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MIDDLEPHASE07 大蜘蛛

2018/12/13 誤植訂正

GM:さて、それじゃあ次のシーンに移るぞ。君たちがエリア⑦北側の通路を進んでいくと、南北方向に30m、東西方向に10mの細長いエリアにたどり着く。通路は北と南に1本ずつ。君たちは南側の通路からこのエリアに入ってきた。


スイレン:さっきまでとエリアの形が違う…


GM:まぁ10m×10mじゃちょっと狭かったからな。ここだけ特別枠だ。


ルーン:…で、通路の他には何があるの?


GM:あぁ、君たちがいる場所(南側通路出てすぐ)から25m離れたところに巨大な蜘蛛の巣が壁のように立ち塞がっており、その巣にはまるで竜のように巨大な1匹の蜘蛛が居座っている。前回聞こえてきた「グルルルル」という唸り声もコイツのものだ。


フィル:また蜘蛛か!…いや、蜘蛛ならもしかしたらルーンちゃんが…


ルーン:うん。《アニマルエンパシー》で対話を試みるよ。


GM:「ココカラサキニ ブガイシャヲ ススメル ワケニハ イカナイ ソウキュウニ タチサレ」


ルーン:ワタシタチ キガイ クワエナイ


GM:「シンヨウ デキナイ ハヤク タチサレ」


ルーン:まぁ、そりゃ信用を得ないと通してくれないか。交渉の判定でなんとかなる?


GM:残念だが、交渉の余地はない。大蜘蛛…エネミー名『ミストスパイダーキング』は一向に立ち去らない君達に攻撃を仕掛けてくる。戦闘開始だ。



□■□



【行動値】

ワット…18

ミストスパイダーキング…12

スイレン…9

ルーン…8

フィル…7



スイレン:うーん、絶対避けられない系の戦闘でしたか。エリア④にいたミストスパイダーは会話ができたんですがねぇ。


ルーン:王様は傲慢だなぁ。


ワット:まぁ仕方ない。さっさと倒して先に進もう。


GM:OK。ではここでこの戦闘の特殊ルールについて説明するよ。


フィル:特殊ルール?


GM:そう。ミストスパイダーキング(長いので、以下『大蜘蛛』とする)のいる、君達から25m離れた地点には蜘蛛の巣が壁のように張ってあると描写したと思うのだが、実はこの蜘蛛の巣、エリア③にあったものと同じ『とりもち』なのだ。


一同:げ。


ルーン:…つまり、水で洗い流すまで全判定-1Dと。


GM:その通り。


ワット:うわーー、めんどくせーー。しかも25m地点て距離までしっかり決まってるってことは、そこにエンゲージした瞬間に「とりもちに触れた」と判定されるってことだよね?


GM:おぉ、察しがいいな。正解だよ。因みに既に25m地点で蜘蛛の巣の上にいる大蜘蛛はエネミースキル《トラップ無効》を持っているため、とりもちの影響を受けない。


スイレン:それはまぁ、自分の巣に引っかかるようなマヌケな蜘蛛はいませんからね。


ルーン:うーん、蜘蛛にエンゲージしちゃいけないのか。困ったぞ。


フィル:ルーンちゃんは至近距離からじゃないと攻撃できないもんね。


スイレン:その上名前に付いている『ミスト』の部分が不安でなりません。きっと水属性なんだろうなぁ…私の攻撃通じるかなぁ……

(※スイレンの魔術はご存知の通り水属性なのだが、実はこの攻撃は同属性のエネミーに対して入るダメージが薄くなってしまうのだ)


フィル:まともにダメージを入れられそうなのがワットさんだけか。これは少し部が悪いかも…。


ワット:…まぁ、話し合っても埒があかない。とりあえず戦闘を始めよう。


GM:了解。まずはセットアッププロセスから!



セットアップ。取り戻し隊はスイレンの《プロモーション》で強化した《カプリチオ》を、フィルが《クイックソング》で展開。メンバー全員の行動値が+4された直後にギルドサポートの『陣形』を使用。ルーンが13m、フィルが10m、スイレンが5m前進した。


大蜘蛛は動きを見せず、そのままイニシアチブプロセスへ。行動値最速のワットが行動に入る。


最早お馴染みとなった《パワーブレイク》《インベナム》《ピアシングストライク》のコンボが炸裂。大蜘蛛に【毒(4)】&【スリップ】の強力バッドステータスが叩き込まれる。

しかし大蜘蛛はなんとエネミースキル《抵抗性:毒》を所持。【毒(4)】は無効化されてしまう。


……が、



GM:…えー、ワットの銃撃が入った瞬間、大蜘蛛は「ピギィ!」と悲鳴をあげ、蜘蛛の巣から落下した。


ワット:お?


スイレン:あ、もしかして【スリップ】ですかね?


GM:その通り。こいつは【スリップ】を受けると蜘蛛の巣から落ちるんだ。まぁムーブアクションで【スリップ】を解除すればすぐに戻れるんだけどね。


ルーン:……待てよ。ということは、私、大蜘蛛にエンゲージしても蜘蛛の巣に触れずに済むのでは?


一同:あ。



お察しの通り、【スリップ】中の大蜘蛛が蜘蛛の巣上にいないなら、エンゲージしても蜘蛛の巣に触れることはない。ということになる。

さらに言うと、PCたちの行動値は現在 《カプリチオ》で加速しているため、次の行動はスイレン、そしてルーンと続く。


要するに、これは千載一遇のチャンスなのだ。



スイレン:そうと分かれば畳み掛けましょう。私の行動。ムーブなし、マイナーで《進化版アドバンスドポイゾネ…(判定失敗のため省略)…メジャーで《ウォータースピア》!



《マジックフォージ》まで乗せたこの攻撃は予想通り水属性であった大蜘蛛の魔法防御力に阻まれ、大したダメージは与えられなかったが、しかし、【放心】と《マリッド・ストリーム》の効果が入ったため、大蜘蛛には命中判定と回避判定にそれぞれ-1Dのペナルティが働くことに。

そうなると次のルーンの攻撃を避けられはずもなく…



ルーン:《バーサーク》《ソウルヒート》《スラッシュブロウ》にスイレンさんの《チェックメイト》も乗ってダメージロール15D+51(ダイスを振る)…106点、物理ダメージ!!



この攻撃がクリーンヒット。物理防御力は元から高めだが、それでも防ぎきれないダメージを受ける。



GM:うぉぉあっぶねぇ。残りHP40点くらいしかないけどなんとか耐えた。


ルーン:あー、倒しきれなかったか。


GM:《カプリチオ》のせいで想定外に追い込まれたけど、耐えられてよかった。次は大蜘蛛の行動だ!


フィル:(すかさず)《カリキュレイト》 その行動に割り込みます。(一同爆笑)


GM:……え?


フィル:ムーブマイナーなし。メジャーでルーンちゃんに《ジョイフルジョイフル》! ルーンちゃんを未行動状態に戻します。


GM:…………………………


ルーン:えっと、次は私の行動だね。…HP、40点くらいしか残ってないんだっけ?


GM:………………………………………………



大蜘蛛の甲高い悲鳴が、森中に鳴り響いた。


大層なギミックを仕込んだ戦闘だったが、何もできずに終了した。



□■□



GM:しくしくしくしくしく


スイレン:よし、倒せましたね。ドロップ品の『ミストスパイダーキングの毒液』も手に入れましたし、さっさと先に進みましょう。


ワット:スイレンさん。GMが泣いてますよ。


GM:待て待て。行かせぬわ。大蜘蛛は傷だらけの身体で尚立ち上がり、「コノサキヘハ…ススマセヌ……」と、君達の前に立ち塞がる。


ルーン:えぇ…まだやるの?流石にこれ以上は命に関わるんじゃ?


GM:まぁ、見るからに瀕死だね。「…スス……マセヌ… コノ…サキニハ……ミコ…サマガ……」


フィル:…これ以上は戦えないな。素直に引き下がってもらいたいところだけど……


GM:そのとき、エリアの奥、北側の通路から声がかけられる。「あらぁ、こんなに傷だらけになって。よく頑張ってくれたわねぇ、キング。ありがとう、もう大丈夫よ。あの人たちは敵ではないわ」


ルーン:…誰?


GM:大蜘蛛は振り返り、そこに立つ人を見ると、こう言った。「ミコ…サマ……」


ルーン:…あ、御子さんか。蟲の御子!


GM:その通り。「あなた達、よくここまでたどり着いたわねぇ」 大蜘蛛を2本の腕で労わるように撫でつつ、2本の腕で巨大な本を抱えたその女性は、両手を広げて君達に歓迎の意を示す。


フィル:…ん?今、何かとてつもなく奇妙な描写を聞いたような……


GM:いいや、奇妙なんかじゃない。覚えてるか?御子に現れる身体的特徴。


ワット:あぁ、御子は身体の一部に動物の特徴が現れるとかなんとか。


GM:そう、それ。「ようこそ、霧の森へ。私の名はソフィ」…背中から生えた4本の蜘蛛脚(・・・)を腕のように自在に操るその女性が、瞳孔の開ききった目で、君達に笑いかける。「…"小さき蟲の王"アラクネの加護を受けた『蟲の御子』よ。 (ニンマリと笑い)よろしく……ね★」


ルーン:………こ、


フィル:………こ、


スイレン:……こ、



この狂気しか感じない笑顔を前に、PLたちは声を揃えてこう叫んだ。



一同:怖えええええええええええええええ!!!!!



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