アントレイヤの内応 2
「ロウ、もうよせ… お前の気持ちも分かる… だが、王様が決めた事だ… 誰も逆らえん… 現にブル最高司令官も都攻めを除き計画通りに動いているだろ?」
アントレイヤはロウから視線をそらしそう言ったのだった…
「バン!」
「ブル最高司令官は父さんとは違うよ!ブル最高司令官は命を賭けてみんなを救おうとしてる!僕は父さんの事を見損なったよ!僕が父さんの立場なら迷わずブル最高司令官の味方になってる!これからも計画の犠牲になる人がどんだけいると思ってるんだよ!父さんは自分達さえ良ければそれでいいと思ってるんでしょ!最低だよ!」
ロウは机を叩きそう言った…
「バチン」
アントレイヤはロウの頬を叩いた…
「ロウ!もう止めろ!ブル最高司令官に何を言われたのか分からないがお前には関係ない話だ!」
アントレイヤは大きな声でロウにそう言った。
「そっ、そんな事言ったって、計画を知っちゃったからにはそんな訳にはいかないよ!父さん!父さんは北地区の惨状を知ってるの?町は荒れ果てて廃墟同然だよ!そこに北地区の人達は住んでるんだよ!それに… 北地区にはね… 親を殺された人達も沢山いる、餓死をした人達も沢山いる… これからもそうゆう人達が増えていくんだよ?それでも父さんは何とも思わないの?」
ロウは北地区の惨状を思い出し涙をこぼした…
「ロウ、お前が優しいのは分かった… だがこれ以上首を突っ込むのは止めろ… これはお前の為でもあるんだ」
アントレイヤはそう言ってロウを見つめた。
「もう!なんで分かってくれないんだよ!僕は父さんとは違う!自分達さえ良ければそれでいいなんて僕は思わないよ!父さん!ブル最高司令官に協力して王族の計画をぶっ壊してよ!」
ロウはアントレイヤにそう叫んだ。
「いい加減にしろ!ロウ!分かってないのはお前だ!王族に逆らえば私達は一体どうなると思う?何もかも失い命すら失う事になるんだぞ!私にはお前達を守る義務があるんだ!」
アントレイヤもロウにそう叫んだ。
「もういい!もういいよ!やっぱり父さんは自分達さえ良ければそれでいいと思ってる人なんだ!見損なったよ!」
ロウは涙を流しそう叫んでアントレイヤの部屋から去って行った…
「バタン」
ロウが去って静寂に包まれたアントレイヤの部屋のドアが閉まった…
アントレイヤは静かに椅子から立ち上がり包帯に巻かれた腹を押さえながらベッドに横たわった…
( ロウがまさか計画の事を知ってたとはな… そうか… だからあの時王宮について来たのか… )
アントレイヤはそう思いながらロウが去って行った部屋のドアを見た…
( ロウ… ロウの言ってる事は確かに正しい… 間違っているのは確かに俺の方だ… だが… 相手は王族だ… 俺に何が出来る… )
アントレイヤはそんな事を考えながらも、いつの間にか眠りについていた…
翌朝…
「アントレイヤ様!大変です!ロウ様がこの書き置きを残され家出されたみたいです!」
執事が眠っていたアントレイヤを起こしそう叫んだ。
「何?家出だと?」
アントレイヤはベッドから飛び起き執事にそう聞き返したのだった…




