第七話 S級冒険者 カゲロウ
第七話 S級冒険者 カゲロウ
「…あーめんどくせえな」
ブライトは巨大な肉塊を食べながらブライトは呟く。
酒場の中でジルもため息をつく。
「まあ、彼ですからね」
ガヤガヤと多くの客がいる中で通る声が響く。
「たのもーう!!」
そこにいたのはどこか武芸者のような無精髭に肉食獣のような爛々とした眼をした紅い着物の男だった。
「そこにいるのは!ランクオーバー二人![殲滅王]ブライト=ドラゴニック殿と[冥王]ジル=ドラゴニック殿じゃああないか!!最強の兄弟に、いるのは美しい乙女が二人、よいよいそちらも只者ではござらんなあ!!」
楽しそうに笑いながらこちらに向かう。
「ではいざ!!」
刀に手をつけようとした瞬間、ブライトの手が瞬時に抑えた。
「おい、バトルジャンキー、ここは飯食う場所だ、それに軽々しく俺らの名前いってんじゃねえよ、毎回何度言わせんだ」
「すまぬ、どうにも戦いとなると」
「まあ昔馴染みだ、外いくぞ」
酒場の客の視線をみながらため息をつき会計を済ませブライトはキサラ達を呼んだ。
白の草原
ミセスブランから徒歩で一時間ほど歩いた白い草が生える草原に紅い着物の男の前に相対するキサラ一行。
「たくよー、マジお前何なの?」
「強者の匂いには敏感だからな」
「たく、マジめんどくせえな」
男はカカカと笑う
「さてお嬢さん方ははじめましてかな? 俺の名前はカゲロウ、S級冒険者[武芸者]と呼ばれている」
「あらあら、それはご丁寧にありがとうございます、私はキサラ=ワーグナーと申します」
「私は従者のミリア=サクリファイスと申します」
「ワーグナー?すると大魔王の親族!!」
カゲロウは獰猛な肉食獣の顔をしながら刀を抜き放つ!
「あ、バカ!!」
ブライトの言葉を待たずにカゲロウの切っ先がキサラにたどり着きそうになった瞬間。
「危ないわ[止まって]」
そうキサラに呟かせら瞬間カゲロウの体が瞬時に固まる。
「な!?」
「貴方が戦いを好む人なのはわかるけど、いきなり戦いだすのはいけないわね」
キサラはどこか妖艶に微笑みながら刀を取り上げる。
「…ちなみに俺とジルよりもスペック上だぞ、うちの妹は」
「あら、広域殲滅なら兄さん達の方が上よ?」
「…調子こいてすいませんでした」
カゲロウは冷や汗をかきながら目の前の少女を見た。
とある黒い祠
「…こいつ低レベルの時俺に挑んで泣きわめいて消えた奴じゃんか」
「言うてやるな、今は腕も上げてS級まで腕を上げたんだから」
シゼルの水晶をみながらデュランダルはははと笑うと
「…興味がわいたな、時間干渉の魔術ってのは特異系だろう?」
「そうじゃなあ、俺でもおいそれとできん」
「俺の主ね…いいぜ、長い人生仕えるのも悪くはない」
デュランダルは立ち上がり
「んじゃシゼルいくわ」
「おーう」
そう言うと同時にデュランダルはその場から姿を消した。
白の草原
「マジヤバいマジヤバいマジヤバい」
「お前元がチキンなんだから誰彼構わず喧嘩売るなって」
体の硬直が解けた瞬間あらゆる剣撃を行った瞬間その都度吹き飛ばされ、あらゆる強化魔術や自らの放つ攻撃魔術も無効化、何より凶悪までな弱体化を図る魔術の行使。
「大魔王の娘はやっぱり大魔王の娘だった…」
心を折ったカゲロウを見ながらジルはくすくす笑い、ミリアは苦笑をし、キサラは楽し気に笑う、ブライトはため息をつくとふいに隣に眼を向ける。
「…来たか」
「よう」
そこには黒い着物を纏い巨大な黒い大剣をもった黒髪黒目の少年がいた。