最後の交渉2
戦場の中にあるとある町のとある建物の中でブル最高司令官とロウの2人は椅子に座りアントレイヤを待っていた………
2人が席に着いてから30分程経った頃、アントレイヤは2人の前に姿を見せた。
「ブル、息子をたてに交渉なんて汚いぞ」
アントレイヤは席に着くなりそう言い放った。
「がっはっはっは、まぁ、そう言うなアントレイヤ、どうだ?決心は着いたか?」
ブル最高司令官は葉巻に火をつけそう言った。
「決心なんてつく訳ないだろ、今すぐ息子を返せ」
アントレイヤは冷静を装いそう言った。
「何故だ?何故王族にそんなに肩入れをする?王族の悪行はお前も嫌という程知ったのだろう?今さらあいつらを庇った所でお前になんのメリットがある?」
ブル最高司令官は怪訝そうにそう言った。
「王族は王族なりに考えがあってやった事だ……… 確かに常軌を逸したやり方だがそれも仕方がない……… これが人間の運命なのかも知れないしな……… 」
アントレイヤはそう言い顔を左右に振った。
「そうか、お前は諦める人間だと言う事か、王族の言う事には疑問も抱かず疑いもせずハイハイと言う事を聞いていればいいと……… どんな悪行だろうと目をつむり、耳を塞ぎ、口を閉じると言う訳か……… ガッカリだよアントレイヤ君、君はもっと骨のある男だと私は思っていたのだがね」
ブル最高司令官は葉巻を投げ捨てアントレイヤにそう言った。
「俺はそう言う男だ、残念だったな、ブル、約束通り交渉の場に来たんだ、さぁ、息子を返してもらおうか?」
アントレイヤはそう言うと席から立ち上がりロウに手を伸ばした。
「僕は父さんの元には戻らないよ」
ロウはアントレイヤの伸ばした手を一瞬見てそう言った。
「なっ⁈ ロウ!ふざけるなよ!お前を迎えに父さんは危険を承知でここに来たんだぞ!さぁ、母さんの元に帰るんだ!」
「ドン」
アントレイヤはそう言いテーブルを叩いた。
「僕はもう死ぬ覚悟は出来てる!悪い王族に逆らえない臆病者の父さんとは違ってね!それに僕が死ぬ時は中央地区の人間としてじゃなく北地区の人間として僕は死ぬから!!!」
ロウは涙を流しそう叫び声をあげた。
「父さん達は僕の葬儀はしなくていいから」
ロウは涙声でそう言った。
⁈
「……… 」
「ロウ……… お前はそこまでの覚悟を……… 」
アントレイヤは脱帽を感じて再び席に着いた………
「君の息子のロウ君はここまで覚悟を決めている……… アントレイヤ君、さぁ、君はどうするんだ?」
ブル最高司令官は泣き顔のロウを見た後、アントレイヤを見てそう言った。
アントレイヤは長い間沈黙した後、ブル最高司令官に言った………
「ブル……… 俺は何をすればいいんだ?」




