ミザリナ姫
「ギール師団長!大変です!南門から敵兵が攻めて来たようです!」
都の北方面に配備されていたギールの元に兵士が走ってやって来てそう報告をした。
「何?南門から敵兵だぁ?北軍の奴らか?それとも南軍か?」
ギールは怪訝そうにそう聞いた。
「南軍の… あの例の噂になっていたクロック師団の連中です!」
兵士は敬礼しそう答えた。
「クロック師団… あぁ、例の南軍の… ルーキの師団を蹴散らせたって奴らか… 」
ギールは腕を組んで兵士にそう聞いた。
「はい、ルーキさんの所がやられたって言う例の師団です」
兵士は敬礼したままそう答えた。
「そうか… 」
ギールは何かを考えてるかの様に空を見上げた。
「我々スペード師団はどうしますか?ドマ師団長の援軍に行きますか?」
兵士は敬礼を解きそう聞いた。
「そうだな… すぐに動ける兵は何人くらいいる?」
ギールは腕を組んだままそう聞いた。
「今すぐにというのなら… 500くらいですかね… 」
兵士が眉間にシワを寄せ首を傾けながらそう答えた。
「よし!それだけいればいいだろう、ドマの援軍に向かぞ!兵士達にすぐ支度をさせろ!」
ギールは腕を組んだまま兵士にそう言ったのだった…
ーーー
「派手に死ねー!」
「ズバッ、ズバッ、ズバッ」
ハッド師団長は斬りかかって来た兵士達を次々と斬った。
そしてドマ師団長にも斬りかかったが寸前で避けられた。
ドマ師団長は冷や汗を垂らし慌てた様子で左手のひらをハッド師団長に向けた。
「ちょっと待て!ミザリナ姫が生きてただと⁈ それがあの… 俺が殺したミーナだって言うのか⁈ 」
ドマ師団長は手を震わせながらハッド師団長にそう聞いた。
ハッド師団長は斬りかかるのを止め兵士達から距離を置いた。
「あぁ、そうだ!ミーナ様は幼い頃、王の第3の妻から命を狙われ、仕方なく死んだ様に見せかけてこの国から逃げたんだ!」
ハッド師団長は剣を大きく一振りしそう言った。
「な⁈ 何故、そんな事をお前の様な奴が知ってる?」
ドマ師団長は手を震わせながらそう聞いた。
「 ………いいだろう、冥土の土産に教えてやるか……… それはな……… 俺の親父が姫を逃した側近の1人だからだよ……… 」
ハッド師団長はそう答えた。
⁈
「お前の親父が姫の側近の1人だと⁈ それがもし本当の話しなら……… なるほどな……… だが、げせない、何故、王の第3妻が姫の命を狙う必要がある?王子ならともかく」
ドマ師団長は怪訝そうな表情を浮かべそう言った。
「………嫉妬だよ、王は誰よりもミーナ様を愛していた… 自分の妻達よりも、その子供達よりも… 誰よりも1番……… それが気に食わなかった王の第3妻に命を狙われ姫はこの国から逃げざるおえなくなったんだ… 」
ハッド師団長は目を赤く染めそう言った。
「確かに……… 王はミザリナ姫を大変に可愛がられていた……… あの姫を……… あの姫をこの俺が殺しただと⁈ 」
ドマ師団長は何かを恐れる様に全身を震わせていた。
「ミーナ様は一体どんな気持ちでこの都に帰って来たんだろうな?」
ハッド師団長はそう言った。
「うぉぉぉぉぉ!」
ドマ師団長は狂った様にハッド師団長に斬りかかった。
「ズバッ!!!」
ハッド師団長はドマ師団長の剣を避けドマ師団長の首を斬り落とした…
そしてハッド師団長は斬り落とされたドマ師団長の顔に剣を突き刺した。
「こいつも最期に自分がした事がどんな事だか分かった様だな……… どちらにせよお前は死ぬ運命にあった訳だ……… 」
ハッド師団長は剣が突き刺さったドマ師団長の顔を睨みそう言った。
「ミーナ様……… ミーナ様の仇は俺が討ちましたよ……… 」
ハッド師団長はそう言いドマの顔から剣を抜いた、そしてドマ師団長の首を取られ慌てて逃げ出そうとするドマの師団の兵士達に向かって激しく斬りかかって行ったのだった…
「派手に死ねー!」
ミーナの仇を討ったハッド師団長だったが、ハッド師団長が振りまわすその剣の音はどこか悲しく都に響き渡るのであった…




