第3幕 完
これは北の陣が始まる前の話だ………
雨の降る夜、王宮に1人の老人が馬車に乗ってやって来た………
「トントン」
「失礼するよ」
ドアをノックした後その老人は王室に入って来てそう言った。
「おぉ、ガブリエ、よく来てくれた」
王室に1人でいた王様がそう言いガブリエを手招きした。そしてガブリエは案内されるままに椅子に座った。
「話し合いはどうじゃった?」
ガブリエは椅子に座るなりそう聞いた。
「………駄目だった」
王様はそう言い肩を落とした。
「やはりな………」
王様のその言葉を聞いたガブリエも肩を落とした。
「もう、この国もお終いだ……… 国の借金は増え続け、人口もパンク状態で環境も日々悪化している、急に魚は食べられなくなるし、年々作物もおかしくなっているし、変なウイルスや寄生虫まで蔓延している、おまけに病が流行し人々が次々と倒れている……… 一体どうなっているんだ………この国も持ってあと30年がいい所だろう………」
王様はそう言い深い溜め息をついた。
「まぁ、待ちなさい、それら自然による被害は全て地球の免疫システムが起こしておる事じゃ、地球の聖域にまで手を出してしまった人間はそれにあがらう事など出来ん、もし出来たところで地球が滅びるだけじゃ、じゃがまだ諦めるのは早いワシは前々からこうなる事が分かっておった、だからだいぶ前にお主には計画の話しをしてやったじゃろうが」
ガブリエはそう言い自身の白い口ひげを引っ張るように撫でた。
「いやっ、でも………あの計画は………」
王様はガブリエの言葉に戸惑った。
「いまさら何をためらう事がある?こうなったのも全て人間が何も考えず欲のままに生きて来たせいではないか、これは循環の1つでしかない人間が他の生き物に敬意を払わず、自然に敬意を払わず、我が物顔でやりたい放題やって来た人間の末路じゃろうが、人間がまいた種は人間自身で刈り取るしかないのじゃぞ?」
ガブリエは王様との距離を詰めた。
「よいのか?遅かれ早かれこのままではお主の国は滅びるぞ?そうなればお主の子供や孫達はどうなる?」
ガブリエは片眉を上げそう言った。
「………ほっ………本当にあれが出来るのか?」
王様はガブリエの目を見てそう聞いた、その瞬間、眩しいくらいのカミナリの光が王室を包んだ。
ガブリエは1度目を閉じ天を仰ぐ仕草をした後静かに目を開け答えた。
「この計画によって全ての問題は解決するじゃろう、だがワシは後20年でこの世を去る、だからこの計画は20年以内に終わらせなければいかん、それが可能か不可能かと聞かれたら………可能じゃよ」
ーーー北の陣第3幕 完 ーーー
北の陣最終幕に続く
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