都の虎
ミーナは腕が立ち信頼のおける部下を10名程引き連れて中央地区の都入りを無事に果たした…
そして都にいる人達にドマの事を聞きまわったのだった…
だが… そのミーナ達の様子を冷ややかに伺っている人物が1人いた…
ーーー
「ドマ師団長、ただいま鷹の十二騎士団から連絡が入りました」
兵士が椅子に座るドマ師団長の前にやって来てそう報告をした。
「何⁈ 鷹の十二騎士団から連絡だって⁈ なんて連絡が来たんだ⁈ 」
ドマ師団長は驚いた様に椅子から立ち上がり兵士に詰め寄った。
「南の工作員が都でドマ師団長の事を聞きまわっていると連絡が入りました」
兵士はドマの威圧に押され慌ててそう報告した。
「何?南の工作員が俺の事を聞きまわっているだと?」
ドマ師団長は怪訝そうな顔をしてそう言った。
「はい、しかも、その工作員の1人に南地区でウチの兵隊を1人で大量に殺ったっていうあの噂のミーナって野郎がいるそうです」
兵士は険しい表情を浮かべてそう言った。
「なんだと⁈ 南地区の… あの事件の⁈ ………はっはっはっはっは、こいつは面白い……… そいつの顔を今から見に行こうじゃないか」
ドマ師団長はそう言い3度ほど兵士の肩を叩いた。
「でっ、では、私は今すぐ兵隊を集めて来ます」
兵士はそう言い敬礼した。
「兵士達にはこう言って来い、都で虎が出たってな、都の防衛ばかりで最近刺激が無かったからあいつら喜ぶぞ」
ドマ師団長は不敵な笑みを浮かべてそう言ったのだった…
ーー北の陣第2幕・ミーナの悲報参照ーー
中央地区の町の1つを制圧して、一息ついていたクロック師団の所に南赤星師団の使いがやって来てミーナの悲報を伝えた…
そのミーナの悲報を聞いた兵士はすぐにハッド師団長の元に急いだ…
「ハッド師団長!大変です!」
ハッド師団長の前で馬から降りた兵士がそう叫んだ。
「なんだ?何かあったのか?この町で財宝でも見つかったのか?ん?」
ハッド師団長は微笑しながらそう聞いた。
「ミーナさんが… ミーナさんが… 」
兵士はそう言い言葉を詰まらせた。
「バーカ、いつも言ってるだろ?ミーナさんじゃねぇ、ミーナ様だって!何回言ったらお前達は分かるんだ?」
ハッド師団長は両手を腰にやりそう言った。
「はっ、はい… 」
兵士は顔を伏せそう答えた。
「で?ミーナ様がどうしたって?」
ハッド師団長は兵士の顔を除き込みそう聞いた。
⁈
「お前泣いてるのか?」
兵士の顔を除き込んだハッド師団長は兵士が涙を浮かべている事に気づきそう言った。
「うぅぅぅぅぅ」
兵士は顔を伏せたまま顔を横に振った。
「なんだ!何があった⁈ ミーナ様に何かあったのか⁈ 」
ハッド師団長は嫌な予感を感じ、兵士の胸ぐらを掴んでそう聞いた。
「ミーナさんが……… ミーナさんが……… 都で……… 死にました……… 」
兵士はそう報告すると力なく地面に倒れ込んだのだった。
その報告を受けたハッド師団長も手に持っていた指揮棒を地面に落とし、両膝を地面に叩きつけた…
「ミーナ様が、死んだだって?冗談だろ? ………じゃあ、俺は一体今までなんの為に頑張って来たんだ? 全てはミーナ様に認めてもらう為に今まで頑張って来たんじゃないか……… 」
ハッド師団長はそう独り言を呟いた。
するとハッド師団長の近くにいた兵士達がハッド師団長の様子がおかしい事に気づき数名の兵士達がハッド師団長の元に駆け寄って来た。
「ハッド師団長大丈夫ですか?さっ、肩を貸しますのでどうぞ」
駆け寄って来た兵士達はそう言うとハッド師団長の両腕を自分達の肩にかけハッド師団長を地面から立ち上がらせた。
「あっ、あぁ、すまない… 」
ハッド師団長は一瞬正気に戻ったが、兵士達が肩からハッド師団長の腕を外すと、ハッド師団長はそのまま力なく地面に倒れ込みそのまま意識を失ったのだった…




