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北の陣 第3幕  作者: m
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人質解放と葉巻


「えっ?それじゃぁ南地区も金や物を中央地区に送っていたんですか?」


ロウはブル最高司令官にそう聞いた。


ロウとセナとブル最高司令官は北地区政府の城の一室で話し合いをしていた。


「あぁ、その通りだよロウ君、北地区も南地区も私達の人質達の為の金や物を中央地区に送っていたのだよ」


ブル最高司令官はそう答えた。


「そうだったんですか… でも、なんでその金や物がポルドール王国に流れてる事が分かったんですか?」


ロウが不思議そうにそう聞いた。


「それはふとした事がきっかけだったのだよロウ君……… 北と中央が停戦になる少し前の話しだ、ウチが中央地区に攻めまくった時、偶然帳簿を持って逃げてる兵を取っ捕まえたのだ、そして我々が送った金や物がポルドール王国に流れてる事を知ったのだ」


ブル最高司令官はそう言い葉巻を手に取り葉巻に火をつけ話しを続けた。


「私はそれを知って驚いたよ、アリトリッツ王国の国内のどこかに人質達がいるとずっとそう思って国内を探させていたからな……… 」


ブル最高司令官は葉巻をふかしそう言った。


「ずっと人質達を探させていたんですか?」


ロウがそう聞くとブル最高司令官は頷き…


「そして都合よく停戦の話しが中央から来た、王族の手前どちらにせよ停戦を受けざるおえないが、王族の目をこちらから逸らす絶好の機会でもあった、私はすぐに停戦を受け入れ、人質解放に取りかかったのだよ」


ブル最高司令官は葉巻の煙を手で払いロウに顔を寄せた。


「ロウ君、君を迎えに北月師団が来ただろ?」


ブル最高司令官は顔を寄せたままそう聞いた。


「はい… 」


ロウは顔が近いのがちょっと嫌そうにそう返事をした。


「あの時すでに北月師団は別のもう1つの仕事をしていたのだよ」


ブル最高司令官はさらに顔を寄せそう言った。


「もう1つの別の仕事?」


ロウはブル最高司令官から顔を離しそう言った。


ブル最高司令官は頷き…


「中央地区の戦争難民達にポルドール王国が手厚い保障で難民達を受け入れてるとデマを流していたのだよ」


ブル最高司令官はそう言い、ロウから顔を離し椅子の背もたれに寄りかかった。


「えっ⁈ いつの間に⁈ 」


それを聞いたセナが驚いた様子でそう言った。


「セナ君、君にはロウ君の方に集中してもらいたかったからな……… それに、君には悪いがロウ君に話す恐れが少しでもあったから君には内緒にしていたのだ、すまんな」


ブル最高司令官はセナを見てそう言った。


「でも、なんでそんなデマを流したんですか?」


ロウが気になってそう聞いた。


「それはな、私が北月師団に人質解放を依頼したらジルが勝手にやっていたのだよ」


ブル最高司令官は微笑みそう言った。


「いや、僕が聞いている事はそう言う事じゃ、ないんですが……… 」


ロウは困った様子でそう言った。


「がっはっはっはっは、冗談だよ、冗談、まぁ、人質も無事北地区にいる事だし、セナ君もちょうどいるからロウ君にも特別に人質解放作戦の全容を教えるとしようか」


ブル最高司令官は右手で顎をさすりながらそう言い話しを続けた。


「私から依頼を受けたジルはまず中央地区の戦争難民達にそのデマを流してポルドール王国に難民達が大勢行くように仕向けたのだ、そしてポルドール王国の兵士達の抵抗にあいながら都にうまい事難民達を集めた」


ブル最高司令官は葉巻をふかした。


「そこで難民を受け入れる事も保障もポルドール王国に人が集まりすぎたから出来なくなったとデマを流した、そして難民達に暴動を起こさせたのだ」


ブル最高司令官は葉巻の火を消した。


「そしてジルは偽造した証明書、さらに制服を使いアリトリッツ王国の王族関係者を偽り、ポルドール王国は暴動で人質が危険にさらされているから別の国に移すとアリトリッツの王から命令があったとデマを言い、混乱に陥ってるポルドール王国の王はロクに調べもせず人質を解放したのだ」


ブル最高司令官はそう言い微笑み話しを続けた。


「後は簡単だ、解放された人質達を船に乗せ中央地区の連中に気づかれない様に迂回して北地区に運んだのだ、それと同時にバルにその事を伝え奴の鎖を外してやったのだよ、まぁ、奴がどう動くかは正直分からんかったがな……… 」


ブル最高司令官は葉巻を手にとりまた再び葉巻をふかし始めたのだった… ロウが嫌そうな顔をしているのにも気づかずに…



















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