MIDDLEPHASE06 フィルとハルとリネルと…
2018/7/10 誤字訂正
GM:さて、ひとまず全員分の行動を処理し終えたな。この辺りで時刻は正午を回ったとしよう。ここから先は時間経過にも気を使って行くから、睡眠時間とかにも気をつけてね。
フィル:まだ解決してないことがいっぱいあるんだよなぁ。とくにリネルちゃんまわり。
ルーン:私がお話聞いてこようか?今ちょうどリネルちゃんの部屋にいるし。
スイレン:いや、リネルちゃん関連の話はたぶんフィルくんがいないと進まない気がするんですよねぇ。
フィル:ボクもそう思う。リネルちゃんが付けている髪飾りのことから考えて、お姉ちゃんが関わってる説が濃厚だからね。
ワット:他に話を聞きたい人っている?
スイレン:エレキさんには"回復珠"についてもう少し詳しくお話を伺いたいですね。何かに関係しているのかもしれませんし。…というわけで、私はエレキさんのところに行こうと思います。ワットくんも来ますか?
ワット:いえ、結構です。(一同爆笑)
フィル:じゃあ、ボクがリネルちゃんの部屋に行って、スイレンさんはエレキさんのところに行く。ルーンちゃんはそのまま引き続きリネルちゃんのところにいてもらって、ワットさんは何もせず待機ということで、いいかな?
一同:OKでーす!!
GM:うい。では、次のシーンに入っていこう。
□■□
GM:…というわけで、まずはフィルとルーンとリネルのシーンに入っていこうかな。
フィル:了解。じゃあ、ボクはまずお城にいって、適当な衛兵さんにリネルちゃんの部屋を聞くところから始めようかな。
GM:OK。兵士は多少渋るが、バッジを見せるとすんなり教えてくれるよ。
フィル:よしよし。じゃあ教えられた部屋に向かいます。
GM:OK。教えられた部屋に行くと、その部屋には扉がないことがわかるだろう。ついでに部屋の前で、見張りらしき衛兵がアワアワと慌てふためいているのも目に入るね。
一同:あ
フィル:……ちなみに…部屋の中から聞き慣れた声が聞こえたりは……?
ルーン:リネルちゃん一緒にあそぼーよー!!ねぇどうする!?とりあえず脱出する!?
GM:めっちゃ聞こえますね。
フィル:あー、うん。衛兵さんにバッジを見せつつすぐに部屋の中に入ります。ルーンちゃん、ストーップ!!
ルーン:あ、フィル。なにやってんのー?
GM:フィルが部屋の中を見ると、羽をバサバサさせてるリネルと、それを引きずり降ろそうとするルーン、あと、ひしゃげた鋼鉄の扉が転がっているのが目に入るだろう。(一同爆笑)
フィル:「なにやってんの」はこっちの台詞なんだよなぁ……というか、もしかしてお邪魔だった?
GM:「邪魔じゃない!!早くコレなんとかしてーっ!!」リネルが悲鳴のような声を上げる。(一同爆笑)
ルーン:ちょっとー、コレってなんだよぉ〜
フィル:あぁ、はいはい。とりあえずルーンちゃん、落ち着こ?…ね?
ルーン:うーん、まぁ、そこまで言うなら手を離すけど。
GM:するとリネルはルーンから距離をとって明らかに警戒しているような顔を向けてくるね。
ルーン:うーん、悲しいなぁ。私はリネルちゃんがここから脱出したいなら脱出させてあげようと思ってたんだけど。
フィル:こらこら。
ルーン:…というかそもそも、なんでこの部屋から出ちゃいけないの?
GM:「イルゼが認めてくれないからよ!ほっといて!!」
スイレン:あぁ、オープニングでもそんな感じのこと言ってたけど、やっぱりリネルちゃんはイルゼさんの管轄だったんですね。とすると…リネルちゃんがこの部屋から出てはいけない理由についてはイルゼさんから話を聞いた方が早そうですね。
ルーン:たしかに。じゃあ、私イルゼさんのところに行ってくるーーっ!!(←部屋から出て行く)
フィル:え、ちょ…え……!?
GM:……部屋にはフィルとリネルの2人だけが残されましたね。
フィル:あのー、ボク、まだこの子とまともに話したことないんだけど。
ルーン:あ、そうだった。ごめん忘れてた☆
フィル:う、うーん。まぁ仕方ない。普通に自己紹介するとしよう。はじめまして…ではないか。オープニングで一度会ってるけど、こうやってきちんと話すのは初めてだね。ボクはフィル、ルーンちゃんの仲間だよ。
GM:「あ、うん。はじめまして、私はリネル」
フィル:よろしくね〜
GM:「…よろしく」リネルは言いながら、君の顔をまじまじと見つめる。そして…(シナリオの先の展開を見て)…あ、すまん。このへんで衛兵がたくさんやってきて扉の修復を始めるけど、気にしないでくれ。
フィル:お、おう。…なんか、不思議な状況になったな。これ、このまま話続けていいのか?衛兵さんたちに変な情報聞かせたくないんだけど。
GM:まぁ、君はそうかもしれないが、リネルの方はそんなことは気にしないので会話を繋げようとする。「リャナンシー…なんですね」
※注:忘れがちであるが、フィルの種族はフェイのリャナンシー(歌の妖精)である。リネルは外見的特徴から、フィルの種族を言い当てたようだ。
フィル:ん?あぁ、そうだよ〜。珍しいのによくわかったね。みんなからは『妖精』とか『虫』とかで一括りにされるからきちんと種族名言ってもらうのは久しぶりだなぁ。もしかしたらキャンペーン始まって初かもしれない。(一同笑)
GM:「いえ、ただ、私の大好きなお姉ちゃんがリャナンシーなので…」
フィル:うーん、これは…
スイレン:ほぼ確定ですね。ハルさん(※フィルの姉)がリネルちゃんに関わってると見て間違いないでしょう。
フィル:そうだね。……もう少し、踏み込んでみるか。リネルちゃんの髪飾りを指差して、その髪飾りも、そのお姉ちゃんから貰ったものなの?って聞いてみます。
GM:するとリネルは「えっ?」と驚いたような顔をしたあと、「はい、そうなんです。この髪飾りは私がお姉ちゃんから貰ったお守りなんです。『勇気を出せるように』『無事に逃げられるように』って…」
フィル:逃げ…?
GM:「でも、なんでこの髪飾りをお姉ちゃんから貰ったことを知っているんですか?」
フィル:あぁいや、知ってたというより、予想しただけだよ。…ボクはその髪飾りと、多分、君の言うお姉ちゃんのことも……って、待った。衛兵いるんだっけ?
GM:いや、もう消えた。扉はきっちり修繕されている。
ワット:仕事早ぇな!!?
フィル:…なら、言っちゃおう。ボクはその髪飾りと、多分、君の言うお姉ちゃんのことも、知っているから。
GM:するとリネルは驚いたように目を大きく見開いて、「もしかして…あなたがハルお姉ちゃんの弟さんですか…?」と聞いてくる。その目には希望の光がキラキラと輝いているように見えるだろう。
一同:ビンゴ!!!
ワット:すごいな。話がトントン進む。
フィル:…お姉ちゃんを、知っているの?
GM:「はい!3年前まで、一緒にいましたから」
フィル:うーん、やっぱり今は一緒にいないのか。今リネルちゃんとお姉ちゃんが一緒にいないのって、さっき言ってた『無事に逃げられるように』っていうのと関係ある?
GM:リネルは頷く。「はい。3年前、お姉ちゃんが私を逃してくれたんです」
フィル:どこから?
GM:「牢屋から」
一同:牢屋!!??
ルーン:え、何?リネルちゃんなにか悪いことしてたの??
ワット:いや、捕まるようなことをする子には見えないけど…
フィル:…リネルちゃんとお姉ちゃんは、なんで捕まってたの?
GM:「加護ですよ。お姉ちゃんの加護」
フィル:………へ?
ルーン&スイレン&ワット:……は?
フィル:か、籠?
GM:「違いますよ。加護です。ほら、お姉ちゃん、人を遠ざけてたでしょう?」
フィル:待って。それボクの知ってるお姉ちゃんじゃない。だってGM、「お姉ちゃんが人を遠ざけてる」なんて言われてボクに心当たりとかないでしょ?
GM:まぁ現状、ないですね。
フィル:だよね。だってボクら人間の街や村で歌ってパフォーマンスして生計を立ててたんだから。
GM:「…あれ、わからない…ですか?」リネルが少し悲しそうな表情で尋ねてくる。
フィル:………うん、わからない…な。
スイレン:GMも『現状』心当たりはないと言っていますし、フラグが足りていないのかも……
GM:……リネルの目から、光が徐々に失われていく。やがてリネルは顔を伏せて、こう言うだろう。「…すみません。今日はもうこのへんにしてもらってもいいですか?…少し、1人になりたいので」
フィル:えっ
ワット:あー、拒絶…された?
フィル:いやでも、待って。思い出すから!もうちょっと、もうちょっとだけ話をさせて!
GM:「すみません出て行って下さい」
フィル:ちょ、せめてヒントだけでも
GM:リネルはフィルの背中を押して部屋から追い出すと、バンと扉を閉じ、ガチャリと鍵を閉めた。
一同:あぁ……
フィル:ちょ、マジで!?嘘でしょ? 扉をガンガン叩きながら叫びます。リネルちゃん!リネルちゃーーん!!?
GM:近くにいた衛兵が「おい坊主、扉直したばかりなんだからそんな叩くな、また壊れちまう」と、君のことを止める。
フィル:それでも叫び続けるよ。せっかくたどり着いたお姉ちゃんに繋がる手がかりなんだから、ちょっとやそっとで諦められるわけがない。
GM:「…弱ったな」衛兵が溜息をこぼす。それから数分間、城の廊下には、フィルの叫ぶ声がこだまし続けていた…。
□■□
GM:さて、じゃあイルゼの部屋に突撃したルーンの描写を以って、このシーンを終えるとしよう。
ルーン:あ、私の描写?OKOK。じゃあ適当な衛兵さんからイルゼさんの部屋の場所聞いて、そこに突撃するよ。
GM:OK。イルゼがいたのはディアモンに与えられた執務室。彼女は大抵ここでディアモンの代わりに事務作業をこなしている。
ルーン:お、伯父さん……ちゃんと働いてよ。
スイレン:いや、無理でしょうあの人は。
GM:「あれ、ルーンちゃんどうしたの?」部屋に飛び込んできた君に対し、イルゼは率直な疑問をぶつける。
ルーン:あー、ちょっと聞きたいことがありまして。イルゼさんはリネルちゃんが部屋の外に出ることを認めていないみたいですけど、なんであの子を部屋の中に閉じ込めてるんですか?
GM:ふむ。その聞き方だとイルゼは「うーん、別に閉じ込めたいわけじゃないんだけどなぁ。兵士同伴なら、城のお庭くらいまでなら外に出ても大丈夫だし」って答え方になるかな。
ルーン:でも実際閉じ込めてますよね?
GM:「……そうだね。でもねルーンちゃん。それは、リネルちゃんのために仕方なくやっていることなの。もしかしたらあの小鳥さんは、狭い鳥籠から抜け出して大空に羽ばたきたいのかもしれない。でも、鳥籠の外には危険がいっぱいあるから、だから極力お外に出さないようにしているだけなんだよ」
ルーン:…それ、リネルちゃんの気持ちを考えて言っているの?
GM:イルゼは首を横に振る。「そうだね。リネルちゃんには我慢をさせちゃってる部分も多いと思う。でもね、私たちはあの子の希望よりも、安全を優先するべきなの」
ルーン:いや、言いたいことはわかるけど、そういう話ではなくて……そもそも、なんで帝国がリネルちゃんの安全を気にしているの?そりゃ、リネルちゃんが安全な場所にいられるのはいいことだけど、付き添いなしで部屋から一歩も出さないなんて、ちょっと過剰すぎるんじゃ…
GM:「過剰じゃないよ。とくに今は、昨日あんなことがあったばかりだし」
ルーン:……あんなことって、リネルちゃんがナゲット団に誘拐されたこと? ちょっとナゲット団のことを警戒しすぎじゃない?
スイレン:それは私も思いました。そもそも帝国はナゲット団のことをそんなに詳しくは知らないはずですし、なにをそこまで警戒しているのでしょうか。
GM:「ルーンちゃん」…イルゼがルーンの目をしっかりと見据える。
ルーン:なに?
GM:……張り詰めた空気が、執務室に満ちている。イルゼが口にした真実が、冷たく、部屋に響いた。
「リネルちゃんはね、3年前まで、ナゲット団に捕まっていたの」