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俺、戦闘ロボットに転生したけれど質問ある?

作者: 美弥

ふと、思い付き、書きたくなったので数時間て書いてみました。

設定とか適当なところが有るので色々オカシナところが有るかもしれませんが、ご了承ください。


「よっしゃ~!!」


俺はガッツポーズを決める!


『おおっと~!! 前年度チャンピオンの滝沢選手が森選手に撃破された~! と言うことは~!! 新ワールドチャンピオンの誕生だああぁぁぁ~~~!!』


「「「「「「うおおおおおおぉぉぉぉぉ~~~~~~!!」」」」」」


多くの歓声の中、俺は念願のワールドチャンピオンになれた感動に打ち震えている。

あ、俺の名前は『森 大樹』大学2年生の二十歳だ。

今、東京デームのイベント会場でオンラインゲーム『ジュレイオ』の世界大会の決勝中である。いや、たった今終わった所か。

『ジュレイオ』は巨大ロボット同士がVR機能を使ってコックピットに搭乗して戦ってる雰囲気を味わえる好きな人にはたまらないゲームである。

しかも、武器や機体仕様等のカスタマイズが行え、その種類は数万を超えるとか言われているが、詳細は不明である。

ただ、意図して造らない限りは同じ機体を見たこと無いので、きっとそうなんだろうと思う。


『それではチャンピオンの森選手、優勝した喜びを一言お願いします!』


「あ、えー新チャンピオンになった森です…もう、最っ高うううぅぅぅ~~~~だぜえぇぇぇぇ~~~~~!!」


パチパチパチパチパチ


『みんな、新チャンピオンの機体って興味無いかああぁぁぁ~~~!?』


「有るぞ~!!」

「教えろ~!!」

「気になる~!!」


『では、森選手、使用した機体の性能を教えてください。』


「こほん…では、俺の機体はご存知の通り、精密射撃が得意じゃ無いので~」


「あはははっ」


「そこっ、笑うな、事実だけどさ。

、なので、メインは距離は短いですが、広範囲に攻撃できるショットレーザー、サブ1は敵を直接切り刻んだり、攻撃を防ぐための近接武器のレーザーブレード、サブ2は威力は弱いですが、広範囲攻撃と目くらましにもなる手榴レーザーです。」


「そんなのは見りゃ分かるぞ~」


「まあ、そうだよね、では機体性能はこんな感じだ。」


-------------

機体 :TkTU-034

POW: 1

DEF: 1(-10)

AGI:98(+10)

-------------


ザワザワザワザワ…


『えっと、これは…1撃でも当たったらお終いじゃないですか?』


「はい、その通りです。」


「そう言えば、森選手は1度も攻撃を食らったことが無かったかもしれません。」


「食らってないですよ、だって食らったらその時点でお終いですからね(笑)」


『は、はぁ…』


「機体名はTKTU-034です、この機体は機体性能でDEFが下がってしまいますが、AGIが増えるので使用しています。

 あとは見ての通りですね。」


『な、なんともピーキーな機体ですね。』


このゲームの機体はPOW、DEF、AGIの合計が100になるように振り分けることが出来る。

POWは体力で、DEFはダメージ計算時に使われる。

例えば攻撃力30の武器で攻撃した場合、DEF10の場合は、30-10で20のダメージを食らう計算だ。

ただ、攻撃よりDEFが大きい場合でも必ず1は食らうのでPOW:1、DEF:98、AGI:1にしたとしても食らったらお終いである。

この数値を如何に設定するかによって戦略のバリエーションが増えると言う訳だ。


俺の場合は、機体性能をAGIに全振りすることで、回避を主とした戦闘仕様にしていたのだった。

だから、攻撃力1しかない手榴レーザーの1発でも沈むんだけどね(汗)

誰も使う人が居なくて助かった、いや、使ったとしても範囲外まで逃げれば良いんだし、当たるつもりはないけどな(笑)

どこかの赤い人も言ってただろ? 当たらなければどうと言うことは無いってことだ。


俺はこの機体を扱うために色々特訓もしたんだ。

動体視力を鍛えるために、弾幕ゲームを始め、世界一早いバッティングセンターにも通った。

余裕で打ち返せる頃になった時には、ゲーム内で相手の弾も打ち返せるようになったのだった。

本当はライフルみたいな銃で狙撃とかしたかったんだよ? 全く当たらなかったから諦めたけどさ…(遠い目)

どんなに頑張っても俺には遠距離狙撃の才能は無かったのだった。

だって、相手のAGIが1なのに10回に1回当たれば良い方だったんだよ? 諦めるしか無いじゃん(涙)


「まぁ、この機体の性能がバレた以上、次以降は使えませんけどね、なにしろ手榴レーザー1発で終わりますからね。」


会場がドッと笑いに包まれた。


『森選手ありがとうございました。では表彰に移りますので表彰台の方へどうぞ。』


世界大会も終了し、こうして俺は世界一となったのだった。


・・・・


目が覚めた…が、周りは真っ暗だった。


(まだ夜みたいだが、どうやら目が覚めてしまったようだ。)


起き上がろうと思ったのだが、体が全く動かなかった。


(あれ? 何で? 別に筋肉痛とかでは無いと思うんだが…)


ビー! ビー! ビー! ビー!


突然警報が鳴り始めた。


(何だ? いったい何が起こったんんだ?)


そしてバンバンバンと電気が点灯する。

明るくなって初めて俺が居る場所が分かった。

ここは広い格納庫みたいな場所で、周りには見たことが有るようなロボットが並んでいた。


(あれ? どこかで見たことが有るような…って『ジュレイオ』に出てくる機体じゃないか!

 だとすろと、俺はゲームをしながら寝てたのか? 全く記憶が無いんだけど…)


扉が開き、人が沢山出てきた。

そして、各自の機体に乗り込んでいく。


(おー! こんなイベント見たこと無かったが、なかなか臨場感が有ってテンション上がるな!)


そして一人のオッサンが俺の前にやってきた、そして俺の機体に乗り込もうとしている。


(ちょ! 俺が乗ってるんだよ、何勝手に乗ろうとしてるんだよ!)


胸部のハッチが開けられ、オッサンが俺の機体に乗り込んだ。


(あれ? そう言えばコックピットに居ると思ったが、操縦席が見えないな、見えるのは外のカメラ映像だけだ。)


そして、俺の中で何かが起動したような感覚が起こった。

目の前に見慣れた戦闘中の画面が現れ、左下にオッサンの顔の画面が現れた。

オッサンは何かを操作している。

すると、俺の意思とは関係なしに立ち上がり、傍に有ったアサルトレーザーを持ち、移動を始めた。


(ちょ、ちょっと待てよ、俺がアサルトレーザーなんか持っても当たんないって、ショットレーザーにしろよ!)


そんな俺の叫びも空しく俺の機体は進んでいく。

そして、カタパルトらしき台座の所まで到着した。


(まさか、これに乗るのか!?)


やっぱり俺の意思には関係無く俺はカタパルトに乗る。


「前方オールグリーン、ハリス軍曹、準備は良いですか?」


「ハリス軍曹、出るぞ!」


何やら会話が聞こえたと思ったら俺はカタパルトから射出された。

射出速度はそれなりに有ったが、いつもの戦闘中の方が速い、問題無い。

そして俺は宇宙空間へと移動したのだった。


外ではすでに戦闘中で、敵である赤いアイコンと、味方の青いアイコンが見える。

敵は4体、味方は5体で、俺を入れると6体か、余裕かな。

そしてオッサンが機体を操作して戦闘区域へと向かった。


「俺達の船を攻撃しやがって、くたばりやがれ!」


オッサンがそう叫んでアサルトレーザーで攻撃する。

いや、そんな距離で当たる訳無いじゃん、ほら見ろ。

それにしても、このオッサン操縦下手だな、こんなに遅くちゃあっという間に死ぬぞ?


向こうで爆発が見えた、って味方機やられてるんじゃん!

確かに向こうの機体の方が動きも良いし、当然か。


「くそっ、ロッチの敵だ、死ね!」


オッサンが攻撃をする。

だからその距離じゃ当たらないって…やっぱりな。

そして、敵がこちらに向けて攻撃を開始した。


…何だこの程度か、余裕だな。

と思っていたのに被弾した。


(うおおぉい、マジかよ…)


今の攻撃で左腕破損。サブが使えなくなったが、まだメインが有るし、何とかなるだろう。

しかし、おっさん、あの位の攻撃が避けられないとは、初心者か?

とりあえず、今の攻撃で沈まなかったと言うことは、俺の機体じゃないってことが分かった。

じゃあ、この機体って何なんだ?

すると、画面にサブウィンドウが出てきた。


-------------

機体 :MORI-034

POW:40

DEF:50(-10)

AGI:10(+10)

-------------


ふむ、機体名は違うが、機体性能は同じっぽいな、しかしMORIか、俺の苗字と同じなのは偶然か?

どうやらこの機体は防御中心の機体らしい、機体性能を生かせてないのは何と言って良いやら…

戦闘は継続しており、今敵機が1体撃墜されたみたいだ。

これで3対5だ、まだまだこちらが有利である。


「こちらハリス軍曹、被弾したため、一度帰艦する。」


「了解、左舷ハッチより帰艦して下さい。」


「了解した。」


俺は艦へと向かおうとした所で、敵機体と接触した。


「ちぃ!」


敵に向けてアサルトレーザーを発射する。

おっ! 偶然にも1発当たった! しかも見事にジェネレータを破壊したみたいで撃墜できたみたいだ。ラッキーである。

しかし、撃墜直前の敵からの反撃も有って、それがこちらに向かっていた。


(ちょ! これマズイって、避けろよ!)


そんな俺の願いも空しく、攻撃は当たってしまった。

そして当たった位置も悪く、コックピットに直撃してしまったのだった。相打ちである。


(あ、これ死んだな。)


…と、思ったのだが、どうやら生きていたみたいだ。

ただ、オッサンが映っていたオッサンの画面は砂嵐のノイズ画面になっていて、戦闘中のアイコンも消えていた。

胸の辺りを見ると、コックピットはメチャメチャになっていたが、ジェネレーションは無事だったため、俺も生きていたみたいだ。

良かったと思ったのも有ったが、そうすると俺は何処に乗っているんだろうか? 謎である。


敵機は全部撃ち落されたみたいだ。

こちらの被害は2体であり、その内の1体は俺の機体だ。

相変わらず宇宙空間に漂っているんだが、全く動けないしどうしましょう?

そう思っていた所に味方機がこちらにやってきて、俺を回収していった。

どうやら大破した訳じゃなく、損傷部分がコックピットと左腕だけなので再利用するんだろう。

このまま放っておかれるかと思っていたので助かった…


艦に戻った俺は、そのままドックへ搬送され修理されることになった。

新しい左腕とコックピットが装着され、すっかり元通りである。

良かった良かった。


・・・・


あれから数日が過ぎた。

相変わらず動けないし、何もすることが無いので周りを観察するしかやることが無い。

周りのロボットは何度か出撃をしている。戻ってこない機体も有ったけどね…なむ…

俺はパイロットが乗らなかったのでお残りである。


そして、いい加減に自分の状況も把握した。

おそらく俺は『ジュレイオ』のロボットに転生したのだと。

流石に眠くならない、喉が渇かなければお腹も減らない、排泄も無いのが数日も続けば変だと思わない方が変である。


今日は新しい出来事が出来た。

何時もの如く周りを観察してぼ~っとしていたら、いつも見かける隊長と隊員2名が俺の前にやってきた。

そして今回はさらに追加で1人の女の子が居た。


何この子、めちゃくちゃ好みなんですけど!

黒目、黒髪のストレートヘア、顔は童顔でぷくっとした唇が可愛い、身長は150そこそこの小ささにも拘わらず、はち切れんばかりのおっぱいの持ち主である。

正に清楚系ロリ巨乳と言う奴である。

名前は『アヤ』で、歳は16歳とのこと、そして、ななな何と、俺の機体のパイロットとのことだ。


(いやっほおおおおぉぉぉ~~~~~!!)


テンションダダ上がりである。

むさ苦しいオッサンが乗るよりも、可愛い女の子が乗った方が良いに決まっている。


アヤちゃんは、初めてと言うことも有り、試しにコックピットへと乗り込んできた。

ジェネレーションを起動すると、左下にアヤちゃんの顔が現れた。

アヤちゃんは、ほへぇ~って顔でコックピット内部を見渡している。


「MORI-034ですか、ならモリさんと呼んでも良いですか?

 って返事出来ないか、なら勝手にモリさんって呼んじゃいますね♪」


アヤちゃんは、えへっ♪ って感じで舌を出した。


(Yes! 問題有りません! 最高です!)


「じゃあまたね、モリさん。」


そう言ってアヤちゃんはジェネレーションを落としてからコックピットを降りて行った。

何だこの可愛い生き物は! 守る! 絶対守る! 動けないけど絶対守るんだあぁぁぁ~~~~!!

俺は密かに決心するのだった。


・・・・


さらに数日が過ぎ、今日はアヤちゃんの飛行訓練の日だ。

今までは、シミュレーションでの練習だったが、今日は実際に機体を使っての練習とのことだ。

アヤちゃんが乗り込むと、コックピット内部がアヤちゃんの匂いで一杯になった…ような気がした。

匂い感知するセンサーが無いから良く分らんが…


ジェネレーションが起動し、左下にアヤちゃんの顔が表示された。

今日も可愛いです。


「モリさん、おはよ~

 今日から宜しくね♪」


(了解であります! 任せて下さい!)


「じゃあ今日は、カタパルトからの発信と着艦の練習だ。

 シミュレーション通りにやれば問題無からな、落ち着いてやれよ?」


「は、はい! 頑張ります!」


アヤちゃんがカタパルトへの移動を開始した。

ズシン、ズシンと歩くたびに、アヤちゃんのおっぱいがぷるんぷるんと揺れています。眼福である。

カタパルトに足を乗せ、準備は完了である。


「か、カタパルトに乗りました。」


「前方オールグリーン、アヤ二等兵、準備は良いですか?」


「は、はい!」


「では、発進して下さい。」


「で、では、アヤ二等兵、出ます!」


カタパルトが発進され、加速Gがアヤに掛かる。


「くうううぅぅ~~~!!」


俺は加速Gを感じることが出来ないので良く分らないが、結構苦しそうだ。

代われるのならば代わって上げたい…

無事に発信することが出来たみたいだ。


「ここが宇宙…」


周りは真っ暗な空間で、一人ポツンといるため少し不安になっているみたいだ。


(アヤちゃん、俺が居居るよ! だから安心しろって!)


「アヤ二等兵、どうだ?」


「あ、はい、問題ありません。」


「よし、ポイントAに有るデブリを周ってから帰艦せよ。」


「了解。デブリを周回した後、帰艦します。」


アヤちゃんは、俺を操縦してデブリへと向かう。

う~ん、慣れて無いのも有るけど、随分慎重と言うかゆっくり過ぎる気もするな。

障害物も何もない直線なんだから、もう少し速度を出しても良いと思うんだけどなぁ…


多少ふらつきは有ったが、何事も無く無事に着艦することが出来た。

格納庫まで戻り、訓練は終了した。


「ふぅ~、モリさんの御蔭で無事終わりました。

 ありがとうね。」


(いえいえ~、って俺は何もして無いがな、全部アヤちゃんの実力だよ。)


「また来るね、モリさん、ばいばい。」


そう言ってアヤちゃんはジェネレータを停止し、コックピットから降りて行った。


(またね。)


こうして今日の訓練は終わったのだった。


・・・・


次の日、またアヤちゃんがやってきた。

そしてコックピットに搭乗し、ジェネレータを起動する。

そして、今日も可愛いアヤちゃんの顔が現れた。


「モリさん、おはようございます。

 今日は射撃訓練だよ、宜しくね♪」


(おう、射撃は得意じゃないんだけど、頑張るぜ!)


2回目で少し慣れた御蔭で、昨日よりスムーズに発信することが出来た。


「今日は射撃訓練を行う。

 ビーコンを飛ばすので撃ち落せ。」


「はい!」


艦より何かロボットらしき物体が射出された。

画面に赤いアイコンが表示されたってことは、アレがビーコンってやつか。


「えっと、敵をロックしてから、アイコンが合った時にトリガーを引く。」


アヤちゃんがブツブツと言いながら操作している。


「あれ? あれ? 当たんない、何で?」


「アヤ二等兵、トリガーを引くタイミングが合ってないぞ、落ち着け。」


「は、はい!」


アヤちゃんは10発ほど撃って、ようやく命中することが出来た。ん?


「やった!」


「よし、よくやったぞ! 次はビーコンを動かすから当てるんだ、いいな?」


「はい! 頑張ります!」


ビーコンがゆっくりと動き出した。速度的にはAGIが5くらいかな?


「えっと、動いている敵の場合は、ロックしてから、予測進路を機能を起動、アイコンが合った時にトリガーを引く。」


アヤちゃんがブツブツと言いながら操作している。大丈夫か?


「えい! えい! えい! 何で当たらないのよ~!」


(アヤちゃん、そのタイミングは停止してる時のだ、予測機能は青い時だよ。)


「アヤ二等兵、そのタイミングは停止時のだ、予測機能は青く光った時だぞ?」


「え? あっ、そうでした。」


今度は青い時にトリガーを引くが、やっぱり当たらない。

20発ほど撃ってようやく命中することが出来た。


「や、やっと当たった。」


「…ま、まぁ、初めてならこんな物だろう、アヤ二等兵、帰艦しろ。」


「はい。」


アヤちゃんはすっかり落ち込んでいる。

オペレータもあまりの当たらなさに呆れている感じがするな。

これってやっぱり俺が悪いのだろうか? 俺の命中率と同じだったぞ?

だけど、体を全く動かすことが出来ないから何とも言えないけれど…


「モリさん、失敗しちゃった…

 私って前から射撃って苦手なんだよね、どうしたら上手くなるんだろう?」


(アヤちゃん、どんまい! また次頑張ろうぜ!)


「じゃあモリさんまたね。ばいばい。」


そう言ってアヤちゃんがジェネレータを落として戻って行った。

くそっ、何もできないってのはイラつくな。


・・・・


次の日もまた訓練である。

アヤちゃんがコックピットに搭乗し、ジェネレータを起動する。

そして、今日も可愛いアヤちゃんの顔が現れた。


「モリさん、おはようございます。

 じゃ~ん! 命中率を上げるために、こんなものを用意してみました~」


取り出したのは棒が沢山刺さっている入れ物だ。何だコレは?


「ほら、当たり、これも当たり、ぜ~んぶ当たりなんだよ~」


アヤちゃんがニコニコ顔でそう言った。

これってハズレ無しのクジってやつか? 確かにそれならば当たるのかもしれんが、意味が違くね?

でも、願掛けってそう言った物も有るし、良いのかもしれない。


「さあ、今日こそは当てますからね~」


アヤちゃんはやる気一杯だ。

こうして今日も射撃訓練が始まった…


・・・・


「…ずーん…」


アヤちゃんは落ち込んでいる。


(ほ、ほら、昨日は20発だったのが、今日は19発だったじゃん!

 大丈夫、成長してるって!)


止まっているビーコンは変わらなかったのは言わないでおく。


「やっぱり、私才能が無いのかなぁ…」


(アヤちゃん、そんな顔しないで、笑顔笑顔♪

 そんな顔してちゃ、当たるものも当たらなくなるよ?)


アヤちゃんが両手で頬をパンパンと叩き、気合を入れている。


「よし! クヨクヨしていても仕方ないよね! モリさん愚痴言ってごめんね。」


(ノープロブレムです。)


「また明日ね、ばいばい。」


(おう、またな。)


そう言ってアヤちゃんがジェネレータを落として戻って行った。

くそっ、俺には何も出来ないのか!?


・・・・


次の日になった。

もうすぐアヤちゃんが訓練にやってくる時間だ。


ビー! ビー! ビー! ビー!


突然警報が鳴り始めた。

この音は…確か敵襲か!?


バンバンバンと電気が点灯し、扉が開き、慌ただしく人が沢山出てきた。

そして、各自の機体に乗り込んでいく。

間違いない、敵襲だ。

そして、アヤちゃんもやってきた。

コックピットに搭乗し、ジェネレータを起動する。

アヤちゃんの顔が表示されたんだが、青い顔で震えている。

そりゃそうだ、初めての戦闘何だし、何も感じない訳がない。


「も、モリさん、敵襲だそうです。

 わ、私どうしたら…」


(アヤちゃん、俺が付いている、だから頑張れ!)


「アヤ二等兵、準備は宜しいでしょうか?」


「あ、えっと、は、はい!」


アヤちゃんが慌てて移動をする。


(アヤちゃん、武器、武器を忘れてるよ!)


「アヤ二等兵、武器を忘れているぞ。」


「ああ! す、すいません!」


「初めての戦闘だ仕方ない、今の状況を説明する。

 敵は4体、こちらと同じだ。

 アヤ二等兵は敵を落とさなくても構わない、場を乱すだけでも十分だ。

 だから、決して死ぬんじゃないぞ?」


「は、はい!」


アヤちゃんはガチガチに緊張している。こんな調子で大丈夫だろうか?

カタパルトに乗り、発進準備が出来た。


「前方オールグリーン、アヤ二等兵、準備は良いですか?」


「え? 準備? えっと、武器は持った、えっと、後は…何だっけ?」


「準備が出来たのなら発進を。」


「発信? えっと、どうするんだっけ?」


「良いから発進させろ!」


「は、はい!」


「では、アヤ二等兵、ご武運を。」


「きゃああああぁぁぁ~~~~~!!」


勝手に発進させられた。

覚悟が出来ていない所での発信だったので、アヤちゃんは悲鳴を上げている。

何とか発進できたが、パニくっている。


「敵、敵をどうするんだっけ? えっと、ロックして…と、トリガーを…」


敵をロックはしたが、標準を合わせないで攻撃をしている。


(アヤちゃん駄目だ! それだと敵には当たらない!)


攻撃に気が付いた敵が、相手が初心者だと分かり、先に片づけることにしたみたいだ。

まぁ、流れ弾に当たるのも怖いし、楽に落とせそうだし、当然だろう。


「敵が来ちゃう、どうしよう、ねぇ、モリさんどうしたら良い?」


(アヤちゃん、落ち着くんだ。しっかりと狙いを付けて撃つんだ!)


「やるしかないよね…」


頑張って狙いを付けて撃つんだが、やっぱり当たらなかった。

敵が近づき、こちらに狙いを付けて攻撃した。


「ひっ…」


敵の攻撃は真っすぐこちらに向かってきた。

右腕に直撃! メイン武器を落としてしまった。


(アヤちゃん、逃げろ!)


「もう駄目…お母さん…」


アヤちゃんは戦意喪失してしまっている。

こちらに攻撃の手段が無い、戦意喪失したのが分かったのか、しっかりと狙いを付けて発射した。

この向きは…コックビット直撃!?


(ちっくしょ~!! こんな可愛い子を死なせることになるなんて、俺は何をやってるんだ!

 動け、動けよ、こんちくしょう! こんな時こそ動けなくて、何がワールドチャンピオンだよ!!)


その時、俺の体に何かが繋がった様な感覚が起こった。


(動ける!?)


直感でそう思えた俺は、相手の攻撃を避けた。

俺の目からすると、こんな攻撃なんか遅い遅い!

だけど、体が遅くて思った通りの動きが出来なくて、何とか避けた感じだった。


「あれ? 避けれた?」


アヤちゃん、アヤちゃん、避けたのは俺ですよ?

当たると思っていた攻撃が外れ、敵はすこし動揺したみたいだが、気を取り直して再度攻撃し出した。

俺は頑張って避ける、避ける、避けまくる!!


(くそっ、遅い! これじゃ敵にも近寄れね~ 何とかならないか?)


すると、前にも見たサブウィンドウが表示された。


-------------

機体 :MORI-034

POW:40(-20)-+

DEF:50(-10)ー+

AGI:10(+10)ー+

-------------


ん? もしかしてステータスを操作できるのか?

試しにDEFを1下げてみた


-------------

機体 :MORI-034(1)

POW:40(-20)-+

DEF:49(-10)ー+

AGI:10(+10)ー+

-------------


おお! どうやら操作できるみたいだ、ならば!


-------------

機体 :MORI-034

POW:21(-20)-+

DEF: 1(-10)ー+

AGI:78(+10)ー+

-------------


POWはもしかして20以下になると自爆しそうなので、とりあえず21にしておく。

残ったポイントを全部AGIに割り振る。

俺の機体より若干遅いが、十分だろう


敵は相変わらず攻撃しているが、攻撃も動きも単調だ、速くなった俺の敵ではない。

余裕で攻撃を避けられるようになった。


「わっ、わっ、急に早くなった、しかも勝手に動いている、どうなっているのおぉぉ~~!!」


反撃したいんだが武器が無い、どうすっかな。

メインのアサルトレーザーは無くなった、サブ1にレーザーブレードで、サブ2は無しか。

レーザーブレード!? 十分じゃないか!


俺は左腕でレーザーブレードを抜き、相手の攻撃を避けつつ接近する。

相手は慌てて攻撃しているが、そんなの当たるもんか。

レーザーブレードで相手のコックピットを串刺しにする…これで1体目!


他の機体達は1対1での戦闘中で膠着状態だ。

そこに俺が全速力で近づく。

相手も急接近する機体に気が付き、こちらにも攻撃を仕掛けるが、2対1のため、牽制程度である。

俺は近づきざま、相手の武器を切り裂く!

武器が無ければ余裕だろ、次の敵機へと向かうことにする。


同じことを2回繰り返し、あっという間に敵機は撃墜され、俺達の勝利で戦闘は終わることが出来た。


(ふぅ~、何とかなったか…)


一安心したら、今まで繋がっていたと思われる何かが外れた感覚が起こった。


(あれ? 動けなくなった?)


「あ、動けるようになった…」


そこに通信が入った。


「アヤ二等兵、助かったぞ、それによく頑張った。」


「あ、いえ、あれは私ではなく…」


「謙遜するな、十分すぎるほどの働きだったぞ? それでは帰艦するぞ。」


「「了解!」」


「りょ、了解!」


こうして俺達は無事帰艦することが出来た。

そして俺はまたドックへとドナドナされるのであった…

コックピットを降りるときに、アヤちゃんがぽつりとつぶやいた。


「さっきのアレって、モリさんがやったんだよね?

 だから、助けてくれてありがとうございました。」


そして、アヤちゃんは頭をペコリと下げてからコックピットから出て行った。


(…………)


感無量である。

俺がアヤちゃんに助けてあげられんだ、こんなにも嬉しいことは無い。

え? 前のオヤジの時はやらなかったのかって? 誰だ? 記憶に御座いませんな。

全ては秘書がやったことです。はい。


さて、俺も修理されるとしますか。

勝手に直されるんだけどね…


・・・・


さて困ったな…

体が直らなくて困っている訳ではない。

体はすっかりと元通りになっている。

では、何が困っているかと言うと、これだ!


-------------

機体 :MORI-034

POW:21

DEF: 1(-10)

AGI:78(+10)

-------------


俺がこの前設定した状態になっているってことだ。

一応POWが21有るが、DEFが1なので、手榴レーザーと、ショットレーザーの弾4つ分くらいしか耐えられない、通常の武器なら1発で終わりである。

それにAGIが78も有ったら、俺が操縦するならまだしも、初心者のアヤちゃんにはピーキーすぎて操縦できないと思う。

なら戻せば良いじゃんと思うのだけど、操作するためのアイコンが消えているんだよ~!! どないせ~っちゅうんだ!


そんなことを考えている内に、訓練の時間になったんだが…アヤちゃんが来ない、どうしたんだろうか?

結局この日はアヤちゃんが姿を見せることは無かったのだった。心配だな…


・・・・


次の日もアヤちゃんは来なかった。何か有ったのだろうか…


そして次の日、ようやくアヤちゃんが姿を見せてくれた。

コックピットに入り、ジェネレータを起動して、アヤちゃん顔が映った。

あれ? 少しやつれた!?


「モリさん、2日も来れなくてごめんね~

 ちょっと熱が出ちゃってて、寝込んでたんだぁ~」


(そっか、熱が出たんじゃしょうがないよね、大したことが無かったみたいで良かったよ。)


「今日もお休みしろって言われているから、これで帰るけれど、モリさんも心配してるかな~と思って報告に来ちゃった♪」


(俺のことは気にすんな、まずは体を治すことだけ考えるんだぞ。)


「じゃあ、明日からはまた練習すると思うから、ばいばい♪」


そう言ってジェネレータを落として、アヤさんは帰って行った。

こうして話しかけてきてくれているのに、会話が出来ないのは辛いな…

何か会話する方法でも無い物だろうか?


・・・・


次の日の訓練の時間になった。

アヤちゃんが走ってこっちに向かってきた。

コックピットに入り、ジェネレーションを起動し、元気になったアヤちゃんの顔が見えた。


「モリさん、モリさん、私、昇進したんだよ!!

 なんと一等兵! これもモリさんのおかげだね♪」


(そうか、それは良かったな、おめでとう。)


「これからも、一杯敵を倒して、もっと昇進するんだからね!

 目指せ、元帥!!」


(それは、随分高い目標を立てたもんだな、応援するぞ。)


「じゃあ、訓練頑張りますか!」


(おう、頑張れよ。)


カタパルトに乗り、発射準備をする。


「前方オールグリーン、アヤ一等兵、準備は良いですか?」


「問題無いです。アヤ一等兵、発進します!」


アヤちゃんはフルスロットルで発信させた。


さすがはAGI:78だ、いつもより早い射出だ。


「きゃあああぁぁぁぁ~~~!!」


だが、慣れてないアヤちゃんは悲鳴を上げている。


「速い、速いよ、止まれ、止まってええええぇぇ~~~!!」


何とか停止することが出来た。

おそらく、軽自動車を乗ってるママさんが、いきなりレーシングカーに乗ったみたいな感じなんだろうと思う。

バイクじゃなくて良かった。多分バイクだったらお散歩状態であっただろう。


「と、止まった…

 同じ操作したつもりだったんだけど、間違ったかなぁ?」


「アヤ一等兵、凄い早さだったな、大丈夫か?」


「た、多分…大丈夫です。」


「よし、今日は模擬戦の訓練を行う。

 もちろん弾はペイント弾だ、当たっても問題無いから気にしないで撃つように。」


「はい。」


「一度離れてるぞ、照明弾が上がったら戦闘開始だ。」


「了解!」


「そ~っと踏めば大丈夫だよね?」


アヤちゃんがゆっくりとアクセルを踏んだにも関わらず、いつもの2倍以上の速度で移動した。


「は、速い、速すぎる、これでも駄目なの!?」


まだ許容範囲内だったため、なんとか移動できたみたいだ。

そして、照明弾が発射された、戦闘開始である。


「き、来た、え~い!」


アヤちゃんが慌ててトリガーを引く。


「ちゃんと狙わないと当たらないぞ?」


アヤちゃんの攻撃はもちろん外れた。

そして、相手、そーいや相手って誰だ?

まあいい、相手が撃ってきたので、アヤちゃんは避けるためにアクセルを踏む。

いつもの癖で踏んだので、思いっきり加速をする。


「いやあああぁぁぁ~~~!! と~め~てえぇぇ~~!!」


「おい、何処まで行くんだよ、ったく…」


(アヤちゃん、ブレーキ、ブレーキだ。)


「止まらない~!! モリさん助けて~!!」


アヤちゃんが助けを叫んだ瞬間、再び俺の体に何かが繋がった様な感覚が起こった。


(これは…)


機体を止めてみる。

うん、俺の思った通りに止まったみたいだ。

どうやらまた動けるようになったみたいだ。


「ほらほら、よそ見してると終わっちゃうぞ?」


相手が攻撃してきたので、避ける。


「ん? 動きが急に良くなった!?」


よし、反撃してみよう。

アサルトレーザーで照準を合わせ、反撃をする。


「多少マシになったみたいだが、射撃は相変わらずみたいだな、何処狙ってるんだ?」


くそっ、どうやら俺の射撃の腕は前のままらしい、なら外せない位置まで行けば良いだろうよ!

俺は加速して相手に近づく。


「おいおい、特攻か? そんなんじゃ死ぬだけだぞ?」


そう言って、相手が攻撃をする。


(ここだ!)


俺は弾を避けると同時に、相手の死角へと移動する。


「なっ…消えた!?」


そしてギリギリまで近づいてからの、攻撃を行う。

ショットレーザーならもう少し遠くても問題ないんだけど、アサルトレーザーならこのくらい近くないと当たる気がしないんだよね。

見事、俺の攻撃は命中した。ただ、当たったのは10発中4発だったけどな…この距離で外す俺っていったい…

何はともあれ、これで俺の勝利である。


「え? 負けた?」


先輩パイロットは唖然としている。


「え? 隊長に勝っちゃった?」


え? あれ隊長だったの? 弱すぎない?

戦闘が終了して落ち着くと、俺の接続は切断されてしまった。

あっ…設定戻して無い…


「アヤ一等兵、あの動きは凄いな。」


「あ、いえ、アレは私がやった訳じゃ…」


「何やら理由が有るみたいだな、後で聞くから部屋まで来るように。」


「りょ、了解しました。」


「よし、訓練は終了だ、戻るぞ。」


「はい!」


俺達は艦に戻ってきた。

格納庫に戻ってきたので、今日はお別れだな。


(アヤちゃんお疲れ~)


「…………」


(?)


どうしたんだ? コンソールを見ながら何か考えている。


「モリさん、聞こえてますか?」


(聞こえてるぞ。)


「…う~ん、やっぱり駄目ですか。

 モリさんと話せると良いんだけどなぁ~」


(そうだね、俺もそう思ってるよ。)


「じゃあ、隊長に呼ばれてるから、私行くね。

 モリさん、ばいばい♪」


アヤちゃんはそう言ってジェネレータを落として、コックピットから出て行った。


(またね。)


アヤちゃんが出て行ってから少し考えてみる。

俺が機体を動かせたのは2回だ。

1回目は俺がアヤちゃんを助けたいと思った時であり、そして2回目はアヤちゃんが助けてと叫んだ時だ。

一見違うように見えるが共通点が1つだけある。そう『助け』だ。

おそらく助けと言う思いが発生した際に切り替わるのではないかと思っている。

次に同じことが起きた時に検証してみることにしよう。


・・・・


次の日になり、また訓練の時間がやってきたんだが…

アヤちゃんはもちろんのこと、隊長に、メカドックの人、後よくわからない人が何人か来ていた。

アヤちゃんがコックピットに入り、ジェネレータを機動して、いつもと少し雰囲気が違うアヤちゃんの顔が見えた。


「あ、あの、モリさん、聞こえますか?」


(ああ、聞こえるけど、今から何が始まるんだ?)


「…ごめんなさい。」


(いきなりどうした。)


「隊長にモリさんのことを話したら、一度調べてみたいって言ったの。

 もし、それが危険な物だったら解体すると言ってるし…ねぇ、私どうしたらいい?」


(とは言ってもなぁ、なるようにしかならないんじゃね?)


「失礼するよ。」


「あ、隊長…」


「君がモリ君だね。」


(そうだが?)


「すまんが君を調べさせてもらいたい。」


(どうせ俺に選ぶ権利なんか無いんだろ?)


「…なぁ、これ本当に話が出来ているのか?」


「私だって話したことないですから、知りませんよ?」


(ちゃんと返事はしているんだけどなぁ…)


「これで何も無かったら、俺馬鹿みたいじゃないか?」


(まー調べてみないとわからないとは思うけどね~)


「まあいい、じゃあ始めるとするか、おい!」


「では、コンピュータにアクセスしてみます。」


知らん人が、ノートパソコンと、俺の端末をケーブルで結び何かを調べている。

1時間くらいカチャカチャやったいてたが、様子が今一つみたいだ。


「どうだ?」


「何も有りませんね、正常です。」


「…そうか、ならメカニックからの観点ではどうだ?」


「この前修理した時点では特に有りませんでしたが、一応命令なので調べてみますけどね、何も出なくても文句言わないで下さいよ?」


そう言って、メカニックの人があちこちを開けたり、何かセンサーらしき機械を充てたりして調べている。


「特に異常なし、ブラックボックスみたいなパーツの存在も無し、問題無いです。」


「そうか、異常なしか。」


「はい。」


「…どうしたらいい?」


「それを俺に聞かれても…どうしようもないんじゃないですか?」


「よし、とりあえずこの件は保留にしておく、今日のところは解散だ。」


「了解。」


みんなが各々の仕事に戻っていった。

誰も居なくなったことで、アヤちゃんはホッとしていた。


「モリさんに何も無くて良かった。」


(そうだな、もし、何か有って分解なんかされたら、堪ったもんじゃなかったよ。)


「出来れば、モリさんとお話しできたら良いな~って思ってたんだけど、残念でした。」


(俺もそこは残念だったかな。)


「何でモリさんは、私のこと助けてくれたんだろう?」


(何でだろう? 可愛いから? 好きだから? それとも他の何か?)


「それにしても、モリさんの操縦って凄いよね、私もあんな感じになりたいな~」


(ワールドチャンピオンになれたから凄い方だとは思うけど、当たったら死ぬからおススメしないぞ?)


ビー! ビー! ビー! ビー!


突然警報が鳴り始めた。

また敵襲かよ。


「敵襲!? モリさん出撃するよ。」


アヤちゃんが出撃の準備をしている。

俺が立ち上がり、側に置いてあるアサルトレーザを取ろうとして動きが止まった。


(どうした?)


アヤちゃんは少し考えた後、格納庫の壁に掛かっているショットレーザーを取った。


(おっ、俺と同じ考えに至ったのかな? 一撃必殺よりは、数撃ちゃ当たる方式に。

 でも、ショットレーザーを近距離で当てたときのダメージって結構馬鹿にならないんだけどね。)


アヤちゃんがカタパルトの所まで移動し台へ登る。


「前方オールグリーン、アヤ一等兵、準備は良いですか?」


「問題ありません。」


「敵は2体です。こちらの数の方が多いですが、油断はしないように。」


「はい。」


「それでは、御武運を。」


「アヤ一等兵、出ます!」


俺はカタパルトから発射された。


「くうううぅぅ~~~!!」


加速Gによる圧力にアヤちゃんが苦しそうだが、耐えて機体をキチンと制御しているみたいだ。


(上手いぞ!)


「前方に敵機発見、これより殲滅に向かいます。」


アヤちゃんが敵に向かっていくと、2機は二手に分かれて散開した。


「あ、どっちに行けば良いかな。」


(こういう時の素早い判断はまだ無理だったか、ん?)


何か向こうのデブリで何かが光ったような…アレは!

ライフルレーザーを構えた敵機がこちらを狙っている。

アヤちゃんは2機の行方を追っていて、狙われていることに気が付いていない。

敵機はライフルレーザーを発射した!


(アヤ! 左前方より狙撃! 避けろ!!)


「え? 左? わああっ!!」


アヤちゃんは狙撃に気づき、何とか避けることが出来た。


「あれ? 今声聞こえたよね? モリさん?」


(そーいや、今確かに俺の声に気が付いたっぽいな、お~い、聞こえるか?)


「空耳だったのかな?」


(ちくしょ~!!)


隊長と他2体が出撃してきて、散開した2体と戦闘になったので、アヤちゃんは狙撃機の方へ向かうことにしたみたいだ。

ジグザグに飛行して狙いを定められないようにしながら近づいていく。


(いいぞ、その調子だ。

 ライフル系は近距離には適してないからな、近寄ればこっちの勝ちだ。)


もうすぐショットレーザーの範囲に入るところで、敵機が腰のあたりを漁っている。


(あれは…アヤ駄目だ! 一度離れろ!!)


「え? 離れる? 何?」


敵が何かこちらに向かって投げた。

…アレは手榴レーザー? 俺以外にも使うやつが居たのか。

アヤは突っ込んでしまっているので、今さら回避することは出来ない。


バーン!


手榴レーザーが破裂し、レーザーをまき散らす。


「きゃああああぁぁぁぁ~~~!!」


まともに食らってしまった。

幸いなことに手榴レーザーはダメージ1だ、POWが21も有って良かったと切実に思った。

ただ、破壊はされ無かったが、衝撃と目くらましは防げない。

目くらましの後に強い衝撃を受けてしまい、頭をぶつけてしまったらしく、アヤちゃんは気絶してしまた。


(アヤ、起きろ! ここで気を失うのは不味いぞ!)


だけど、アヤちゃんはピクリともしない。

敵機がこちらが動かないことを良いことに、ライフルを構え、こちらに照準を合わせる。

そしてトリガーを引き、レーザーを発射させた。


(クソッタレエエェェェ~~~!! アヤは俺が守るんだ!! 絶対助けてやる!!)


その瞬間、俺の体に何かが繋がった様な感覚が起こった。


(今だ!)


動けるようになったので、フルスロットルで回避する。

そして、このまま敵機に接近する。

再び腰のあたりを漁っている。


(同じ手を食らうかよ!)


俺は急転回を行い、離脱とと共に敵機の死角へと移動する。

先ほど俺が居た場所で閃光が起こり、やはり手榴レーザーが使われてみたいだ。

そして、ショットレーザーの射程に入った俺は、攻撃を行った。


ドーン!


上手い具合にコックピットの中心に着弾し、一撃で相手を破壊することが出来た。


(よし!)


残りの2機はまだ健在で、交戦中である。

パッと見、敵機の方が上手なので、こちらの状況の方が悪そうだ、早く助けに行かねば!

俺はフルスロットルで敵機へと向かう。


敵機がこちらの動きに気が付いたが、もう遅い!

すれ違いざま、ショットレーザーをお見舞いする。

当たり所が悪かったため、破壊には至らなかったが、あの状態ならもう動くことは出来ないだろう。


(よし、次!)


最後の敵機へと向かう。

味方機がやられたのを見ていたらしく、こちらを警戒しているが、無駄だ!

変則飛行で敵の攻撃を避けつつ、近寄り、今回はショットレーザーの範囲に入った時点での攻撃を行った。

さすがにこの距離だと2,3発程度しか当たらないが、牽制としては問題無い、何しろこっちには味方機が居るんだからな。

一瞬止まった敵機に対し、味方機からの攻撃であえなく撃墜することが出来た。


(ふぅ…他に敵は居ないかな?)


敵機が居ないことを確認したので、一息付くことができた。と同時にやっぱり接続は切れてしまった。


「アヤ一等兵、助かった。」


「…………」


「おい、どうした?」


「…………」


「アヤ一等兵の様子が変だ、救護班を呼べ!」


こうして俺とアヤは救護班に連れられて艦へと戻るのだった。

アヤはそのまま医務室へ運ぶらしい。

俺は格納庫へと戻された。

その日はアヤの姿を見ることが出来なかった…


・・・・


次の日、アヤちゃんがやってきた。

あれ? まだ訓練の時間にはまだ早いんだが…

コックピットに入り、ジェネレーションを起動し、アヤちゃんの姿が映し出された。

アヤちゃんの頭には包帯が巻かれていたが、顔色は悪くないみたいだ。


「また助けられちゃったね。」


(助けられてよかったよ。)


「あの時ね、モリさんの声らしきものが聞こえたと思ったんだけど、呼びかけてくれたんだよね?」


(ああ。)


「どうやったらまた聞こえるのかな?」


(う~ん、あの時は必死だったからなぁ、良く覚えてないんだよね。)


「モリさんが機体を動かした時とか、私に教えてくれた時って必死な時だったよね。」


(そうだな。)


「もしかしたら、必至に呼びかけたら届くのかな?」


(どうだろう?)


「神様!! お願いします!! 私モリさんとお話しいたいの!! お願い!!」


(あーもしもし、聞こえますか?)


「!! モリさん?」


(なんだ?)


「聞こえた!」


(お、そうか、良かったな。)


「うん、ようやく話せるようになったよ。」


(俺も話したいと思っていたからな、嬉しいよ。)


「ねぇ、私、モリさんに色々と聞きたいことが有ったんだ、良いかな?」


(俺、戦闘ロボットに転生したけれど質問ある?)


              おしまい

結構自分では面白いと思って書いたのですが、どうでしたでしょうか?

また、別の作品でお会いしましょう♪

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