MIDDLEPHASE02 フィルの昇進
2018/6/12 誤植訂正
2018/6/26 誤字訂正
GM:…というわけで、君たちはハンク商会長の転送石によって、ファットから帝都に戻って来た。以降は前シーンで話していた通り、個別に演出していくよ。最初はそうだな…とりあえず、神殿行きのフィルから演出するか。
フィル:はいはーい。
GM:君がヴァンスター神殿に行くと、すぐに神官長室に通された。この部屋には前回同様、ソーレとゴウラの2名のみがいる。
スイレン:相変わらずとんでもない人たちと話すことを強要されてますね…(苦笑)
フィル:(びくびくしながら)し、しつれいしま〜す…
GM:「フィルくん、昨日の夜はどこに行っていたの!?宿にいなかったから心配したじゃない!」君が部屋に入るやいなや、ソーレが君の元に駆け寄って来てそんな質問をしてくる。いつもより若干イライラしているように感じるね。
フィル:あー、そういえば前回、バーパスさんに予約してもらった宿に宿泊するとか言っちゃってたな。
スイレン:その時に、帝国やナゲット団が宿へ奇襲して来ることを警戒して神殿が見張りを派遣するとも言っていましたね。それで宿にいないとなると…心配になるのも当然といえば当然か。
フィル:いやぁ、すみません。転送石でファットに戻っていたのですが、そこで突然友人の送別会に参加することになってしまいまして…
GM:「そう…危険な目に遭ったわけではないのね…」ソーレは胸をなでおろした。
フィル:ご心配をおかけしてしまい申し訳ございません。
GM:「いいのよ、気にしないで」 …と、ソーレはそう言っているが、まだ少し難しい顔をしているね。ゴウラも同様だ。
フィル:あれ、そんなにまずかったかな…
スイレン:まさかとは思いますが…私たちがゼダン様に会ったことを疑われている…?
フィル:いや、さすがにそれは…バレているとも思えないし…
GM:では、ここで「話を変えてすまないが…」と、ゴウラが会話に入ってくるとしよう。
フィル:あ、はい。どうしました?
GM:「フィルくん。君に1つ聞いておかねばならないことがある。(一段、声のトーンを落として)…昨日の誘拐騒ぎは何だ?」
フィル:ゆ、誘拐って…前話でナゲット団がリネルちゃんを拉致った騒ぎのことだよね?そのときのことを聞かれているのか?
GM:どうやらそのようだね。ゴウラは続けてこう言う。「昨日の夕方、君たちが馬車に乗って、馬で逃げる怪しい三人組を追いかけていたとの目撃情報が多数寄せられている。…さらに、三人組にはオウガが含まれており、そいつが『翼の生えた少女』を抱えていたという情報も出ている。この三人組がナゲット団であることに、もはや疑いようはないが…では、この『翼の生えた少女』というのは何者なのだ?そして今、その少女はいったいどこにいる?」
スイレン:…ふむ?そんなことを聞いてくるということは、神殿はリネルちゃんのことを知らないみたいですね。
フィル:どうする?ゼダン様とのこともあるし、全部正直に話しちゃうのはまずいかな?
ワット:どうだろう…そもそも神殿と帝国が若干敵対しているっぽいことがわかっているだけで、俺達がどっちに味方すれば良いのかは全然わからないもんなぁ…
フィル:そうなんだよなぁ…うーん…
スイレン:…とりあえず、今はまだ我々も大した情報は持っていませんので、知っていることをすべて話してしまっても問題はないでしょう。序盤はこうやって情報を渡したり隠したりしながら相手の反応を見るしかありませんね。
フィル:そうだね。じゃあ知ってることを全部話そう。
GM:OK。ではフィルが知っていることとして挙げられる三点、
①少女の名前がリネルであること。
②リネルはたしかにナゲット団に拉致されたが、その理由は不明だということ。
③リネルは、彼女を迎えに来た帝国軍の兵士に引き渡したということ。
GM:…これらをゴウラに伝えたとしよう。
フィル:OKです。
GM:するとゴウラは…そうだな、「そのリネルという子の種族はわかるか?」と聞いてくる。
フィル:種族?さぁ、ヒューリンと天翼族のハーフとかに見えましたけど…。
GM:「…そうか。…どう思われますか?クィン様」ゴウラがソーレに尋ねる。ソーレは「…皇帝陛下と天翼族の部族はとても友好的な関係を築かれているとは耳にしていますが…だからと言ってただの女の子を城に招き入れるとは思えませんね」と、自分の考えを述べるね。その顔は先程より、明らかに険しくなっている。
スイレン:おや、なにかを知っていそうな顔をしていらっしゃいますねぇ。フィルくん、もう少し先を覗いてみましょう。
フィル:了解。じゃあ、ソーレさんとゴウラさんに、こう聞いてみよう。どうしてリネルちゃんのことをそんなに気にしているんですかー?
GM:……ふむ。それにはソーレが真剣な表情で応じるな。「ごめんなさい、フィルくん。ここから先は見習いさんに話せる内容ではないの」
フィル:え、そんなにですか?
GM:まだまだ、こんなもんじゃない。「見習いに話せる内容じゃない。だから…君には早急に"聖騎士"か"神官"に昇進してもらう必要性がある」…ゴウラがフィルに、そう言ってくる。
一同:は?
ルーン:え、なに?フィル昇進すんの?
フィル:いや、待って。昇進できるぽいけどなんかそんな雰囲気でもない。てか「必要性がある」って…これどちらかというと「仕事のために昇進させられる」って感じでは?
GM:その通り。ソーレとゴウラは君を昇進させることで、君に神殿側の人間としての権力を持たせようとしているんだ。これによって何が起きるかというと、君に『責任』というものが発生する。
フィル:ふざけんなーーーーーっ!?ワケも説明されずにそんな昇進OKできるかぁっ!?
GM:残念ながら拒否権はなさそうだ。ゴウラも「昇進してもらう必要性がある」とか言ってるしね。
フィル:ぐぉぉお……嘘でしょ……?
スイレン:それはマズイ。そんな確固たる肩書きを手に入れてしまうと、今のこの中途半端な立場で各勢力の目的や、自分たちの身の振り方を考えることもできなくなってしまいます。
GM:そこはまだ大丈夫。何も今すぐ昇進させようなんて話ではない。ただ、いつその話してが来てもいいように、「覚悟だけは決めておいてくれ」と言ってくるね。
フィル:なんでーーっ!?嫌だよそんな立場!!ボクは冒険者だー!神殿はただのバイト先だーーーっ!!
スイレン:うーん、これ以上フィルくんをこの2人のところに居させるのはマズイ気がしてきましたね。フィルくん、辛かったらそろそろ神殿から出ちゃっても大丈夫ですよ。
フィル:そうする。この空間怖すぎる。一体ボクに何をさせる気なんだ!?
GM:OK。ではフィルが逃げるように部屋を出て行ったところでシーンを終了しよう。