第十三話 可憐な少女
第十三話 可憐な少女
堕神を倒した翌日、キサラ達はマーロックの好意によりマーロック家で宿泊をしていた。マーロック家は三階建ての石造りの家で、通常の一軒家レベルの家よりも大きく、大きな庭園がある。部屋も12部屋もあり調理室も最新鋭の設備があり、食堂は24時間食べれるようになっている。マーロックは有事の際にすぐ動けるようにしているためだ。
そんな中での巨大な堕神の事件、気づけば突如現れたランクオーバーの人物達に解決され、その日のうちに安全だという事を通知し、徐々に家族や町民が戻ってきている。そんな中、
「どうか!結婚を前提にお付き合いください!」
キサラを見染めた一人の青年、マーロック家シャーロック=ミネルバがキサラを見た瞬間そう声をかけた。
シャーロックは190程の高身長で紫の髪をオールバックにした好青年とみられるような細身の美青年という感じの青年で年は19、これからますます自分の能力を高める年頃で、基本的には良識のある青年なのだが、キサラを目にした瞬間顔を赤くしてそのままその言葉を投げかけた。
「ちょっ!ちょっと待ちなさい!シャーロック!!いきなりでは驚いてしまうだろう?」
「そうだぜ、シャーロックちょっと落ち着こうぜ!!」
父であるマーロックとA級冒険者ブラックマンは思わず悲鳴に似た言葉をあげる!
それもそのはずで目の前にはランクオーバークラスの化け物兄弟二人、潜在能力に至っては未知数の少女、そして明らかに普通のメイドではない女性に、怯えながらもなぜかいるS級冒険者、無表情の黒衣の少年、明らかに過剰戦力と思えるそんな一団の前で自分の息子は愛を叫んでいる。
通常であればこのまま全うな成長をすればS級には届くであろう実力は持ち合わせているが、現時点での能力はC級クラス、冒険者ギルドでも中堅レベルの実力で、ランク達成速度としては早いものの、まだ若さがあり勢いしかない状態な部分もあるのは事実でまだ精錬された実力とはいえない部分もある、もし敵対した場合は命は確実になくなるだろう。
「おいおい、まさかいきなりうちの可愛い妹に変な虫がつくとはおもわなかったぜ」
「処しますか?」
目の前のブライトとジルは笑顔だがどこか獰猛な肉食獣の雰囲気を纏い目の前の青年に視線を向ける。
「あらあら、ミリア、熱い告白を受けてしまったわ」
「お嬢さま、おめでとうございます」
二人の様子を横目に見ながらキサラとミリアはクスクスと笑う。
そんな様子を見ながらディーは肩を竦めて
「で、答えどうすんだ? お前の兄貴達殺すつもりだぞ」
「それはいけないわ、兄さん達矛をおさめて」
キサラはクスクスと笑いながら二人の兄に声をかける。
「その人本気よ、自分よりも格上にも関わらず私に好意をもってくれてる、そうね、貴方が強くなったら考えてもいいわ、でも今はだめね、父さんが認めてくれないから」
キサラは顔を赤らめて
「貴方の心とてもきれい、嘘偽りのないその気持ちが嬉しいわ」
「まじかよ…」
荷物持ちとして連れてこられたカゲロウが呟くと同時に、二人の兄もただ茫然としてその成り行きをみていた。
「僕は貴方に一目ぼれしました、貴女を護れるような男に僕はなる!」
シャーロックは力強くその言葉を放つた!