王家七刀・神斬り
「なんだぁ?テメーは⁈ 」
クロック師団の兵士達が1人の男を取り囲みそう言った。
クロック師団の兵士達が逃げまどう都の住民達を斬り殺していた所にこの男が刀を持ち邪魔に入ったのだった。
この男は100人近くの兵士に囲まれているにもかかわらず慌てる事もなく刀を握ったまま兵士達の前に立ちはだかっていた。
「これだからよそ者は……… 」
その男はそう言いため息をついた。
「おい、おい、にいちゃん、この人数相手にその刀で何をしようとしてんだ?俺たちに殺して下さいって言ってんのか?」
クロック師団の兵士の1人が剣で自身の肩を叩きながらそう聞いた。
「ふっ、どうせお前達は都の人間を皆殺しにするよう命令されてるんだろ?お前達の仲間がそう言ってたぞ」
その男は微笑しながらそう言った。
「ほう… にいちゃん、その事を知っててわざわざ俺たちの前に来たのか?お前死にたいんか?」
クロック師団の兵士の1人がそう聞いた。
「ふっ、都の住民に仇なすクロック師団の連中を皆殺しにする為にあんたらの前に出て来たって言ったら信じるか?」
その男は微笑しながらそう答えた。
「あぁ?なんだとぉぉぉ?舐めんなよ!!!クソガキがー!!!」
クロック師団の兵士の1人がそう叫び、兵士達が一斉にその男に斬りかかったのだった…
ーーー
「俺たちの的は仕留めた、都の兵士達も集まって来たみたいだからそろそろ引き上げるぞ!派手に退却の合図を送れ!」
ハッド師団長はそう言うと、ドマ師団長の生首を黒馬に結びつけ黒馬に乗った。
そして命令を受けたクロック師団の兵士が退却の合図を都の空に向かって打ち上げた。
すると都のあちこちで退却の合図が打ち上げられた。
合図が打ち上がったのを確認した後、ハッド師団長達は退却したのだった…
ーーー
退却の合図を見て都のあちこちからちらほらと退却して来たクロック師団の兵士達がハッド師団長と合流した…
そしてハッド師団長含む300名程のクロック師団が都の南門まであと少しという所まで馬に乗ってやって来た…
だが、ハッド師団長達の行く先の道ばたには沢山の兵士達の死体が転がって道を塞いでいた…
そしてその死体達の中に1人刀を握ったまま佇んでいる男がいた…
「これをやったのは貴様か⁈ 」
ハッド師団長の横にいたクロック師団の兵士がその男に向かってそう叫んだ。
「そうだと言ったらどうする?」
その男は微笑しながらそう言った。
「この野郎!!!」
クロック師団の兵士はそう言い馬から降りその男に歩いて向かおうとした…
その時、ハッド師団長が剣を抜き、歩いて向かおうとするクロック師団の兵士の前に剣を突き出して兵士の歩みを止めた。
「むやみに奴に近寄るな……… 」
ハッド師団長は兵士にそう言った。
「なっ、何故止めるんですか!あいつに仲間をこれだけ殺られてるんですよ!」
兵士は100人近くいるクロック師団の兵士達の死体を見て納得がいかない様子でそう言った。
「倒れてる兵士達を見てみろ……… 剣を真っ二つに割られてる奴が何人もいる……… 」
ハッド師団長は冷や汗を垂らしそう言った。
⁈
「たっ、確かに⁈ 」
兵士は倒れてる兵士達を見回した、そして所々に剣を真っ二つに割られている兵士達を見て驚きながらそう言った。
「奴が握っている刀は王家七刀の1つ《神斬り》だ……… 刀マニアなら誰もが知っている超有名な名刀だ……… 」
ハッド師団長は冷や汗を垂らしながらそう言った。
「神斬り⁈ あの神をも切り裂くと言われた名刀⁈ 何故あんなガキがそんな刀を……… 」
兵士も冷や汗を垂らし死体達の中で佇むその男を見てそう言った。
「その答えは1つだ……… 」
ハッド師団長は冷や汗を垂らしながらその男を見た。
「そっ、そんなまさか……… あんなガキが……… あの……… 薔薇の……… 」
兵士は体を震わせそう言った。
「ここは中央の都だ、化け物に出くわすのも想定内だ……… だが、出くわした化け物がよりによって薔薇のルカだとはな……… 」
ハッド師団長はそう言うと黒馬から降り剣を抜いたのだった………




