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北の陣 第3幕  作者: m
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外れた鎖


「南軍のあの動きは一体、どうなってるんですか?なんで俺が防衛してた町まで南軍のマトになったんですか?」


ルーキ師団長がボル最高総司令官にそう詰め寄った。


クロック師団に敗戦したキルメール師団は熾烈な退却戦の末、命からがら中央地区の都までおちのびたのであった。


そしてキルメール師団の師団長ルーキは中央政府の城に行きボル最高総司令官と直接、面会したのだった。


「ルーキ君、君からの報告を受ける前に我々もすでに南軍の異変に気づき調べていたのだが、先刻とんでもない事が分かったのだよ… 」


ボル最高総司令官は冷静な様子でそう言った。


「とんでもない事?それは一体なんです?」


ルーキ師団長は怪訝そうな顔をしてそう聞いた。


「我々の知らない間に北地区と南地区の… あいつらの人質がポルドール王国から解放されていたのだよ」


ボル最高総司令官は冷静な様子でそう答えた。



「解放⁈ あいつらの人質が解放されてたですって⁈ じゃ、じゃあ、一体… 計画はどうなるんですか?」


ルーキ師団長は驚いた様子でそう聞いた。


「さぁな、私にも分からん… あいつらは初めから信用出来なかったんだ… 私は王族も信用してないがな… あの北軍の都攻めの前に和睦交渉した時、私がスペード師団を都の防衛にあたらせたのもその為だ」


ボル最高総司令官は冷静な様子でそう言った。


「えっ?王族も信用してないなんてそんな事言っちゃって大丈夫なんですか?」


ルーキ師団長は冷や汗を一滴垂らしそう聞いた。


「ここには私と君の2人しかいない、だから君が誰にも言わなければ大丈夫だ」


ボル最高総司令官はそう言いルーキ師団長に微笑んだ。


「はぁ、まぁ、俺は誰にも言いませんから安心して下さい… 」


( 2人って言っても読者がいるんだけどね… )


ルーキ師団長はちょっと困った様子でそう言った。


「あの和睦交渉の時… もしかしたら王族が私を始末しようとしているのか?とも思っていた… 何故なら王族に聞いていた話しと全然違かったからだ… 北軍が都付近まで攻めてくるなんて私には寝耳に水だった… 」


( 読者は関係ないのだよ、ルーキ君 )


ボル最高総司令官はそう言い話しを続けた。


「だが、北軍のあの都攻めの後、王族が人質であるブルの息子の1人を始末した事で王族への疑いは晴れた… それからブルは王族の… そして私の忠犬に戻った… だが、その人質達が解放されてしまっては奴らの鎖はもう無いのと同じだ」


ボル最高総司令官はそう言うと椅子から立ち上がりコーヒーを入れ始めた。


「あのっ、その解放された人質達は一体何処にいるんですかね?その人質達をまた捕まえればいいんじゃないですかね?」


ルーキ師団長はコーヒーを入れるボル最高総司令官に向かってそう聞いた。


「そんな事はもうやっている、2個師団、約40000人の兵士達に解放された人質達を捜しまわらせているが、全く見つからないのだ」


ボル最高総司令官はそう言い、入れたコーヒーをルーキ師団長の前に置いて飲むようにすすめた。


「そうですか… では、我々キルメール師団はこれから一体どうすればいいですか?」


ルーキ師団長はコーヒーを一口飲みそう聞いた。


「そうだな… 君の師団は敗戦直後だ… 兵を休ませた後、とりあえず都の防衛にあたっていてくれたまえ、何かあった時は使いを出す、それまでは都の防衛をしていてくれ」


ボル最高総司令官はコーヒーをすすりそう言った。


「はっ、分かりました」


ルーキ師団長がコーヒーを片手に敬礼し、そう言った時だった、激しくドアをノックした後、いきなり1人の兵士が2人のいる部屋に入って来たのだった。


「ボル最高総司令官!緊急事態です!北軍が停戦を破り中央地区に攻め込んで来ました!」


兵士は険しい表情を浮かべ汗だくの顔でボル最高総司令官にそう報告したのだった。



ボル最高総司令官は驚いた様子で手に持っていたコーヒーカップを床に落とした…


そして冷静を装い床に落としたコーヒーカップを拾うと…


「ふっ、ブルめ、どうやら本気で戦争を始めるみたいだな… そっちがその気なら… いいだろう、相手になってやろうじゃないか、中央軍を数だけの軍隊だと思うなよ」


ボル最高総司令官は独り言のようにそう言い…


「大至急北討伐軍を編成する、復帰したアントレイヤにそう言いすぐここに呼んでこい!それと王族に使いを出せ!北が停戦を破った事を伝えるんだ!」


ボル最高総司令官は汗だくの兵士にそう叫んだのだった。

















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