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[主人公s]僕が恋した機械少女  作者: 雪宮紫月
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ここを離れてあの街へ

セルネアス王国から西へかなり進んだところにハルス渓谷という場所がある。そのハルス渓谷の近くに工業も科学もない昔ながらの魔法と農業だけで暮らしている村がある。その村には遠くからでも見える大きな屋敷がある。




「ノア様?ノア様?」

扉をノックする音が部屋中に響く。

「はーい。今開けますよ」

扉を開けるといつもの若いメイドが朝食を持って礼儀正しく立っていた。

「ノア様、おはようございます」

「あぁ、おはよう。今朝からありがとう」

「いえ、これが私の仕事ですから」

「でも、無理は禁物ですよ?」

「はい、ノア様」

朝食を置いてメイドは部屋を出て行った。

僕は寝巻きから着替え朝食をとる。

ふと、サイドテーブルの上に飾ってある写真立てに手を伸ばす。

お母様、お父様……僕は元気に過ごしていますよ。

思わず涙が出てしまう。

泣いてなんかいられないのに……強くなって、そしてあの日の様な事を繰り返さないためにも。

チェストから着替え等を取り出す。旅用にと昔お父様から借りたキャラメル色のコートを見つける。

「お父様、ちゃんと返せていませんでしたね」

鞄へ積めようとした時だ。コートのポケットの中から銀色の小さな三角形のイヤリングが転げ出た。

「これは……?きっと、お母様のですね」

支度を済ませ部屋から出るとメイドが窓の外を眺めていた。

「どうかしたのかい?」

「いえ、雪が降ってきたので雪かきの道具を取ってこないといけないと考えていました」

「そうか。君はここに残るのかい?」

「はい。私は仮にもこの家の主人に助けて貰った身です。たとえ主人が居なくてもここを護るのもメイドの役目です」

「そうか」

「はい!」

メイドは元気に返事をしてくれた。でも、その表情は既に何かを悟っているようで悲しそうな目をしていた。

「ならば、最後の命令だ。君ももう還りたまえ。これ以上働く必要は無い」

メイドは少し考えてから僕の顔を見つめると諦めたかのように

「分かりました。では、私も還らせていただきます。とても楽しい時間をありがとうございました。ノア様の健康を祈っております」

その言葉を残してメイドの霊は姿を消した。

最後に見たメイドの霊はとても美しい笑顔で涙を浮かべていた。

正面玄関の大きな扉を開ける。外からの白い空気が屋敷の中へと流れ込む。扉に鍵をかける。

正面の大きな門へと続く前庭の道を歩く。

門を出て鍵をかける。もう馬車は到着していた。

「それでは、お母様、お父様行って参ります」

そう言い残し僕は馬車に乗り込んだ。

「お客さん。セルネアス王国に向かうので間違いないね?」

「はい、お願いします」

手には銀色の小さな三角形のイヤリングを握りしめていた。

この度は私の小説を読んでいただきありがとうございます!

感想などはなるべく確認するようにしているので是非お書き下さい!

また、他にも7作品投稿していますのでそちらの方も目を通して頂けると嬉しい限りです。

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