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ENDINGPHASE02 ディアモンが見た景色

2018/9/26 誤字訂正

GM:さて、長かった第7話もとうとう最後のシーン。ディアモンの葬式のシーンを演出するぞ。


フィル:ほ、ほんとに?あの人本当に死んだの?


GM:(頷く)


ルーン:………


GM:…ヴァンスター城前の広場は、帝国軍の兵士や馴染みの深い傭兵たちはもちろん、帝都の市民など、ディアモンの葬儀に参列するために集っていた人々で溢れかえていた。


ワット:…すごい人数だな。


GM:あぁ。国内に点在する軍基地のトップもほとんどが顔を出しているようで、彼の人望の厚さが伺えるだろう。


ルーン:………


GM:ルーンは、城内の一室、ディアモンの棺桶が安置されている部屋の窓から、広場の様子をじっと眺めていた。



「黙祷」



GM:バーパスの声が広場に響く。広場に集った全ての人間が、偉大なる友人を弔うために、一斉に天に祈りを捧げる。




「……惜しい男を亡くした」




ルーン:……?


GM:不意に、部屋の中に声が響いた。いつの間に部屋に入ったのだろうか。神聖皇帝ゼダンが、そこにいた。


ルーン:…何の用?


GM:さぁ。ゼダンはその質問には答えてくれない。ただ彼はルーンの隣に並び、窓の外、多くの人々が未だ祈りを捧げ続けている広場を見ながら、こう続けた。




「奔放で、幼稚で無知で、不器用で、腕っぷしだけが取り柄の馬鹿な男だったが…その人望だけは本物だ。その証拠が今、ここに広がっている」




ルーン:……(窓の方へ向き直る)




「ディアモンの姪よ、これを見て、何を思う」




GM:目は広場へと向けられたまま、不意にゼダンが君にこう問いかけた。




「ディアモン亡き今、そなたは何を考え、何のために動く」




スイレン:皇帝陛下…それ、この状況で12歳の女の子に言う台詞ではないのでは。私はこの場にいないけど、いくらなんでも少し抗議するぞ。


フィル:いや、だいぶ厳しいけど、でも確かにゼダン様ならこう言うだろうな。問題はルーンちゃんが、伯父さんの死をどう受け止めているかだ。




ルーン:(窓の外を見ながら)……伯父さんのお友達は、こんなにいたんだね。


GM:「こんなものではない。大陸中を探せば広場どころか、この帝都に収まり切らぬ数の友が見つかるだろう」


ルーン:やっぱりすごいなぁ、伯父さんは。私も、伯父さんに負けないくらいいっぱいお友達を作る!!




フィル:……え、ええええっ!?


スイレン:もしかしてルーンちゃん、意外と気にしてない?


ルーン:いや、気にしてないことはないよ?でもね、だからって別に根幹の部分は変わらないよ。だから、「どう動く?」なんて聞かれたら、こう答えるしかないでしょ。メソメソしてたら、それこそ伯父さんに怒られちゃうよ。


スイレン:強い!この娘メンタル鬼強い!!


GM:そんなルーンを見たゼダンは目を細め「…似てるな」と呟いた。きっと彼には、20年ほど前の若かりしディアモンの姿が君に重なっていることだろう。


ワット:そりゃあ、ダブるだろうな。めちゃくちゃ似てるもん。この伯父と姪。


ルーン:私もいつか、伯父さんみたいに世界中のみんなとお友達になるんだ!


スイレン:ですねぇ。本当に伯父さんに良く似て強い子ですよ。ルーンちゃんは…




GM:「ルーンよ」 窓の外に目を向けたまま、ゼダンは君に語りかける。「余に着いて来い。ディアモンが見ていた景色を、お前に見せてやろう」


ルーン:嫌だ。


GM:「そうか」




スイレン:!!!!!??????いや、ちょ、ルーンちゃん!?


フィル:即答で断った!神聖皇帝の誘いを!!(爆笑)


ワット:なるほど、確かに強い子だ(爆笑)


ルーン:そもそも、私は伯父さんみたいにたくさん友達を作りたいっていうだけで、別に中将になりたいわけではないから、帝国の助けは必要ない。それよりも自由に、伯父さんに誇れる生き方をしたい。


スイレン:…まぁ、それもそうですね。




GM:「しかしルーン。前時代の英雄ディアモンの死は1つの『予兆』だ。この先、世界をかつてない程の嵐が襲うことになるだろう」


ルーン:………


GM:「そんな中、貴様は()のようにたくましく生きることができるのか?」


ルーン:(にっと笑って)やってやるさ…!




ワット:うおおお、本当にメンタル強いなこの娘!


フィル:とても神聖皇帝と12歳の女の子の会話とは思えない。




「フハハハハハハハハハハハハハハ!!!」




GM:威勢のいいルーンの返事を聞いて、皇帝ゼダンは面白そうに笑った。「そう言えるなら十分だ。さすがは奴の姪と言ったところか」


ルーン:何だよ。別に笑うことじゃないだろ?


GM:「これが笑わずにいられるか…ククッ」ゼダンは楽しげに笑いながら踵を返し、部屋から立ち去ろうとする。ただ、最後にルーンの方を振り返り、付け加えるようにこう言った。「目指すはいいが、ルーンよ。奴がいた場所は貴様の想像よりも遥かに高い所にある。並の努力では到達できまい。…何せ……」




「貴様はディアモンとは違い、未だ余と友達(・・)になれていないのだからな」




GM:…言い残すとゼダンは、「フハハハハ!」と豪快な高笑いを廊下に響かせながら、部屋を後にした。


ルーン:…すごいなぁ、伯父さんは。あんな人とも友達だなんて。




…私も、負けちゃいられない!




部屋に安置されている棺桶を撫で、前を向く。


偉大な伯父の大きな背中に追いつくために、ルーンは今、新たな一歩を踏み出した。








「それじゃあ伯父さん、行ってきます!!」








アリアンロッドRPG2Eリプレイ・友情は闘いの果てに咲くものですよね!


ーーーTO BE CONTINUEDーーー


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