MIDDLEPHASE09 ハル
GM:さて、牢屋のシーンも終わったし、そろそろみんな合流するってことでいいかな?
ルーン&スイレン&ワット:OKでーす!
フィル:うーん、合流するの自体はいいんだけど…
GM:…?どうした?
フィル:いや、ボク、さっきのシーンでリネルちゃんの部屋の前でわめき散らしながら扉ガンガンやってたでしょ?
GM:そうだな。…え、何?まだガンガンやってんの?
フィル:うーん、ガンガンやってるかは微妙だけど、せっかくお姉ちゃんの手がかりを掴んだわけだし、諦めきれないから、少なくともまだ部屋の前にはいると思う。…というか、絶対部屋の前から離れられない。
ワット:あー、まぁたしかに。その気持ちはわかるな。
スイレン:しかし、情報共有をヴァンスター城内で行うわけにもいかないですし、集合するとなるとどこか場所を移すことは必須……さて、どうしましょうか。
ルーン:仕方ない。私が呼びに行くよ。
GM:(少し考え)……なるほどなぁ。フィルの姉に対する想いがここまで強いとは思わなんだ。その熱意を讃えて、ちょっと予定と順番が前後しちゃうんだけど、ここで一度、フィルのシーンを挟もうか。
フィル:え、マジか
GM:うん。じゃ、シーンを切り替えるぞい。
□■□
GM:というわけで未だにリネルの部屋の前にいるフィルのシーンだ。
フィル:部屋の扉に寄りかかって、床に座った状態で、死んだ目をしながらどうしてリネルちゃんに部屋を追い出されちゃったのか考えてるよ。
GM:じゃあ、衛兵さんもさすがに心配して君に話しかけてくるだろう。
ルーン:衛兵なんていたんだ
※最初にルーンがリネルの部屋に突撃したときからずっといます
GM:「なぁボウズ。俺にゃ何があったのかわかんねぇんだけどよ、まぁ、元気出せや。お仲間さんたちがどっかで待ってんじゃねぇのか?」
フィル:うーん、それは…そうなんだけど……(うじうじ)
GM:「……まぁ、いいけどよ」…衛兵は君を追い払おうとはせず、放っておいてくれるようだ。
フィル:気を遣わせちゃってるなぁ。…なんとか、なにかヒントでも掴めれば……
GM:まず、リネルが言っていたことを思い出そうか。
フィル:リネルちゃんは3年前までお姉ちゃんと一緒にいて、その時に髪飾りを貰った。そしてリネルちゃん曰く、お姉ちゃんは人を遠ざけていたが、ボクにその記憶はない。
GM:そうだね。ハルを含む君たち家族はヒューリンたちの住む街や村を回っては、歌や楽器でパフォーマンスをして収入を稼いでいた。人を遠ざけていては成り立たない仕事のはずだ。
フィル:そう。だからおかしいんだよ。…まぁ、お姉ちゃん、何か秘密があるような感じだったからそれ関連かもしれないけど……
GM:(お…)…そこまで思い当たってるなら判定はいらないかな。
スイレン:お、新情報ですね。
GM:そう。まぁフィルにとっては昔あったことを思い出すだけなんだけどね。
フィル:とすると、何か心当たりが…?
GM:いや、ハル(お姉ちゃん)が人を遠ざけているってことに対する心当たりになるかは微妙だ。だが、少なくとも、ハルとリネルの関係を繋げる大きなヒントにはなるだろう。
フィル:つまり…?
GM:今から演出していくよ。過去回想に入ろう。
□■□
GM:というわけで…そうだな。7年前くらいにしようかな。フィル8歳、ハル13歳の頃の夏の話だ。
フィル:OKです。
GM:今君のお父さんとお母さんは…そうだな、山道から少し外れた、ひらけた場所で野宿の準備をしているとしようか。幼い君は誰かに遊んでもらおうとするが、見ての通り両親は手を離すことができないようだ。
フィル:じゃあ、おねえちゃんにあそんでもらう!
GM:しかし、ハルお姉ちゃんはここから見える範囲にはいないようだ。ここで難易度10の知力判定をどうぞ。7レベルのデータでいいよ。
フィル:(ダイスを振る)…出目だけで11いったわ。
GM:成功だね。では君はハルお姉ちゃんがさっき川の方に歩いていったことを思い出すだろう。
スイレン:川ですか。いいですね。夏場だと気持ちよさそうで。
フィル:かわのほうにいったのか〜 じゃあ、ぼくもいく!
GM:OK。川に行くまでには急な斜面があるから気をつけてね。
フィル:(ズルッ)ああああああああああああ!!!(一同爆笑)
ワット:なんだこの子供www
スイレン:ノリが良すぎるでしょうwww
GM:ぬかるみでズルッと滑ってそのまま斜面を転がり落ちたフィルは、最終的にばっしゃーんと川に落ちた。
一同:落ちたっ!!?
ルーン:急げ!ヘルプ!!
フィル:おねぇちゃーーーーん!!たすけてーー!!おぼれちゃうよぉー!!!
GM:……まぁ、水深が子供の膝くらいまでしかない浅い川なので溺れることはないんだけどな。
一同:浅いんかい!!?
ルーン:…それはそれで斜面を転がり落ちた影響で大怪我してそうだけどな。
フィル:えーーん…たんこぶできちゃったあ
ワット:(たんこぶで済んだのか)
GM:いかん。大切な回想シーンがただのコメディになっちまってる。
スイレン:いつものことでしょう。
GM:とにかく、演出をすすめるぞ。えーと、川に転がり落ち、頭を打ったフィルは目をぐるぐる回しながらもなんとか起き上がって……その瞬間、目の前が肌色に染まった。
ワット:ぶっ(←吹いた)
ルーン:めのまえが はだいろになった!
スイレン:いや、まぁ、こういう展開になるのは分かってましたけどね。
フィル:おねえちゃん!
GM:「ちょ……なんだフィルか。びっくりした…」どうやら水浴びをしていたらしいハルは、一瞬胸元を隠しながら警戒するが、近づいてきたのがフィル(8歳)だと分かると、安心したようにほっと息を吐いた。
ワット:心の広いお姉さんでよかったな。13歳なんてたとえ幼い弟にでも裸見られたくない年頃だろうに。
フィル:おねーちゃん、あそんで!!
GM:「あー、うん、いいよ。それじゃ、服とってくるからちょっと待っててね」
フィル:うん!
GM:…と、そのとき、君はあることに気がついた。
フィル:ん?
GM:服を着るため、川岸に向かうハル。彼女の手の甲に、なにやら黒いものがくっついていた。
フィル:え?
GM:よく見ると手の甲だけではない。首の付根から肩を通り、腕全体を覆うように、さらには背中側にもその黒いもの…リャナンシーには無いはずの、黒い『鱗』が生えていることが分かるだろう。
一同:お前もかっっっ!!!!!
(※既にお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、何が「お前もか」なのかに関しては、次話で解説いたします)
GM:…さて、着替え終わったハルが、君の元へ近づいてくる。「フィル、行こっか」その服装は襟のしっかりしたクロークと手袋に覆われ、皮膚の露出が極端に少ない、ハルお姉ちゃんのいつもの格好であった。
ルーン:クローク+手袋……夏なのに重装備だな。襟付きてことは、首元って隠れてる?
GM:しっかり隠れてます。
一同:………
フィル:もしかして、「人を遠ざけてる」って、こういう…?
GM:「そうだ、フィル」
フィル:え、あ、…なに?おねーちゃん
GM「今見たこと、絶対に他の人には話さないでね。お姉ちゃん、恥ずかしいから」
フィル:(まじかーって表情をしながら)…うん、わかった!
スイレン:うっ…そんな言い方されると「わかった」って言わざるを得ないですね。裸か鱗か、どちらを指しているのか明言するのも避けてますし。
フィル:「恥ずかしいから」はずるいよ…
GM:にっしっし。というわけで回想を終了します。
□■□
フィル:( ゜д゜)ハッ! 思い…出した……
ルーン:お姉ちゃんの裸を?
フィル:そうだけど違ぇっ!?(一同爆笑)
GM:「なんだ?どうかしたのかボウズ」衛兵が尋ねてくる。
フィル:いや、えっと、その、大事なことを思い出したんだけど…いや、でもよくよく考えたらまだ確信には迫れてなくて…えーと、つまり……
スイレン:ギルド間での情報共有が急務ですね。
フィル:そうそれ!
ルーン:じゃあここらで私がフィルのこと迎えに来るよ。おーい、フィルー!スイレンさんがみんな集まれって言ってるよー!
フィル:スイレンさんが?わかった。じゃあ行かなきゃね。…ただ、最後にリネルちゃんの部屋に向かって、大声で叫びます。
GM:?
フィル:リネルちゃん!明日も来るから!!
GM:……返事は、ないけど?
フィル:いらないよ、そんなもの。ようやくお姉ちゃんに関わる情報を掴んだんだ。諦めやしないし、諦められるわけもない。そのことをリネルちゃんに伝えただけだ。…さて、行こうか、ルーンちゃん。
ルーン:OK!じゃあフィルをお姫様抱っこしてスイレンさんのところまで運ぶよ!
フィル:いや、ちょ、城内でのお姫様抱っこはさすがにあああああああああああっ(一同爆笑)
GM:(笑いながら)…では、良い感じにオチが付いたところで、シーンを終了しよう。