OPENINGPHASE03 水霊の錬金術師団
2016/7/2 文章中の読みづらかった部分を一部修正。
GM:さて、スイレンのシーンは一旦置いておき、先にワットくんのシーンをやってしまおう。
スイレン:わー、置いとかれたー。
GM:とは言っても、スイレンとも関わりの無い話とは言い切れないからな。しっかり聞いておいてくれ。
スイレン:了解です。
GM:これは今から1〜2年前の話。舞台はスイレンの故郷、戦乱大陸アルディオンの中央に位置する強国『フェリタニア合衆国』…その首都『ノルウィッチ』だ。スイレンの実家の商社『水霊の憩い』はここに本社を構えているぞ。
フィル:あれ、『ノルウィッチ』って、アルディオンの商売を牛耳ってる『ブルックス商会』も本拠地構えてなかったっけ?スイレンさんの実家、そんな大企業と張り合ってるの?
GM:いや、張り合い切れてない。完全に押されてる。
ルーン:ダメやん。
GM:だがまぁ、それはあくまで店舗規模の話。今からおよそ500年前…帝期300年代から続いてきた老舗である『水霊の憩い』は、その長い歴史と伝統を武器にして、現在もちゃんと商社として成り立つ程には利益を得ている。ギリギリだけど。
ワット:ギリギリなのかー…。
GM:…で、そんな『水霊の憩い』本社の地下には、ワットを含む20人の雇われ錬金術師たちが作業する『地下実験室』なるものがある。このシーンは、そんな実験室での錬金術師たちの集会から始まるぞ。
ワット:なるほど。じゃあ話を聞いていようかな。
GM:うん。錬金術師たちの中心にいるのは『カリー』という褐色肌のエルダナーンだ。今、他の錬金術師たちがカリーを囲むようにして話を聞いている。
スイレン:どんな話をしているのでしょうか?
GM:「この会社はもうダメだ。社長が裏組織と関係を持っていると分かった以上、ここに留まっているのは危険が過ぎる。今晩中にみんなで撤退しよう」
一同:はぁっ!??
GM:どした?
ルーン:「どした?」じゃねぇよ!!ツッコミ所が多すぎるわっ!!
ワット:はぁー…なるほど。つまり俺達が一方的に裏切ったというより…
スイレン:裏切らざるを得なくなったわけか。
GM:そゆこと。ちなみに『水霊の憩い』の正社員たちは社長が裏組織と繋がっているなんて情報は掴んでいない。
スイレン:あぁ、それで私みたいな社員たちは「錬金術師たちが裏切った」と思ってるわけか。
フィル:沼だな~
GM:ちなみにこの社長、スイレンの父親で名を『カイル』という。まぁ、今回は大して出番は無いから覚えなくてもいいや(笑)
スイレン:私のお父様…本当に何を…
GM:…で、続き。「みんな、今すぐ荷物を纏めてくれ。30分後に出発する」…カリーの号令と共に錬金術師たちが一斉に動き出した。
スイレン:えっ、統率やばっ!?雇われの錬金術師たちって寄せ集めじゃなかったの?もともとチームでも組んでたみたいな動きだな。
GM:それだけカリーのリーダーシップが絶大ってことだ。そしてなにより、今回は社長が裏組織と関わっているという確たる証拠が掴まれている。その信憑性はかなり高く、馬鹿じゃなければすぐさま夜逃げに賛成するだろうといったレベル。
ワット:証拠…いったいどんなものなのか…
GM:まぁそれはさておき(←どんな証拠なのかまるっきり考えていない人)…錬金術師たちはテキパキと夜逃げ準備を進め、そして30分が経つころには大方の脱出準備が整っていた。
フィル:さすが、手際がいいな。
GM:…が、しかし。丁度そこで、出張に行っていた社長が乗った馬車と思しき車輪の音が上階から響いてくるね。
一同:げぇっ!?
ワット:なんというバッドタイミング!?
フィル:え、これ、どうするの?
GM:心配無用。すぐさまカリーが作戦を立て、錬金術師たちにそれを伝える。「私が社長の気を引いて囮になる。そのすきにお前たちは逃げろ。できるだけ遠くにだ!」
スイレン(錬金術師になって):そんな!?カリーの兄貴!??
GM:「心配するな。俺もすぐに後を追うさ。…(ここで唐突にワットの方を向き)俺が囮になっている間の指揮はボルト、お前が取れ」
一同:!?
ワット:え?俺??
GM:「あぁ、お前なら実力も実績もあるし申し分ないだろう。みんなもそう思うだろ」…聞かれて錬金術師たちは皆「カリーが言うなら」と、ワットの指示に従う意思があることを示すね。
ワット:そ、そうか…そうなの…か。
GM:「引き受けてくれるな?」
ワット:……はい。
GM:「よし!」カリーの表情が明るくなった。…と、ここで上階から、会社の正面入り口のドアが開けられた音が聞こえてくる。いよいよ社長が入ってきたようだ。それを聞いたカリーは覚悟を決めたかのように深く息を吐くと、階段の前まで向かった。
ワット:………………
GM:そこで、上階に上がるタイミングを計りながら、カリーがワットに再び話しかける。「ボルトよ。お前は…お前だけはここから逃げたら名前を変えて生きろ」
ワット:………え?
GM:「いいな?」…と、最後にワットに笑いかけ、カリーが勢いよく階段を登って行った。直後、上階から話し声が聞こえてくるね。当然、社長とカリーのものだ。2人の話し声は穏やかで、社長がカリーを怪しんでいる様子は無い。2人の声はしだいに階段の上から離れていき…遂には聞こえなくなった。……さ、逃げるなら今だぞ。
ワット:…(少し考えて)……最後の言葉は気になるけど、せっかくカリーさんが作ってくれた時間を無駄にするわけにはいかない。とりあえず、ここは素直に逃げ出しましょう。
GM:OK。では、君はどこか後ろ髪を引かれるような思いに囚われながらも、仲間らと共に『水霊の憩い』
から脱出するかとに成功した。その後、その仲間たちは少しずつ離散していき、それぞれの道を歩み始める。ワットもまた、故郷であるエリンディル大陸に戻る決意を固めるね。
スイレン:その過程で私の護衛任務をすることになるんだな。
GM:その通り(笑)こうして、ワットとスイレンが一緒に旅をすることとなり、このまま第1話へと続くわけだ。
ワット:…そうか、過去にそんなことがあったのか。カリーには自分と、仲間の危機を救われたな。そのことに深く感謝しないとね。…最後に言われたこと、「名前を変えて生きろ」…これも、しっかり果たそう。
…こうして、錬金術師『ボルト・W・アンペール』はその名を『ワット』と変えて活動するようになったのであった。
□■□
GM:…とまぁ、ここまでは前置きで、そろそろ本編に入ろう。
一同:前置きだったんかーーーーい!??(総ツッコミ)
ルーン:いくらなんでも長すぎるわっ!!?
GM:ごめんごめん(笑)思ったより白熱しちゃって。
ワット:…で、本編では何が起こるんだ?
GM:えーと、フィルくんがお父様に呼ばれて神官長室へと向かっているころ。君はなんとなくふらふらと商店街の方までやってきていた。
ワット:暇つぶしにでもしに行こうかな…と。
GM:そうそう、そんな感じ。…で、君が適当に商品を物色しながら商店街を進んでいると、ベークンの『コンガリ武具店』でパンチングマシンに挑戦しようとしている、見覚えのある褐色肌のエルダナーンが目に入った。
一同:あっ(察し)
フィル:そういえばハンドアウトにそんなことが書かれてたな…。
GM:褐色肌のエルダナーンはパンチングマシンに挑戦しようとしているようで、ぺちっと一発殴りつけて17点ダメージとか出してる。
スイレン:弱っ!?
ワット:しょうがないな…ここは代わりに撃ってあげようか。ムーブで《ホークアイ》マイナーで《ブルズアイ》メジャーで通常攻撃、ダメージロールに《ピアシングストライク》!!!
GM:お、いいね。コストは払わなくていいからダメージまで出してみて。
ワット:(ダイスを振る)…38点物理ダメージです。
GM:では5%OFFだね。「おめでとうだびー!」カランカランとベークンが鐘をならして祝福し、ワットに商品の『レイピア』を渡す。
ワット:ではそれを受け取って…すぐに隣にいるあの人に渡そう。久しぶりですね、カリーさん。
GM:「おぉ、ボルトじゃないか!?こんなところでなにをやっているんだ!?」
ワット:それはこっちのセリフ…というか、今は『ワット』という偽名を使っているのでそちらで呼んでいただきたい。…そもそも偽名を使えと言ったのはあなたですし…(笑)
GM:あ、そうだった(笑)偽名使ってる配慮が足りなかったな。なんかうっかり昔の通りに呼んじゃったんだろう、たぶん。
ルーン:まぁ、そうだろうな。
ワット:それにしても良かったです。カリーさんも、あの後無事に逃げだせたんですね。
GM:「あぁ、まぁ、どうにかな。全員無事に逃げられて何よりだった……時にボ…ワット、お前は今どんな仕事をしているんだ?」
ワット:私ですか?今はとある方の護衛の仕事をしていますけど…。
GM:「ふむ、護衛か。それはレールガンを使うお前に相応しい仕事だな」
ワット:ですね。
スイレン:完全に世間話だな(笑)
GM:うん。じゃあこの辺で話題を変えようか。カリーは少し悩むような仕草を見せた後、君に質問をしてきた。「あー、変なことを聞くようだがワット…その護衛の仕事……期限はいつまで続くのだ?」
ワット:え?
スイレン:あー、期限…期限ね…。そういえば全然決めてなかったな。
GM:「…もし良かったらだが、お前に頼みたい仕事があるのだ。…どうだ、話だけでも聞いてくれないか」
フィル:あっ、それは…
ルーン:スイレンさんとの契約が切れかねなくないか…?
ワット:…そう、だけど…まぁ、話を聞くくらいなら大丈夫じゃないかな。一応恩人だし。
スイレン:……………
GM:どうする?カリーについて行く?
ワット:…………はい。
GM:OK、ではカリーが「ここでは何だ。座って話せる場所に移動しよう。ついてきてくれ」と言って商店街を後にする。ワットもそれについて行ったところで…シーンを終了しようかな。
ワット:なんか…デリケートな話になってきたな。
ルーン:これは、ワットくんの雇い主様に対する忠誠心が試されているぞ(笑)
GM:そうだな(笑)…じゃあ、そんな感じでお次はそんな雇い主様のシーンに入って行こうと思います。