MIDDLEPHASE10 情報共有タイム
2018/7/24 誤字訂正
一同は帝都にある飲食店で食事をしながら情報共有を行うこととなった。
店はワットが感知判定によって探し出した、盗聴等の心配のない店舗を選んだ。
ルーン:…まぁ、PCたちが情報共有するっていうのは名目上で、実際はPLたちが情報をまとめて頭の中を整理する時間に当てられるんだけどね。
スイレン:…まぁ、仕方ない。情報量多いですし。
GM:時刻は夕方、日が沈む直前かな。君たちは個室に通されるため、店内の他の客とは完全に隔離される。
スイレン:一応、個室にも盗聴器等がないかどうか判定しておきましょうか。
GM:難易度14トラップ探知どうぞ。
ワット:(ダイスを振る)…成功。
GM:ではこの個室の安全性は保障しよう。
スイレン:OKです。ただ、この後も常に周囲を警戒しながら情報共有するとしましょう。とくに機密情報を声に出すことは厳禁。基本的に筆談で進行します。
GM:お、おう。
フィル:じゃあまず、各自、掴んだ情報をざっとまとめようか。まずはスイレンさんが調べた資料室から。
スイレン:資料室でわかった情報は
①ノーチルさんとマスターが元帝国兵士だったこと。②昔ファットで『シュガーソンの悪夢』『アンデッド・パニック』という事件があり、いずれの事件にもノーチルさんが関与しているということ。
スイレン:ですかね。
フィル:あと、今はあまり注目する必要ないと思うけど、
③シューリンが聖都ディアスロンド出身、イルゼが大陸東方のダイワ列島国出身
フィル:…っていう情報も一応出てたね。
GM:②について補足すると、『シュガーソンの悪夢』は、シュガーソン公国という国がファットに夜襲を仕掛けてきた事変で、ノーチルさんが"牙持つ獣の王"を召喚してシュガーソン軍を撃退したとされている。『アンデッド・パニック』はファットの東方にある死人の沼地に住むアンデッドたちがファットに進攻してきた事件だ。こちらはノーチルと、援軍に駆けつけたディアモンらが鎮圧したとされている。
ルーン:あぁ、そういえば伯父さんからそれについて話聞いてなかったな。後で聞いてみよ。私は地下牢に行って、ナゲットトリオを逃したのがクロスボウ持って黒ローブ着た人だってことを衛兵さんから聞いてきたよ!なんか6話のフィルくんの回想シーンで出てきた人と特徴が完全に一致してるね!あと、イルゼさんからとんでもない情報を聞いてきた!!
GM:そのイルゼから聞いた情報に関しては本腰入れてまとめないといけないだろうから後に回すとして、先にワットが調べたことだけ報告してもらおうかな。
ワット:俺が調べた情報は少なくて申し訳ないんだが、帝国が用意した宿に神殿の見張りが付いていることがわかった。…まぁ、この見張りは『監視』とも『護衛』とも取れるから神殿が敵なのか味方なのか判別は付きづらいんだが、見られていることは意識した方がいいだろう。
スイレン:了解しました。それは常に心に留めておきましょう。
フィル:……さて、それじゃあそろそろ本題に入りますか。
ルーン:リネルちゃん関連の話だね。
フィル:そう。ルーンちゃんがイルゼさんから聞いた話と、スイレンさんがエレキさんから聞いた話、そしてボクがリネルちゃん本人から聞いた話と、あとついでに前のシーンで思い出した内容。これらを全て掛け合わせると、リネルちゃんがどういう子なのか、見えてくるんだ。
スイレン:まず最初に、フィルくんはリネルちゃん本人から、「リネルちゃんが3年前まで牢屋に入れられていた」ということを聞いています。そしてその直後、ルーンちゃんはイルゼさんから「リネルちゃんが3年前までナゲット団に捕まっていた」という情報を聞き出しています。
フィル:2人から証言を得られている時点でこれは事実と確定していいと思う。さらに、この件に追加でリネルちゃんは「3年前までお姉ちゃんと一緒にいた」「お姉ちゃんが私を逃してくれた」って話をしているんだ。これは、エレキさんが言っていたことに繋がっている。
スイレン:えぇ、エレキさんは先ほどのシーンで「3年前にひょんなことから"空の御子"と遭遇し、一緒に暮らすこととなった」そして「リネルが"空の御子"だ」と発言しています。3年前という時系列も一致しますし、何よりエレキさんの言う"空の御子"が受けている『加護』というものがリネルちゃんの特徴と一致しています。
GM:エレキ曰く、"空の御子"は"空飛ぶ鳥の王"シームルグから『超回復能力』の加護を授けられているらしいって話だね。たしかにリネルは6話でルーンにフルボッコにされていたけど、一向に倒れる気配はなかった。これは加護による超回復が働いていたためだと考えて良いだろう。
ルーン:スキルガイドとかに載っている《サモン:シームルグ》のスキル説明なんかを見ると、「"空飛ぶ鳥の王"シームルグはあらゆる傷を癒す」みたいなことが書かれてるんだよね。この辺からもリネルちゃんの受けている加護とシームルグとの関係が結びつくし、あと回復珠の話にも納得がいく。
ワット:あぁ、そういえば親父、回復珠はシームルグの力を基に作られているって感じのことも言ってたな。
GM:超ちなみになんだけど、実はこの辺の話、6話でちょろっと出てて、ミドル07の元々アンペール家が暮らしていた家に現在住んでいる人のセリフに「アンペールさんなら3年前に引っ越しましたよ」「なんでも、家業の錬金術を用いた薬品製造技術において革命的な発見をしたとのことで、今では国でも有数の大錬金術師として皇宮暮らしですよ」ってのがある。3年っていう時系列と、回復珠を作ったことによって評価されて皇宮暮らしするような大錬金術師になったってことがわかるかなと思う。…あまりいらない情報かもしれないけど、ここで言わないと言う機会失くしそうだから言っときますw
ワット:あったなぁ…そんな台詞。
フィル:…まぁ、そんな感じでとんでもない力を持っているシームルグだけど、それ関連の話の中でボクが個人的に注目しなきゃいけないのが『加護』って単語。これ、今回シームルグに関係のないはずの人に対して1度だけ使われてるんだよね。
GM:ですねぇ…(笑)
スイレン:「加護だよ!お姉ちゃんの加護!」ってリネルちゃんが言ってましたね。…たしか、リネルちゃんとハルさんがどうして捕まっていたのか聞いたときの答えがこのセリフだったんでしたっけ?
フィル:そう。この時に『加護』って単語がハルお姉ちゃんに対して使われてるんだよね。
ルーン:捕まってた理由が加護って最初聞いたときは意味わかんなかったんだけどなぁ…
フィル:うん。でも、ボクの回想シーン終わったら一気に全部繋がったよ。…お姉ちゃん、通常リャナンシーにはないはずの鱗が生えてたもんね。
スイレン:そうですねぇ。さらに言うとエレキさんはヒューリンであるリネルちゃんに翼が生えていることを「"空の御子"である証拠」として挙げていました。…これ、同じ理論がきっとハルさんにも通用しますよね?
ルーン:またさらに付け足すと、ヒューリンなのに尻尾生えてるテールちゃんにも通用するね。
ワット:つまり、今までの話を総合すると、ハルさんとテールちゃんは…
フィル:…まず間違いなく、"動物の王の御子"だね。
スイレン:これで、テールちゃんとリネルちゃん、ナゲット団に狙われている2人に"御子"という『共通点』を見出すことができました。さらに、これによって、ナゲット団がこの"動物の王の御子"という存在を狙っているということも判明しました。
フィル:これで黒ローブ集団がボクたち一家を襲った(6話フィル回想参照)理由もわかった。ルーンちゃんが仕入れて来た情報(黒ローブクロスボウがナゲットトリオを逃した話)から察するに、黒ローブの奴はきっとナゲット団員もしくはナゲット団の関係者なんだろう。つまり、黒ローブの狙いはバーベキューたちと同じで「御子の誘拐」だったんだ。お父さんとお母さんはその過程で殺された…
ワット:これでハルさんがリネルちゃんと一緒にナゲット団に捕まってた理由も判明したな。
フィル:これでほとんど余すところなく、リネルちゃん関連の話は繋がったはず。
スイレン:ついでに"動物の王の御子"が持つ特徴に関する情報やナゲット団の目的、黒ローブがナゲット団であることもわかりました。
ルーン:1日目にしてはかなり成果出たんじゃないかな?
GM:(満足気に)…うーーむ、いや、素晴らしい。ここまでまとまってれば文句なしだ。色々判明したことも多いし、ゲームの進行的にだいぶ助かった。
スイレン:……しかし、問題点もありまして、今回私たちが請け負った依頼は、ナゲットトリオを逃した者=黒ローブの中身が誰なのか特定することであって、それに関する手がかりがほとんどないという。
一同:あ
フィル:…ま、まぁ、まだ1日目だし……?
ルーン:その辺の調査は明日に回せばいいんじゃないかな?
スイレン:…そうですね(笑)それでは、話し合いはこの辺にして、美味しいご飯を食べてからゆっくり身体を休めるとしますか。
一同:は〜い!
GM:OK。ではこのシーンを終了するよ。
□■□
※オマケ
フィル:はぁぁあぁあぁあぁあぁあぁぁあああ…それにしても、まさかお姉ちゃんが"動物の王の御子"とかいうやべぇやつだとは思わなんだ…
ルーン:それを言うならテールちゃんもだなぁ。あんなに大人しい子なのに。…いや、今思えば『リル』とかいう怪しいのと会話してたのもそれ関係なのか?(※3話オープニング、4話クライマックス参照)
フィル:リルね…名前はきっと"牙持つ獣の王"フェンリルから取ってるんだと思うけど…まぁリルに関してはまだ情報少ないし、正体は断言できないかなぁ。
スイレン:そうですね。…個人的にはハルさんがどの"動物の王"の御子なのか気になるところですけどね。
GM:牙持つ獣の王フェンリル、蹄持つ獣の王カトブレパス、鱗持つ蛇の王ヨルムンガンド、水泳ぐ魚の王リヴァイアサン、空飛ぶ鳥の王シームルグ、小さき蟲の王アラクネ、全て持つ竜の王ファーブニル…この7柱の中のどれかだね。
ワット:蛇だな。
スイレン:蛇ですね。
フィル:えぇっ!?蛇なの!!??
ルーン:まぁ鱗って書いてあるしねぇ。ワンチャン竜とか魚の可能性もあるけど。
GM:…まぁ、その辺は今は考えなくていいよ。たくさん情報まとめて脳みそ疲れただろうから、とりあえずPC視点で、飯でも食って休んどけ。
ワット:PC視点でかー。
スイレン:ロールプレイで更に脳みそ酷使するやつですねー。
ルーン:さすがにここでロールプレイする理由はないでしょ。
GM:(さらっと)じゃあ上手い食レポロールプレイした人はMP全回復ってことで。
一同:まーじでぇ!?
スイレン:よーし!食べますよ!!ヴァンスターの特産なんだ!?
GM:特産はフィッシュ&チップスとか海鮮料理。
ルーン:ムニエル、フリッター、アクアパッツァ…
スイレン:うーん、PL的にあまり馴染みのないものばかりで少しロールプレイに困りますねぇ…
フィル:そうだねー。…まぁでも、メインの前にとりあえずこれだけは言っておこうか。前菜で出てきたサラダを一口頬張って一言。あ、ファットのトマトじゃない。(一同爆笑)
GM:(フィルを指差し)MP全快ッ!!(一同大爆笑)
フィル:今ので!!?ハードル低っ!!!!
ワット:よっしゃ、俺たちも回復するぞーい!
一同:おォーーーっ!!
こうして下らないことに思考と時間を費やすPLたちであった…