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MIDDLEPHASE14 プロミーゼ家 後編

2018/8/29 誤字修正

GM:えーと、まずは、これに関してかな。「『動物の王の御子』については、"黄香氏"の時に話したな。覚えているか?」


フィル:『動物の王』から祝福を受け、能力を授かった人たちのことでしょ?


GM:「そうだ。『動物の王』たちから加護を受けた御子たちは、神々の意志に沿って動き、世界を滅ぼしかねない反乱因子に対して『天罰』を執行する」


ワット:うんうん。


GM:「その御子が…13年、いや、14年前まではファットにいたんだ」


ルーン:ふむ。


GM:「御子の名はルミナス・プロミーゼ。私の妻にして、テールの母親だ」


ルーン:……………


GM:「テールはその御子…牙持つ獣の王フェンリルの祝福を受けた"牙の御子"の血を引いている。ナゲット団に狙われているのはそのためだろう。今まで君達にそのことを言えず、済まなかった。ディアスロンドから御子に関する全ての事実を秘匿するように言われていたんだ」


フィル:まぁ、そりゃ神殿は秘匿するだろうなぁ。御子といえば『天罰』なんてトンデモ破壊技を繰り出せる存在なわけだし、放っておくわけもない。


スイレン:それに、なんだかんだで腹黒い連中ですしね。何か裏で考えてる可能性もあります。


GM「…だが、こうなった以上君達に事実を秘匿する理由はない。今、全てを話すとしよう」


ワット:おぉ、ようやく1話から隠されていたあれこれが明かされるのか。


GM:まず、ノーチルはこう切り出す。「簡単に言うと、テールは当代の『牙の御子』である可能性が高い」


スイレン:可能性…ですか。確定ではないんですね。


GM:そう。あくまで可能性だ。「通常『動物の王の御子』は死ぬと、その親たる『動物の王』が新たなる御子を血縁や種族等は関係なく選別し契りを交わすが、『牙の御子』だけは特別で、300年ほど前から代々プロミーゼ家の人間が御子の座を継いできた。プロミーゼはファットがエルーラン王国領だったころからの名家であり、ファットの市長と大神殿の神官長を何代も兼任してきた一族だ。『牙の遺跡』の守護や監視のため、『御子』がファットから離れるわけにはいかなくなったから、何代も連続で同じ一族が御子となっているらしい」


ルーン:…………


GM:「『シュガーソンの悪夢』を知っているかい? あれは報道では私が『動物の王』を召喚してシュガーソン軍を蹴散らしたとされているが、それは事実とは異なるんだ。敵軍を蹴散らした動物の正体は『獣化』したルミナスであり、私が召喚したという話はルミナスが御子であるということを隠すためのデマ。シュガーソンの悪夢は、ルミナスがプロミーゼ家の当主としてファットを守った結果生まれた事件だったんだ」


ルーン:待って。獣化?


ノーチル「あぁ、そうだ。ルーンちゃんが獣化したとき(※4話クライマックス参照)は驚いた。おそらくあの獣化は『業の石』の力によるものなのだろうが…獣化はもともと"牙の御子"が持つ能力なのだ」


ルーン:えっ、じゃあ私もしかしてあの時"牙の御子"になってたの!?


GM:それにはトリコが答えるかな。「そういうわけではないだろう。業の石の力で、本来"牙の御子"に与えられるはずの能力が一時的に現れただけじゃろうからな。…そもそも本来の獣化は見た目が完全に獣になるのじゃが、ルーンの獣化は半人半獣止まりじゃった。これは、ルーンが御子でないが故に獣化が限定的にしか現れなかったからだと考えられる」


スイレン:それに、話を聞いていると"牙の御子"だけは血縁で遺伝してるらしいですからね。プロミーゼじゃないルーンちゃんは牙の御子にはなれないでしょう。


ルーン:…なるほど。


GM:ノーチルは頷く。「そう。血筋の方の条件を満たさない限り、ルーンちゃんが牙の御子になることはないだろう。逆に、その流れに従うのであればテールも牙の御子となるはずなのだが…」


フィル:なのだが…?


GM:「…先代の御子であるルミナスに問題が起きてな。現状テールが御子なのかどうか、断言できない状況にあるんだ」


スイレン:…お母様の方にですか。それはいったい…?


GM:「…アンデッド・パニック。聞いたことくらいはあるだろう? ファットにほど近い『死人の沼地』に住むアンデッドたちが急に活発に動き始め、我々の居住地まで押し寄せてきた事件だ」


ワット:あぁ、そこでその情報に繋がるのか。


GM:ノーチルはこう続ける。「我々はアンデッドが突如死人の沼地から飛び出した原因を必死に調べた。詳細は省くが、その結果、この事件の裏にはアンデッドを先導した黒幕がいることを突き止めたのだ」


スイレン:ふむ。


GM:「私とポテト、そしてルミナスの3人は月夜の晩にその"黒幕"に奇襲を仕掛けた。3人だけで動いたのは"牙の御子"の秘密を守るためでもあったが、それ以上に『ルミナスがいれば大丈夫』という安心感があったからだ。


ワット:あー、まぁ、『獣化』強力だったもんなぁ。


ルーン:《ボルテクスアタック》と《ガーディアン》が無条件で使えるようになったもんね。


GM:「しかし、私の認識が甘かった。奴らの狙いはファットではなくルミナスだったのだ。当然、奴らは『獣化』に対応し得る力を持っていた。ディアモンが援軍で駆けつけたため生命こそ助かったものの、なんの呪いか、その日以降ルミナスは『獣化』できなくなってしまった。それだけじゃあない。通常御子は親たる動物の王とテレパシーで繋がることができるのだが、それも切れてしまったようだ。『しっぽ』なんかの御子に現れる身体的特徴は残っていたのだが、それ以外はまるで御子でなくなってしまったかのような状態だった」


フィル:…なんか、似たような話をリネルちゃんから聞いたな。少し違うけど。


GM:「だから、13年前の"黄香子イエロー"襲撃の際にルミナスは抗いきれずに致命傷を負い、テールを出産すると同時に命を落としたのだ…」


スイレン:あぁ、なるほど。そこに繋がるんですね。


GM:「今のテールはまさにその『御子でなくなったルミナス』と同じ状況。この子は『しっぽ』はあるのに『獣化』できないからな」そして最後にトリコがこう纏める。「これが、テール・プロミーゼが牙の御子であると断言できない理由じゃ」


ルーン:なるほどぉ。厄介なことになってるなぁ。


ワット:そーか。よくわかった。………って、違う違う。元々俺たちはなんでアンタらが(ココ)にいるのか聞きに来たんだ。そっちの答えはなんなんだ?


GM:おっと、そういえばそうだった。ごめんごめん(←素で忘れてた)…まぁ、この3人がこの城にいる理由は、神殿にいてはテールを守り切れないと判断したからだ。そのうちネタバレするけど、色々事情があったんだよね。


スイレン:あー、了解。だからって帝国に頼るのはどうかと思いますけどねぇ。


フィル:そうそう。現に今はナゲット団の内通者が城の中ウロついてるみたいだし、むしろ神殿より危険かも。


ルーン:ねーねーノーチルさーん!クロスボウ持った黒ローブの奴に心当たりなーいー?


GM:「クロスボウに黒ローブ?」ノーチルは…そうだな。まずフィルの方を見るかな。


フィル:ボクか。まぁ、やっぱり5年前のアイツ(※6話参照)と特徴が被るもんなぁ。


GM:「…いるのか?そいつが」と、ノーチルがそう聞いてくる。


ルーン:いる。少なくとも帝国の兵士何人か襲われてる。


GM:するとノーチルは少しだけ考えた後に、こう告げた。「5年前、フィルくんがファットに来た頃に、その黒ローブについて詳しく調べたことがあった。当時まだ幼かったフィルくんには伝えなかったが、実はその頃から奴の正体はある程度割れていたんだ」


一同:まじでぇっ!!??


スイレン:こ、ここで判明するんですか!?


フィル:いや、よくよく考えたらボク5年前にノーチルさんに家族の捜索依頼出してるんだよね。(※こちらも6話参照)その時に黒ローブ集団に襲われたことについても話しているハズ。となると、神殿が黒ローブについて調べるのは当然の話か。


ワット:なるほど。一気に話が繋がったな。


ルーン:で、その正体っていうのは!?


GM:「あぁ。何百年も前からこのエリンディル大陸で非道な殺戮を繰り返して来た男だ。……上位魔族(・・・・)"百面相"のフォーゼン。二つ名の通り、100の顔を持つ化け物だ」


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