最高司令官の首
ガゼの叫び声で自分に斬りかかって来る長髪の兵士に気づいたキューイは咄嗟にその剣を避けた…
「キューイ!気をつけろ!そいつは第1北討伐軍きっての猛者で最高司令官の側近だ!油断すれば即あの世行きになるぞ!」
ドマが目前の護衛兵を斬りキューイにそう叫んだ。
キューイがフラつきながらテントの隅にもたれかかり胸から流れ出る血を左手で抑え…
「あぁ、分かった」
ドマに向かってそう言った。
「ドマー!貴様!よくも裏切ったな!こいつを斬った後、貴様もあの世に送ってやるから覚悟しとけよ!」
長髪の兵士が目を赤く染め剣をドマに向けてそう叫んだ。
「フン、最高司令官の犬が… 」
ドマが目前の護衛兵と斬り合いながらそう吐き捨てた。
長髪の兵士は剣を構えながらキューイに近づき斬りかかった…
「シャキィン、シャキィン、シャキィン」
キューイは胸を左手で抑えながら剣撃を受け流した…
「やるな… 」
長髪の兵士が剣を構えながらキューイにそう言った。
「あんたもな… 」
キューイは胸を左手で抑えながら長髪の兵士にそう言った。
そして長髪の兵士が再び剣を振り上げた時だった…
「ズバッ」
キューイが一瞬にして長髪の兵士の腹を斬ったのだった…
「うぉっ」
長髪の兵士が斬られた腹に気を取られた瞬間…
「ズバッ」
キューイはその隙を逃さず長髪の兵士の首を斬り落としたのだった…
キューイはフラつきながら左手で胸を抑え、地面に転がった長髪の兵士の生首を見ながら…
「悪いな… あんたに恨みはないが… 中央軍に恨みがあるんでな… せめて主人と共に安らかに眠ってくれ」
そう呟いたのだった…
A地点での騒動は1時間程で収まった…
中央軍の最高司令官ならびに第1北討伐の最高幹部達、そして幹部達の護衛兵達合わせて300名程の兵士達は1人残らず殺されたのであった…
そして北月師団は中央軍の最高司令官の首を北地区へと持ち帰り、ドマの師団は最高司令官が暗殺されたと北討伐軍の全軍に言いまわったのであった…
北討伐軍に最高司令官が暗殺されたと言いまわった時、ドマの師団は北月師団の軍服に血を付けその軍服を他の師団に見せながら言いまわったのであった…
その後、ドマの師団は中央政府に呼ばれ北討伐軍から脱退し都へと戻るのであった…
北討伐軍からの脱退理由は建前上、最高司令官暗殺事件の責任の追及であった…