クロック師団vsキルメール師団 退却戦
本拠地を囲まれる前にキルメール師団は本拠地を捨て退却した…
だが、すでに町の各所をクロック師団に制圧されていたキルメール師団の退却戦は熾烈を極めるものであった…
数時間後…
「ズバッ、ズバッ、ズバッ」
ルーキ師団長が襲って来るクロック師団の兵士達を次々と斬っていた。
キルメール師団の本隊はすでに町の出口に差し掛かっていたのだが、町の出口周辺にはかなりの数のクロック師団の兵士達が待機していたのだった…
「くそっ!クロック師団め!あらかじめ俺たちが退却すると読んでいたな」
「ズバッ、ズバッ、ズバッ」
「お前達!後から退却してくる兵士達の為にここにいる兵隊は皆殺しにするんだ!」
ルーキ師団長は周りにそう叫び、次から次とクロック師団の兵士達を斬り進んだのであった…
さらに数時間後…
町にいたキルメール師団の兵士達は殺されたか逃げたかで1人も居なくなっていた…
だがクロック師団は町の外に逃げたキルメール師団の兵士達にも追撃の手を緩める事はしなかった。
そして現在、町の外でも退却戦が行われていたのだった…
そんな時、町の出入り口周辺でクロック師団の兵士達が大量に死んでいるという報告を受けたハッド師団長がその様子を伺いに町の出入り口にやって来たのだった…
「派手に逃がしやがってバカやろう達が」
ハッド師団長は大量に死んでいる兵士達を見てそう言い周りにいる数百人のクロック師団の兵士達に向かって…
「このバカやろうどもを手厚く葬ってやれ」
そう言った。
「はっ!」
ハッド師団長の周りにいた兵士達がそう返事をして死体の処理に取り掛かった。
ハッド師団長は死体達の中にいる第3旅団の団長の死体を見て舌打ちをした。
「まさかこいつが殺られるとはな… 中央軍もあなどれんな」
ハッド師団長はそう独り言を呟き占領したこの町の本拠地に向かって馬を走らせたのだった…
ハッド師団長が本拠地に戻ってすぐに1人の兵士が報告をしに来た…
「ハッド師団長、これを見て下さい」
兵士はそう言うとハッド師団長に分厚いノートを手渡した。
「なんだコレは?」
ハッド師団長は分厚いノートをペラペラとめくりながらそう言った。
「この町の帳簿の様な物です、このノートに書かれてある事をちゃんと見て貰えば分かるのですが、おかしいんですよ」
兵士は怪訝そうな顔をしてそう言った。
「ん?おかしい?何がおかしいんだ?俺がこんなもん見ても何も分からん、もっと派手に分かりやすく教えてくれ」
ハッド師団長は兵士の顔を見ながらそう言った。
「あっ、はい、派手に分かりやすくですね… えーとですね… 簡単に説明しますと… この町の収入や生産する物の殆どをポルドール王国に流してるみたいなんですよ、町の収入の殆どをですよ?」
兵士は怪訝そうな顔をしながらそう報告した。
「確かポルドール王国ってアリトリッツ王国の同盟国だったよな?」
ハッド師団長は腕組みをしてそう聞いた。
「はい、そうですが何か?」
兵士は怪訝そうな顔を続けながらそう言った。
「なら別におかしい事はないじゃないか、同盟国に金や物をくれてやってるだけだろ?」
ハッド師団長は腕組みをしたままそう言った。
「いやいや、そうじゃないんですよ、ハッド師団長、町の収入の殆どを流せばこの町はどうなると思います?」
兵士は額から汗を数滴流しそう言った。
「ん?分からん、どうなるんだ?」
ハッド師団長は怪訝そうな顔をしてそう言った。
「町の収入の殆どを流せばはっきり言って、町は機能しませんよ、ですが今まで機能していましたよね?」
兵士は片方の眉を少し上げそう言った。
「ん?よく分からんが機能してたんだろ?」
ハッド師団長は困った様子でそう言った。
「えぇ、実際、今日まで機能していたんですよ… それもこれも全て南地区のおかげで… 」
兵士はノートを指差しそう言った。
「ん⁈ 南地区のおかげでだと?なんでウチの地区のおかげなんだよ!それは一体どうゆう事なんだ⁈ 」
ハッド師団長はノートと兵士の顔を交互に見ながらそう言ったのだった…




