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名柄川羽海という女の日常  作者: TASH/空野輝
いつもの一日編
6/51

居酒屋だってよ……

 自分が注文したのは、ビール二杯 定番とも言えよう、もつ煮と枝豆、そして刺し身である。


「んぐあ~美味いなぁ、ビールは」


鷹見はそう言うが――


「ん、うへぇ……あぁ美味いな……」


 自分は鷹見に合わせる。定番もので合わせたものの、自分はビールの美味さというのが分からない。やっぱり仕事してる人はこの美味さというのが分かるのだろうか。


「ああやっぱり隠せない、ビール不味いんだよ!」

「そう? じゃあそれ飲むから別の頼めよ」

「悪い」


 ちょっとしか飲んでないジョッキを鷹見に渡す。この状況を見たら間接キスだろうけど自分は気にしない。久々にチェーンの居酒屋に入ったが、メニュー表を見ると特殊な名前の料理が多いんだな。それでも自分は定番の物しか頼まないからそんな変な名前の料理の物は頼まない、写真があっても料理だなんて写真通りに来るわけが無いんだから。


「お兄さん!」


 お兄さんバタバタと走ってきて


「お待たせしました~ご注文伺います」

「えっとハイボールと焼き鳥、これ砂肝と皮を四つずつ、これら塩で、後唐揚げ!」

「かしこまりました」


 自分はまた定番物で注文。鷹見が口開く


「随分攻めるな、何かあったか? 例の就職の話?」

「攻めてはいないけど、腹が減ってるからね」

「でも四百円とか五百円の品頼み過ぎじゃない?」


 そういえば値段を気にしていなかった。


「言いにくいけどさ、チェーンの居酒屋って結構高いよな唐揚げも四個か五個で五九九円だしな」

「まぁ場所とかサービスが良いからね、二百円くらいはサービス料だよ」

「へー、知らんかった じゃコンビニで買って家で食ったほうが良いわな」

「個室とかが出来てる理由がコレだけど今百円居酒屋とか出来てるよね」


 こいつの店に対する話は結構タメになる、やっぱり縁が切れない奴である。


「そしてお前は良いカモって訳だ」

「はぁ?」

「枝豆、唐揚げは原価が安い、その分サービス料とやらを上げてるって訳だ」


 話をした後に鷹見は枝豆をパクパクと食べる。鷹見、無限なんちゃらのおもちゃと勘違いする位にプツプツと食べやがって、まぁ奢りだしな、自分も遠慮なくこうなっちゃうかな。


 バタバタと走ってきたお兄さんがまたバタバタと来る


「おまたせしました~、唐揚げとハイボール 砂肝と皮です、ごゆっくりどうぞ~」


 そしてお兄さんが去ってから


「……焼き鳥も高いのか?」

「うん? まぁ高いんじゃない?」

「そうなのか」


 ここで話が途切れる、一時の沈黙。ハイボールジョッキの中の氷がカランと鳴る。




 ――午後八時

 自分はは定番物で攻めていたが、酔いが入った鷹見は変化球を繰り出していた。


「それ美味いのか?」


 鷹見がマグロとポテトサラダをグチャグチャと混ぜる、コイツは何をしてるんだ。


「マグロとポテトサラダって絶対合うって、羽海も食べるかぁ?」

「自分マヨネーズ駄目だしっ!」


 こいつはさっきから変なものを頼みすぎだ、ナポリタン頼んだりだし巻き玉子頼んだり、サイコロステーキ、挙句の果てにラーメンまで頼みやがった! しかもメニューにラーメン(〆)って書いてあったが、後におにぎりまで頼んだぞ、何処まで食うんだ……


 食べてる途中で


「俺のほうが辛いんだよぉ羽海ぃ……」

「急にシリアスになるな! ……まぁ話聞いてやるよ」


 酒がかなり入ったか、ビールの大生頼みすぎだ。


「俺さ、会社入ってもう四年にもなるけど未だに昇格しないんだ、どんなに頑張っても報われなさそうだし俺……駄目になりそうなんだ、そこで一つ羽海に聞きたい!」

「なんだ?」

「俺もう駄目だ! これから何をぉすりゃぁ良い?」

 

 最後聞きづらいけど、アドバイスを貰いたい訳だな?


「そうだな、自分だったら付き合い重視かな、会社の上司を一回でも誘って飲んでみると変わるかもよ? それから、会社で絶対仲良い人居るだろ。そいつと頑張ってみる。これだけでかなり変わるよ」


 鷹見は泣きながら


「羽海ぃ、好きだぁぁ……」

「今のお前はかなり嫌いだけどな」


 自分なりに良い事言ったかな? 普段人にアドバイスを上げることが無いからこれがあってるかあってないかは分からない、けどもアドバイスって曖昧な事が多いから、人が納得すればそれで助けになるものだ。これだけで十分なんだ。


「さてと、もう十分か?」

「お前といい話聞けたしまだまだぁ……」

「お兄さんお会計!」


 これ以上飲んだらコイツが死んじまう! 現状気を持ってる自分が切らねば。


「お客様、お会計にお時間が掛かるのでお通しでもお召し上がり下さい」


 コトンとお味噌汁を出された。

 自分は強制半ば味噌汁を鷹見の口元に近づけ飲ませる。


「ほら鷹見、飲め飲め」

「うぅ、羽海の美味しいよ」

「馬鹿ッ!」


 鷹見に平手打ち、そんな変なことを言うな!

 そんなこんなやってたらお兄さんが来て


「お会計コチラになります、落ち着いたらレジまでどうぞ~」


 手渡された会計表を見ると四万円台行ってたのだった。


「今日のスロットの勝ち分じゃないかこれ……ほら鷹見帰るぞ」


 自分は鷹見を引きずるように帰ったのだった。

親父とチェーンの居酒屋に行った時の事を書いてみました、自分に取っては外食=高いご飯なのですが居酒屋のご飯の量が少なく、しょんぼりした記憶が有ります。自分の奢りだったので文句も言えず、この時は自分が沢山食べましたが、名柄川の様に定番ものしか食べていませんでした。

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