封鎖
セナが隠れている部屋に1人の男がやって来た…
「今朝方、兵士達を追い払っておいたよ」
男は部屋の椅子に腰をかけそう言った。
「えぇ、ここから見てました。ありがとうございます」
セナが男にそう言った。
「一体君は何をしたのかね?兵士達が血相を変えて君の事を捜しているみたいだが… 」
男がそう言った。
「すいません… 司祭には言えない事でして… 」
セナは顔を下に下げそう言った。
「そうか… まぁ、いい… ブルさんから君の事は頼まれている… ほとぼりが冷めるまでここに隠れていなさい」
司祭がそう言った。
「あの… すいません… 私… 深夜にここを出ようと思ってます… ここに私がいる事がバレた時、みんなに迷惑がかかると思うので… 」
セナは司祭の目を見ながらそう言った。
「えっ?深夜にここを出る?ん〜、たとえ深夜でもそれは危険じゃないかな?外は兵士達で溢れかえってるし… この様子だと多分深夜になっても兵士達が君を捜し回るんじゃないか?」
司祭は困った様にそう言った。
「ここにいても見つかるのは時間の問題です… 兵士達が強行手段を取る前になるべく早くここを出ないと… 」
セナは司祭を見ながらそう言った。
「ん〜、そうか… 分かった… 君がそう決めたのなら仕方ない… 私にできる事があったら何でも言ってくれ」
司祭はそう言い席を立った。
「ありがとうございます、ご迷惑をおかけしてすいません」
セナも席を立ち司祭に頭を下げた。
「迷惑だなんてそんな事は思ってないから気にしなくていい… それじゃ、私はこれで失礼するよ」
司祭はそう言い部屋から出て行った。
そして司祭と入れ替わる様に1人の女が部屋に入って来た…
「セナさん!大変ですよ!町の出入り口がすべて封鎖されちゃいました!これじゃ、この町から出る事も出来ないですよ!」
町人の服を着たセナの部下の女が慌てながらセナにそう言った。
⁈
「町の出入り口が封鎖?あの男… 徹底的に私をあぶり出すつもりね… 」
セナがそう言い考え始めた…
「どうします?」
部下の女が恐る恐るセナにそう聞いた。
「向こうがその気なら… 」
セナはそう言い言葉を止めた後、再び話しだした…
「あなた達は先に北地区に帰ってて、私は後で行くから… 」
セナは部下にそう言った。
⁉︎
「そんな… セナさんをこんな状況で… 私達だけで先に帰るなんて… そんな事出来ませんよ… 」
部下の女が悲しそうにそう言った。
「私に考えがあるの… だからあなた達は先に北地区に帰ってて、ね、お願い」
セナは部下の女にそう言った…
「そんな… セナさん1人を残してもしもの事があったら私達は一体どうすればいいんですか?セナさんは私達の希望なんです… セナさんを失ったら私達は… 」
部下の女がうつむき涙を床に落とした…
「心配しないで… 必ず戻るから… 」
セナは部下の女の涙をハンカチで拭き取りそう言ったのだった…