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MIDDLEPHASE05 "黄香子"カリーの実力

2017/7/16 誤字訂正

2017/7/16 誤字修正

GM:さて、それでは五分ほど時間を遡り、ルーン側の演出をしておこう。現在君たちは神殿1階にある、職員用の事務室にいる。周りでは他の神官や見習い神官たちが仕事をしており、兵士たちもそれなりの数が出歩いているよ。


ルーン:バーベキューとマスタードが暴れたばかりだもんね。兵士が忙しそうにしてるのは当然か。


GM:うん。因みに各神官に1人ずつ、実力のある傭兵が護衛に付いている。テールにはジョンが付いているが…ルーンもその近くにいるか?


ルーン:えっと、マイケルさんは誰を守ってるんです?


GM:そっちかよっ!?(一同爆笑)…えーっと、じゃあ、マイケルはまだ別棟の方で警備の仕事でもしてるかな。


ルーン:なんだ、この場にいないのか。じゃあ私もテールちゃんのそばにいてあげよう。


GM:うん、それがいいと思うよ。えーと、テールはアミーを抱えながら、ノーチルが地下から戻ってくるのを待ってるけど…ルーンはどうする?


ルーン:そうだな…刀の手入れでもしてようか。


GM:OK。


フィル(テールになって):「ねぇルーンちゃん、その刀の名前はなんて言うの?」


ルーン:ん?これはね『仏色(ふっしき)紅鬼あかき共千切ともちぎり月華大太刀げっかのおおたち』って言うんだよ!(一同爆笑)


GM:だから長ぇよ!?『紅月』でいいだろもう!!


ルーン:駄目。(←謎のこだわり)


スイレン(テールになって):「そっかー、すごい名前だね」


ルーン:うん!


ワット:テールちゃん、反応薄くない…?(笑)


スイレン:まぁ、興味はないだろうからね。


GM:では、そんな感じで普段どおりに平和な会話を続けていると……「キャァァァアアア!!」と、唐突にエントランスの方から悲鳴が聞こえてくる。


ワット:(来たか…)


GM:もちろん悲鳴をあげるのは1人だけではない。その後も次から次へと悲鳴や苦痛の声が上がり、エントランスの方がとても騒がしくなっている。


ルーン:どーしたんだろー?


GM:「ぬぁっ!?」「ぐぁぁああっ!!」「ひ、ひぃっ!?」…悲鳴は次第に近づいてくるように聞こえるね。そしてルーンたちと同じく事務所にいる兵士たちが不審に思い扉を開ける。「どうした?何かあったのか?」ガチャ…


ルーン:刀を構えておこう。


GM:扉が開いた瞬間、兵士が1人、何かから逃げるように・・・・・・・・・・・して部屋の中に転がり込んできた。兵士は何も無い天井を仰ぎながら「やめろっ!来るなっ!!俺はまだ死にたくな…ガハッ」と騒ぎ、そして倒れた。


ルーン:……?


GM:他にも、頭から溶岩をかぶりのたうち回る者、腕を切断された者、無傷なのにまるで全身をナイフでめった刺しにされたかのように悲鳴を上げる者…それぞれ状態は違えど皆一様に苦痛にもがき苦しんでいる。


スイレン:なんだその地獄絵図…


GM:そして、そんな地獄を生み出した張本人が今、ゆっくりと事務室へ入って来た。道化師のような仮面で顔を隠した、長身褐色肌のエルダナーンだ。


ワット:…特徴一致。


GM:その姿を見たジョンが戦慄する。「ま、まさかアレは……"黄香子(イエロー)"か!?」


ルーン:ジョンに聞きます。イエローって何!?


GM:「13年前にこの神殿を半壊にしたっていう殺人魔だ!…俺は13年も前からこの神殿に雇われてたワケじゃないが…褐色肌のエルダナーンで、道化師の仮面…聞いてた特徴と完全に一致している」


ルーン:なるほど……


フィル:ルーンちゃん、カリー(黄香子)の攻撃手段が未だに不明だから、あまり無理はしちゃ駄目だよ。


ルーン:了解。


GM:さて、その"黄香子イエロー"だが、どうやらルーンたちの方を見ているような気がするよ。…正確には『尻尾の少女』と『進化版(アドバンスド)ファミリアのスキル珠』の方を…だけど。


ルーン:そうだろうな。じゃあテールちゃんを背後に隠すように動こう。テールちゃん、下がって。


GM:「…そこか」"黄香子イエロー"はそう呟き、テールの方に向かって歩き出した。途中、何人かの兵士が奴に立ち向かうがが、全員、カリーに触れることすら叶わずにバタバタと倒れていってしまう。


スイレン(兵士になって):「1人で突っ込むな!常に3人以上で纏まってかかれ!!」


フィル(兵士になって):「うおーーーっ!」「うわぁぁあっ!??」


ワット:秒でやられてんじゃねーかっ!?(笑)


ルーン:ちなみにカリーの攻撃方法は?


GM:カリー自身が直接手を下しているようには見えない。兵士達は突如現れた洞窟が崩れて下敷きになったり、見えない何かに襲われて気絶したりしている。


ルーン:なんだそれっ!?


スイレン:《ガーデン:洞窟》に《クラッシュガーデン》


フィル:そして《イメージビースト》か《イメージウェポン》あたりの幻影魔術か…


ワット:そういえば今回のシナリオタイトル『黄影の錬庭師ファントム・ガーデナー』だったね。


ルーン:……完全にこいつのことだな。


GM:(にっと笑って)正解でーす!!ただ、それがわかっても奴を止めることは不可能だ。今も次々と兵士たちが薙ぎ払われていく。そしてそれを見たジョンが我慢ならずに…「くそっ!仲間がやられるのをこれ以上見てられるかっ!!」と、飛び出していく!!


ルーン:馬鹿っ!?行っちゃだめだろ!??


GM:「これでもくらいやがれっ!!」ジョンは所持していた槍を"黄香子イエロー"に向け全力で投擲した。…が、これは"黄香子イエロー"の《プロテクション》により簡単に弾かれてしまう。


フィル:あぁ……


GM:…が、しかし。これは実は《フェイント》だ。ドゥアン種族の牙爪族ケイネスであるジョンは徒手による格闘術に優れている。"黄香子イエロー"が槍に気を取られている隙に接近し、空いた脇腹に向けて渾身の《ペネトレイトブロウ》を叩き込む!!


一同:おぉっ!?


ワット:まじかよ!?ジョンがやりやがった!!!


フィル:《ペネトレイトブロウ》は敵の防御力を無視して拳を叩き込むモンクのスキル。当たればほぼ確実にダメージが入るぞ。


GM:その通り。ジョンの鉄拳をモロにくらった"黄香子イエロー"は、あまりの衝撃に霧散してしまう。


一同:おぉ!……………お?


ルーン:………霧散?


GM:「馬鹿め。それは残像だ」…ジョンの耳元で誰かが囁く。直後、冷たい感触が背後からジョンを貫いた。振り向くとそこには無傷の"黄香子イエロー"が立っていた。


スイレン:《デコイイメージ》かっ!?残像を囮にして避けやがったな!?


フィル:ガーデナースキルに加えイリュージョニストスキルも使えるのか…そのうえ《プロテクション》まで撃ってたってことはアコライトスキルも使えるんだろう。ルーンちゃん、気をつけて…


GM:「クソ…が…」レイピアで貫かれたジョンはその場で力尽き、倒れ伏した。すると"黄香子イエロー"は血に濡れたレイピアを手に持ったまま再びテールに向かって歩き始めたね。


ルーン:…勝ち目あるようには思えないけど、しかたない。"黄香子イエロー"に斬りかかります。くらえ、《スラッシュブロウ》!!


GM:《ヘイスト》…突如加速した"黄香子イエロー"が刀を振りかぶるルーンを無視し即座にテールと距離を詰める。


ルーン:えっ!?


フィル:そんなスキルまで使えるのか!?チートかよ!!


GM:「…尻尾の少女、テール・プロミーゼだな?君には我々についてきてもらう。大丈夫、抵抗さえしなければ痛い思いはさせない」


ルーン:…とかなんとか言ってるうちに全速力でテールちゃんのところに戻ってもう一回斬りかかります!


GM:それは《プロテクション》で防がれる。そしてそのとき、ルーンは"黄香子イエロー"の、仮面の奥に隠された目を見てしまう。


ルーン:え。


GM:気がついたらルーンは100人程の"黄香子イエロー"に取り囲まれているよ。


ルーン:なんじゃそりゃっ!??


フィル:また幻か…


GM:その通り。だが幻と気づこうが気づくまいがどちらにしろこの幻術から逃れることはできない。


ルーン:くっ、じゃあ、その100人の"黄香子イエロー"ってのをかたっぱしから斬り捨てていこう。


GM:…と、ルーンがそんな感じで暴れているうちに、本物の"黄香子"はテールを抱え上げてしまった。


フィル:あー、もうヤバイ!!?GM、そろそろ地下牢から上がって出てきてもいいか!?


GM:…まぁいいだろう。ただしこの場面に登場するには判定が必要だ。難易度10の幸運判定でどうぞ。1人でも成功すれば全員出られるよ。


フィル:(ダイスを振る)…達成値13で成功!!


GM:OK。ではノーチル、フィル、スイレンの3人はこのタイミングで地下牢から上がって来たよ。


スイレン:とりあえず状況は!?


GM:事務室では既に兵士が複数人倒れており、テールが道化師仮面のエルダナーンに抱え上げられ、そして何故かルーンが大暴れしている。


フィル:倒れてる人は一旦後回しだ。まずはルーンちゃんを止めよう。後ろから羽交い締めにして言います。何やってんだルーンちゃん!落ち着いて!!


GM:ふむ。ではフィルくんは難易度14の精神判定をお願いします。成功すればルーンの幻術は解けることにしましょう。


フィル:(ダイスを振る)…成功!


ルーン:ハッ!?あれ、急にイエローが1人だけになった!!


GM:ではここでノーチルが叫ぶ。「イエロォォ!!貴様、私の娘になにをするつもりだ!!!??」対して"黄香子イエロー"「プロミーゼか…13年ぶりだな。生憎だがお前と話している余裕はない。娘は少し借りていくぞ。…まぁ、返せる保証はせんがな…」


ルーン:今返してもらうからいいよ!もう一度カリーに向かって突撃…


GM:もう遅い。"黄香子イエロー"は術式を唱え《テレポート》を発動する。


一同:あぁっ!?


GM:じゃあ、ここまで頑張ったルーンに、最後に一言だけ。


ルーン:………


GM:「諦めろ。お前では私には勝てない」


スイレン:いやそこはせめて敵ながらにも賞賛とかするところでしょうっ!??(笑)


GM:「呪うなら私ではなく、己の弱さを呪え…さらばだ」《テレポート》の魔法陣が強い輝きを放ち、いよいよ転移が開始する。


ルーン:まだ諦めない。紅月を構えて"黄香子イエロー"に突撃する!!


GM:ーーーすると、ルーンはあることに気がつく。


ルーン:……え?


GM:転移の直前、"黄香子イエロー"に抱えられたテールが手に持ってるアミーにボソボソっと、何かを耳打ちしている。


一同:…………??


GM:そして、転移が開始したちょうどその瞬間。テールが、アミーを、投げ捨てた(・・・・・)


一同:おぉっ!?


フィル:強いぞテールちゃん!!


ルーン:…飛んできたアミーは私がキャッチしましょう。


GM:『スキル珠』が飛んで行ったことに気づいた"黄香子イエロー"は、仮面の奥でギョっとしたことだろう。まさかテールがこのような手段で抵抗を試みるとは思ってもみなかっただろうから。だが、一度発動した《テレポート》はもう止まらない。カリーと、そしてテールは、こうしてどこかへと転移して行ってしまった。


フィル:また、まもれなかった…


GM:では、目の前で仇敵に最愛の娘をさらわれてしまったノーチル神官長の叫びをもってこのシーンを終了しましょう。




「…何故だ、何故お前は私の大切な者を奪って行くのだ…!!…イエロォォォォォォオオオオオ!!!!」




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