だったしね。

こんな顔になったら? 誰も私の事なんか、見向きもしなく

なってしまったわ。

こんな顔じゃ! 鏡を見る事も怖い!

過去の私と今の私を、どうしても比べてしまうの。






・・・そんな時。

一人の若い男性ひとが私の家を訪ねて来たわ。

彼は? 私と幼馴染の男の子のジョイダンだった。

彼は、私のこの醜い顔を見ても驚くこともなく普通に私に接して

くれたわ! 私の母親も私も、ビックリしたの。

皆、私を見て! 驚いて逃げて行くから。

それに、私もなれていたの。





この日から、ジョイダンは私に会いに家に来てくれるようになったの。

彼はいつも優しく、私に接してくれたわ。

私は、少しずつ彼に心を開くようになっていったの。

彼の優しさに、涙する事もあったわ。

私は、気がつけば彼を好きになっていった。

でも? 彼は、私の事が好きなのか?

ひょっとしたら? 私を揶揄っているだけかもしれない。

他の女性ひとと付き合っているかもしれない。

いろんな事が私の頭の中を過った。

でも? 彼は、私の気持ちに気づいてこう言ってくれたわ。



『僕の初恋の女性ひとは? “アマンダ君だったんだよ。”

今も、その気持ちは変わっていなんだ! どうか! 何も言わずに

僕と付き合ってくれないか?』

『・・・ジョイダン、本当に私でいいの?』

『あぁ! 勿論さ! 僕は君がいいんだ!』

『・・・そんな風に言ってくれて、嬉しい!』






・・・その後。

私とジョイダンは、細やかな結婚式を挙げて。

二人だけの新婚生活をはじめたのだけど? 今の私の悩みは。

彼に私の顔を見てほしくない! この醜い顔を。

私の愛する貴方に、見られたくないの。

これからも貴方は? “醜い私を愛してくれますか?”


 


最後までお読みいただきありがとうございます。

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