1話
不定期更新になりますができるだけテンポよく更新していきたいと思います。
なにとぞよろしくお願いします
夜。
日が沈み暗くなり視界に多大な影響を与え、一般的には眠りに就く時間帯とされる。
また奇襲にも有利な時間帯である。
さて、なぜこんなことを言ったかというと諸橋 衛―自分のことだ―は与えられた任務を達成するために草木も眠る時間に目標地点に前進し好機をうかがっている。標的は武装集団のリーダーとそこに武器を売っている会社の社長だ。明朝に会合するらしいが…
「フェリクス、こちらジュダイ。標的2名を確認。」
「ジュダイ、了解。攻撃のタイミングは任せる。標的を射殺後は速やかに離脱せよ。距離は4500フィートと大したことないが風に気をつけて。グッドラック」
「ああ、神にでも祈るとするかな。」
距離、風向き、風速、温度……よし
パスン、パスン
サプレッサーによって抑えられた発射音が2回鳴り響く
「任務完了、これより離脱する。」
「こちらフェリクス、ナイスショット。その距離だと見つかる可能性がある。発見されずに離脱せよ。」
来たときよりも慎重に、違う経路を通る衛。しかししばらくすると突然連絡が届き
「ジュダイ、待て!そこから先は何か嫌な予感がす
フェリクスの言葉を最後まで聞くことができないまま衛は突如踏み出した足元から発生した光につつまれた。
「……ん?なんだ?どこだここ」
確かにさっきいたような森の中だ。だけど植生が全く違うし見たことがない木が生えてる。
「とりあえずあんなに眩しい光だと敵に気づかれてるだろうから早く離脱して隠れなければ!」
そういうや否や先程までとは段違いの速さで木々の間を走る。
光の中でも動いてないからたぶんこっちの方角のはず!とりあえず隠れる場所を探して体制を整えたいな
しばらくすると離れたところに巨木のうろをみつけた
物音を立てないように気を付けながら早速中に入ると空間は外見通り大きく、また野ざらしとは思えないほど整っていた
「さて、今はどういう状況なんだ?何も踏んだ感触がないのにあふれた光、そのあとにいたのは見覚えのない場所。そして見たことない木々ときた。」
とりあえず今の装備を確認しよう…
サプレッサー付きのMDRと弾180発、同じくサプレッサーがついてるM110と弾40発、あとナイフと水1L
「…これだけかぁ、回収地点までどれくらいかわからないし弾は節約していかないとな。食べ物は探せばあるかな?」
ねぇまってよー! へーん、秘密基地まで競争って言っただろー!
やばい、子供が近づいてきてる!?中が整ってるのは子供たちがやったのかな
隠れる場所もないし友好的だといいんだけど……
「うわ!なんだこの緑色の奴!ゴブリン!?」
ゴブリン?失敬な!確かに敵にばれないように泥とか塗ってるけど!
「待ってくれないかい?僕は人間だよ。旅をしていたら迷ってしまったんだ。ここがどこか教えてほしいな。」
ほら、怖くない、怖くない。別に怒ってなんかいないさ
「ねえ、なんか怒ってない?」
2人の子供が若干引きながら尋ねてくる。
「怒ってないよ?確かにこんな格好じゃそう思われても仕方がないからね」
はいここで必殺スマイル
これで警戒心を取り除いて情報を集めたいな
「んー、ならいいや!アリア水もってこいよ!汚いけど顔くらいは拭いてほしいし」
そう少年が言うともう1人の少女が文句を言いながらもうろを出て行った。
名前的に女の子だよな……格好で男の子だと思ってたや。
「ありがとう、すっきりしたよ。良ければさっき言った通りこのあたりのがどこか教えてほしいな。」
「お、おう!いいぜ「まってお兄さん、教えたらなにくれるの?」おいアリア!別にこのあたりのことなんかいいじゃんかよ!相変わらずケチだな!」
「シアンちょっとうるさい、で?どうなのお兄さん」
こちらを挑発するような雰囲気をだしながらそう聞いてくる少女?のアリア。
やっぱり警戒は完全には解けないか、現状と齟齬がないことを言わなければな。
「ごめんね、君たちにあげれそうなものは今はなにも持ってないんだ。旅の時のお話ぐらいしか今は無理かな。」
これなら違和感はないと思うけどどうだろうか?
「うーん、じゃあ村についたらそのお話聞かせてよ!」
「もちろんだとも、好きなだけ話してあげるよ。」
「それなら俺から教えるね!ここは俺たちが住んでいる村、ネルの近くにある森だよ!ここまで奥には入らないけどお父さんとかが肉を獲りに来てるよ。」
「ついでに言うとネル村はイルマ王国のはずれにあるのよ。だから王都に行ったことないんだよね」
イルマ王国、聞いたことない国だし作戦地域の近くにもない国だな。あの光でどこか違うところに飛ばされたのか?
「ねえ、日本って国知ってるかい?ジャパンとかジャポーネともいわれるんだけど。」
「「知らなーい!」」
「お兄さんはそこの出身なの?」
「そうなんだけど参ったなあ、ここは僕がいた場所じゃないかもしれないな。」
無線もずっとつながらないし本当にここはどこなんだろう。
「あ、それ聞いたことある!迷い人ってやつじゃない?」
「迷い人ってなんだい?えーっと、シアン君?」
「おばあちゃんが言ってたんだけどたまに遠い場所とか違う世界から何の前触れもなく現れるんだってさー。兄ちゃんもそうじゃない?もしかしたら違う世界から来たのかも!」
違う世界か、確かに見たことがない植物がいっぱいあったしなあ……
違う世界だとすれば魔法とかあるかな
「ねえ魔法ってつかえる?」
「何言ってんだよ兄ちゃん、簡単なのだったら誰でもつかえるじゃん!俺も最近練習してるんだ。」
「じゃあ試しに見せてくれないかい?」
果たして本当に魔法なのか、もしこれで魔法だったら違う世界に来てしまったってことだよな
「じゃあいくよー、『トーチ!』」
ポッ
マッチの火くらいの火球がシアンの指先から出ている。そよ風の影響も受けずにずっと指先にある
……うん、違う世界に来てしまったみたいだな
これからどうするか、とりあえず衣食住を確保したいところだけども
「シアン君、アリアちゃん、どうやら僕は違う世界からきた迷い人らしいんだ。よければこの世界のことを聞きたいから大人の人と話をさせてくれないかな?」
じつはフェリクスは女性。しかも衛のバディ的存在でした。