94列車 瀬戸学院で
11月20日。今日は瀬戸学院大学のほうで文化祭がある。文化祭は明日の21日まで開催される。
しかし、一つだけこちらとして嬉しいことがある。20日は第3土曜日。第3土曜日は90分授業があるため、とても面倒くさい。それを30分受けたらスルーできるのだ。
「先生。あの時間。」
旭川先生に話しかけづらいように話しかける。
「分かった。行って来い。」
旭川はそういうと僕たちにすぐに行けと命令した。
「じゃあ、行こうか。」
木ノ本が声をかける。
「おいおい。永島達ずるいぞ。サボりなんて。」
クラスのお調子者がそう言う。
「サボってんじゃねぇよ。」
その声が終わると他の人からもそういう声が聞こえてきた。なんかブーイングを食らっている感じがするが、仕方がないことだ。
「じゃあ、行ってまいります。」
ちょっと敬礼じみたことをして教室を出た。
(永島君いいなぁ・・・。)
その後ろ姿を永原は見送った。
「おい、早くいかねぇとまずいんじゃないか。」
醒ヶ井が話しかける。
その頃には僕たちは走って3階を横切っていた。僕たちの教室2年6組は3階の東から2番目の教室。途中に7組、8組、9組とある。授業をしている傍らを通過するとなぜかこっちを見てくる視線を感じて、なんか通りづらい。だから、速足で駆ける。
階段を素早く降りて、そのまま昇降口に行く。昇降口で靴を履き替え、その先に続く階段を駆け下り、北門のほうへ走った。もうそこにはアド先生と柊木たちの姿もある。なお、中学生の姿はここにはない。
「それじゃあ、永島君と北石君と柊木君と隼君と潮ノ谷君は乗ってください。」
アド先生が声をかける。
「他の人は自転車でお願いします。箕島君。場所はどこだかわかりますね。」
「はい。」
「それじゃあ、私たちは先に行きます。」
と言ってアド先生が車に乗り込む。僕は助手席に乗り込み、隼が一番後ろに、真ん中に柊木と潮ノ谷と北石が乗り込んだ。
その頃自転車に乗っていく箕島、木ノ本、留萌、醒ヶ井が学校を出た。
「それじゃあ行きます。」
アド先生はそう言いウィッシュのエンジンをかけた。
岸川の近くにある短期大学部の校舎あたりで先行する箕島たちを追い抜き、一路瀬戸学院を目指す。瀬戸学院に到着するとアド先生は校舎の裏側の駐車場に車をまわす。そこで車を降り、僕たちは展示室に向かった。
1204号室。
「永島まずは何走らせる。」
留萌が僕に聞いた。
「まずは313系でいいでしょ。」
「そうだな。」
と言ってるもいは僕に313系の箱を渡した。留萌は車両には詳しいが基本模型をいじらないからだ。
僕は313系(5000番台)を並べる。
「留萌。どっかに0番台(313系)のは来ない。その中からさぁ300番台(313系)とって。」
「分かった。」
留萌はそう言って箱を探し始めた。
「ナガシィ先輩外はどうしたらいいですか。」
「外。・・・。外は・・・311系あるかなぁ。それでいいよ。」
僕は柊木に指示を出した。
10時。文化祭が始まる。ポツリ、ポツリと人は来ていたが、これから多くなるのだ。
だが、そう多くならないというのが実情だった。そんなに人がくることはない。
「ナガシィ先輩。これどう思いますか。」
誰も来ないことを言い隼が話しかけてきた。
隼は自分の携帯電話の画面を僕に見せる。そして始まったものが・・・、
「東京、品川、新横浜、小田原、熱海。三島、新富士、静岡。」
TOKIOのAMBITIOUS JAPAN!の歌詞に東海道・山陽新幹線の駅名が告げられている。実際にある動画です。引用させていただきました。
「掛川、浜松、豊橋。三河安城、名古屋。岐阜羽島、米原、京都。新大阪、新神戸、西明石、姫路。相生、岡山、新倉敷、福山。新尾道。三原。東広島。広島。新岩国、徳山、新山口。厚狭、新下関、小倉。博多、博多、南―。」
「なんか違ったような。」
「ああ。はい。これ小倉のとこ小倉って呼んでますから。」
「・・・。」
「俺の場合はこれは小倉としか読めないけど・・・。」
というのは中学3年生の時まで羊羹の小倉を小倉と呼んでいたからだ。僕はその時までこれは小倉以外読み方がないと思っていたからだ。
「でも、リズムに乗って覚えられるっていうのはいいよね。」
隣にいた留萌が言った。
「はい。あたしもこれで少しは覚えようとしてるんですけど、順番が怪しくて。」
というと、
「誰かこの中で山陽本線の駅名全部わかってる人いませんか。」
と聞いた。
「いや、全部はいないけど。」
留萌がソッコウで否定する。
「ですよねぇ。さくら先輩はこっちじゃありませんもんねぇ。」
「北石も柊木も分からないし・・・。」
「・・・。」
一瞬覚えようかなぁっと思った。
「他にもあるのか。」
「はい。小倉から姫路まで言っていくのとか。結構いろいろあります。」
隼はそういうと他の動画も流してくれた。
今度の曲は「LEVEL5 –judgelight-」らしい。木ノ本が言っていた。
「姫路、御着、ひめじ別所。曽根、宝殿。加古川、東加古川、土山。魚住、大久保、西明石、明石、朝霧。舞子、垂水、塩屋、須磨―。」
これは作った人に感心する。
そのあとこの動画は米原までの駅をすべて言っていった。
「これ作った人すごいよなぁ・・・。」
傍らで留萌が言っていた。
「・・・。」
これは僕の個人的感想だが、コメントに書いてある通り、歌で覚えられるというのはいいだろう。しかし、少し強引過ぎるのではというところも少し感じた。
なお、この動画も実際にあります。
隼にこの動画を見せてもらった後、僕たちは展示のほうに没頭した。
「おい、そろそろ行かないか。貨物。」
「いいね。」
と言って僕はカバンのほうに歩いて行った。実をいうと今日は駿兄ちゃんのコキ26両を持ってきている。
それを見るなり、柊木が、
「それ使うんですか。」
と言った。
「別にいいだろ。これでやっても変わらないんだから。」
「よし、じゃあ、内外両方で貨物やるか。」
留萌がそう提案する。
「いいね。」
「おいおい、やめろって。」
箕島が止めようとするのを押し切って、僕たちはコキを並べ始める。外側に学校のコキ350000形+コキ250000形+コキ104形+コキ106形の高速貨物26両を。内側にコキ103+コキ102形の4両ユニット+コキ105形の2両ユニット+コキ104形+コキ106形+コキ107形+コキ110形の26両を並べる。牽引の担当は内外両方共にEF210。
「よし。出発進行。」
と声をかけ、内回りの貨物列車を発車される。それとほぼ同じタイミングで子供を連れた人たちが中に入ってきた。
「ナゲェ。」
子供たちはモジュールによって来ると一様にそう声を上げた。
「よし。外もオーケイ。北石行っていいよ。」
柊木が声を上げた。
「了解。」
北石はそれにこたえ、コントローラーのつまみをまわす。
送られてくる電気にこたえEF210が動く。するとすぐにスピードに乗って走り出した。
子供たちは走っている車両を追ってモジュールの周りを移動する。
「浩太。すごく長い列車が走ってるよ。」
親と思われる人が子供の話しかけるのを聞く。
「これってどのぐらいつないでるんですか。」
今度は僕たちのほうに話しかけてくる。
「えーと。」
それには木ノ本が答えようとした。だが、何両つないでいるのかすぐには分からなかったらしく。
「永島。これっていま何両つないでる。」
「26両。」
「26両だそうです。」
「すごい。26両つないでるんだって。」
「実際にこのぐらい長い貨物列車が夜に走っていたりしますから。」
木ノ本はさらに説明を続けた。
すると青木さんともう一人1年位前に見た人が部屋に入ってきた。
「おいおい。長いのやってるなぁ。」
青木さんはそう言った。
「まぁ、いいんじゃないか。楽しそうで。」
もう一人の人が青木さんに話しかける。
「おい。外回りのコキ並べたやつ誰だ。」
その人がいきなり声を上げた。柊木が僕ですと答えると、
「コキ101はコキ100と組まないと編成メチャクチャだろうが。」
と言った。
「おい。膳所。そんなところまで見る人はいないって。」
「気になるんです。」
膳所さんはそういうと北石に止めるようにいい。編成を正しく直して、走らせた。
「・・・。」
そのあと膳所さんは内回りを走っているコキの向きもちゃんと調べてくれた。
(さすが南先輩だな。ちゃんと並んでる。)
「これ並べたの誰。」
「あっ。僕です。」
答える。
「南さんって人知ってるかなぁ。」
「えっ。知ってますけど・・・。」
「やっぱり。」
膳所さんはそう答えた。なんかOBに聞かれることのほとんどが最初これのような気がするが・・・。
「これ本当の1300tだもんなぁ・・・。あの人には本当に感心するよ。よくここまで集めたなぁってさ。」
それは本物にたとえたらの話である。
「でも実際のるのは40t位なんだから本物の1300tなんてないんだけどなぁ。」
青木さんがツッコんだ。
「そこを言っちゃおしまいでしょ。」
「・・・。」
1日目の展示はこんな感じですぎていった。
2日目。21日もそんなに客が来ない状況で展示を行った。
その後片付け。長方形に並べた机を元通りに並べなおす。端が2列席で、真ん中が3列席だといった。その通りに直して、直し終わると、今度はプラレールのほうを元通りに直す。
「おい。ちょっと大きな音するから、鼓膜敗れる準備しとけ。」
瀬戸学院の猪谷さんがそう声をかける。
「よし。行くぞ。」
同じく瀬戸学院の真鶴さんがプラレールタワーに手をかけ、
「あーっ。」
と言って倒す。その声は当然裏声だ。
「さぁ、集めろ。集めろ。」
アヤケン先輩が声をかけ、バラバラになったプラレールをある一定の規則にのっとり片付けていく。
「おい。醒ヶ井。電池だ。飲め。」
と言ってアヤケン先輩は大量に入った乾電池を飲まそうとする。
「やめてください。死にます。」
「バカ。死ぬための麻酔薬に決まってるだろ。安心して飲め。」
「安心できません。」
とこんな感じで片づけを続けた。
その片付けが終わると僕たちが展示していた部屋に戻り、
「お疲れ様です。それではここで解散いたします。」
とアド先生が声をかけた。
「アド先生。」
僕は入口のほうに歩いていくアド先生を呼び止める。この展示で思ったことをそのまま口にした。
「キラキラ展の時にスピーカー持ってったらどうですか。」
「・・・。」
「多分、盛り上がると思います。」
今僕の頭にはそれしかなかった。その後キラキラ展までの間にこれが通ったことを知ることになる。
今回からの登場人物
瀬戸学院の人々
膳所茂 誕生日 1989年7月15日 血液型 A型 身長 170cm
猪谷恵也 誕生日 1989年11月27日 血液型 O型 身長 172cm
真鶴彰人 誕生日 1989年12月21日 血液型 A型 身長 169cm
今回は岸川学園
宿毛佑真。
土佐くろしお鉄道宿毛駅。
玉名恵美。
鹿児島本線玉名駅。
新城隆彰。
飯田線新城駅。
希望輝。
東海道・山陽新幹線の「のぞみ」。
大垣隆治。
東海道本線大垣駅。
長浜恵。
北陸本線長浜駅。
坂田篤士。
北陸本線坂田駅。
永原萌。
湖西線永原駅。