86列車 披露と大好き
タイトルの付け方が・・・。変えないと・・・。
3日目。今日は自由行動。長浜、大垣、坂田、醒ヶ井、宿毛と僕で長崎市内を研修する。バスに乗っていくことになっていたが、その出発するバスに間に合わなかったため別のバスで長崎に向かうことになった。
その道中の途中で長崎の線路がたくさん見えてくる。ホームはその線路群の向こう側に配置されていて、ここは車庫の状態になっている。
「いるのはキハ200・・・。「シーサイドライナー」と「黒い子」と・・・。」
止まっている車両のことを醒ヶ井に聞かれたため、答える。
「へぇ、電車のこと詳しいんだね。」
ちょうどバスを運転していた人がそう言ってきた。
「はい。こいつ電車のことメチャクチャ詳しいですよ。」
「なんかアナウンスとかできるの。」
「えっ。出来るには出来ますけど・・・。」
ちょっと語尾を濁らせたが自分のアナウンスを披露することになった。当然台本はない。
「じゃあ、始めます。」
まず始めると宣言する。そしたら、本命に入った。
「ご乗車ありがとうございます。今日もJR東海、ご利用いただきまして、誠にありがとうございます。この列車は新快速。米原行きです。途中停車駅は豊橋までの各駅と、蒲郡、岡崎、安城、刈谷、大府、金山、名古屋、尾張一宮、岐阜と、岐阜から終点米原までの各駅に止まってまいります。列車は8両編成です。お手洗いのあります車両は1号車と3号車です。運転手、長浜、車掌、永島が途中豊橋までご案内をいたします。次は高塚、高塚です。」
「なんで運転手が俺なんだよ。」
終わるとすぐにツッコまれた。
「固いこと言うなって。」
「すごいなぁ。・・・他のもできる。」
運転手は興味ありげに聞いてくる。それにはもちろんと答えた。結局もう一度言うことになる。
「ご乗車ありがとうございます。今日もJR西日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この列車は新快速、米原方面、長浜行きです。途中停車駅は加古川、西明石、明石、神戸、三ノ宮、芦屋、尼崎、大阪、新大阪、高槻、京都、山科、大津、石山、草津、守山、野洲、近江八幡、能登川、彦根、米原、米原から終点長浜までの各駅です。列車は12両編です。前より8両新快速、長浜行き。後ろより4両新快速米原行きです。お手洗いのあります車両は前より5号車と後ろより1号車です。なお、4号車と5号車の間、車内からの通り抜けできません。あらかじめご了承ください。運転手、坂田、車掌、永島が途中大阪までご案内をいたします。次は加古川、加古川です。」
補足するが、今この新快速は石山~草津間の南草津が停車駅にくわえられている。
「よくそう、台本なしで言えるな。」
「これぐらいふつうだよ。どんなアマでもこれぐらいは言えるさ。大体アナウンスなんてマニュアル化してるんだから。」
マニュアル化しているというのは本当だ。例えば切り口。これは大体同じ。そのあと快速・新快速・特別快速・急行・特急なら停車駅を告げていく。他に停車予定時刻を告げるのもある。
その後長崎で下してもらい。自由行動で研修するところをまわる。研修の途中で何度も長崎市電を使うことになるのだが・・・。
路面電車は運転室を客室は分けられていない。簡易的な仕切りがあるだけである。運転士は布らしきもので覆われた向こうにいるのだが、よくその運転操作が聞こえてくる。
「カチャ、カチャ、カチャ、カチャ。」
マスコンを一気に入れた。
同時に床から「ゴォォォォォ。」っという音が唸りを上げる。
(なんだよ。ここは吊り掛けしかいないのか。)
さっきから乗っている車両は古いということもあるが、全部うるさい。時に新しいそうな車両にも乗るのだが、それも多少うるさい。LRTのような完全に新しい車両は研修中見ただけで乗ることはなかった。
ここで出てきた単語を説明する。「吊りかけ」とはモーターの設置方式の一つ。よく「吊り掛けモーター」と言うが、これは「モーター」の意味はない。あるとすれば、そのように設置されている「モーター」のことを言っているのかもしれない。
話がそれたが、「吊り掛け式」とはどういうモーターの設置をしているかというと車輪のギアに対して、モーターのギアが直結されていることを言う。今発達している「カルダン式」とは違いコストを抑えられる。だが、台車にかかった揺れがじかにモーターに伝わってしまうため、モーターの寿命は「カルダン式」よりもはるかに短い。
もう一つのLRTとは「超低床車」のことを言う。基本路面電車のことを言っているわけだが、詳しく言うと路面電車の中でも道路すれすれに床がある車両のことを言う。世界的に今このLRT、もしくは路面電車が地球環境にいいとされ見直されている。
これは余談だが、浜松にもLRTを建設するという計画がある。
路面電車に揺られ、回るところをまわり終えてしまったら長崎に戻ってくる。長崎で待っても2時間以上まだ時間がある。広いところに来て、長崎駅のほうを見てみた。
「・・・。」
目の前に止まっているのは白く丸い鼻の車両。
「醒ヶ井。「かもめ」が止まってるぞ。」
醒ヶ井に声をかける。
「長浜。ちょっと待って。」
醒ヶ井は長浜に声をかけて、二人でそっちに向かった。
近くまで来ると広場とホームは当然だが、改札で分断されている。そして、中を見てみれば、
「留萌。」
留萌を呼んでこちらに来てもらう。
「留萌何してんの。」
「何してるって。かわいい「かもめ」を撮ってただけだよ。」
(かわいい「かもめ」ねぇ・・・。)
「どうした。140円払って入ってくればいいじゃん。」
「いや、ちょうどだし、留萌こいつ撮ってくんない。」
「別にいいけど。」
留萌に了承を得たので、自分の携帯をズボンのポケットの中から取り出す。カメラ機能を起動させて、
「撮ってくんない。ここの真ん中のボタン押せば撮れるから。」
「わかった。」
留萌は僕から携帯を受け取り885系のほうに歩いていく。数秒後戻ってきて、
「こんな感じだけど。」
と言って僕に見せた。
「ありがとう。」
「俺も頼む。」
というと留萌は右手を差し出した。
「撮影料1000円だ。」
「はっ。入場券で入ったほうがよっぽど安上がりじゃないか。」
「ほらほら。撮って欲しかったら1000円払えって。」
「お前なぁ。」
醒ヶ井はそういうとどっかに行って、長浜たちがいるほうに歩いて行った。
「お前はもうお見上げとか買い終わったのか。」
「勝った身決まってるでしょ。もう回りきったからここにいるに決まってるじゃん。」
と言って僕にその袋を見せた。
それから僕は留萌と別れて、お土産を階に行った。自分用には携帯ストラップでカステラのキャラクター。後は適当に家のものとかを買った。それが終わると本当に暇になる。結局留萌のいたところに戻って、また留萌と雑談。その後入ってきた783系「かもめ」と気動車のハウステンボス塗装になっている車両を留萌に撮ってもらい、そろそろ集合時間となった。
集合時間に今度は集合できたため、ホテルに直行。またおなじみの反省・感想を書いて、提出。
その日の夜。僕は3枚も絵に送った。本文には友達に撮ってもらったと付け加えた。
4日目。今日はハウステンボスと明太子作り・・・。
ハウステンボスに到着したときは783系の「特急ハウステンボス」が撮れるかと思ったが、ハウステンボスと駅は思った以上に離れていたため、すぐにあきらめた。
辛子明太子づくりでは普段体験することができない明太子づくりを体験。食べるととても辛いらしいが、僕は辛いものが苦手である。これは父さんかじいちゃんか駿兄ちゃんが食べるだろうと思いながら作った。
それを終えたらホテルに。ドアを開けるととても狭いことにびっくりした。去年来た臨地研修でもこんなに狭い部屋には止まっていない。こういうときに都会の狭さというものを実感する。
というような感じで4日目も終了。
5日目。太宰府天満宮に行ったあとに博多に赴く。
太宰府天満宮ではおみくじをひいたり、お参りしたりした。引いたおみくじは大吉と吉。待人に目が行った。
一つは「来ます」、もう一つは「後に来る」。
恐らく自分は「後に来る」というほうを信じたほうがいいかもしれない。
それがすんだらよいよ帰路に就く。
博多の新幹線改札口を通り抜けたのは13時40分ごろだと思われた。僕は集合しているとき電光掲示に目が行った。それ以外目が行くところはないのかと聞かれると無いと答える以外ないだろう。
(14時04分「ひかり566号」新大阪行き・・・。)
「ひかり」の文字の下に「レールスター」と踊っている。
その後自由に行動していいと聞かされたので、僕は走ってそのホームに向かった。上がるともうすでに「レールスター」はいた。ホーム中ほどにある8号車に行って写真を撮る。残念ながら、光っていたのはヘッドライトではなくテールライトだった。
それを撮って戻ってくる。集合がかかったのは14時15分。それをし終わったら「のぞみ42号」に乗車するため、ホームに上がる。
階段を上って博多南方面を見てみた。すると向こうにはヘッドライトがあるのがすぐに分かる。歩いているうちにそのヘッドライトはゆっくりとこちらに近づいてくる。その近づいてくる車両を直感した。
安全策に近寄り、そのシルエットが本当にそれか確認する。本当にそれだ。すぐに携帯を出して、カメラ機能を起動する。もうすでに相手は動いている。間に合うか・・・。間に合わないか・・・。
幸いにも100系の通過より先に携帯電話を構えることができた。こうなれば、半分はこっちのものだ。
決定ボタンに指を置く。
(来い。100系・・・。)
近づいてくるのはフレッシュグリーンという色をまとった100系。100系なら白に青いラインのオリジナルカラーがよかったが、そんなこと言っている場合ではない。
100系が近づいてくる。近づいてくる。
(今だ。)
と思った時に決定ボタンを押した。
下手に携帯を追わせないほうがいいと考えそのままにする。
僕の横を通過する。
撮った写真が表示される。
決定ボタンを押してすぐに保存する。
後ろを構えるかかまえないか一瞬迷った。
携帯を走り去っていく方向に向けて、構える。
(さようなら・・・。もう二度と君に逢うことはない・・・。)
誰かがそう言っているように聞こえた。だが、だれもそんなこと言っていない。
それが僕が手をかけ、押そうとしたことをさせなくなった。
(二度と逢うことはない・・・。どういう意味だ。・・・。そんなことどうでもいいか。)
「俺はお前のことが大好きだー。」
両手を口元に当てて、こう言う。
(えっ。・・・。)
(対象が違うだろ。)
(成程な。)
(・・・。なんかすごく悲しそうだった・・・。二度と逢うことはないかぁ・・・。確かに。そうなんだろうけど・・・。)
(さようなら。君たちにはとってもお世話になったよ。ありがとう・・・。)
そのすぐあとが入線してくる。乗りこむと結果またD席だったため、すぐにデッキに向かった。新大阪到着アナウンスが入るころまでデッキに居続け、「ひかり482号」がくるまでまた立つ。
「ひかり482号」の到着は「のぞみ42号」の降りたホーム向かい側25番線。ここから発車する。さっき岡山に停車したとき反対側のホームにいた車両が「482号」なのだが、さっきはよくその車両を見ていなかった。なので、これから来る車両がなんなのかわからない。
17時40分。25番線に到着した新幹線は300系。これもだんだん数が少なくなってきている車両である。これに最初に乗った時は気が高ぶったものだ。それは京都に行った時で息が0系だった。
席にかけるとまたもD席。結構前から言っているがD席には何の用もない。デッキに行って外を見た。
車内を見てみればほとんどの人が眠りについている。全員眠いのは分かるが、自分は寝たら負けである。息とさっきの「42号」と同様留萌も交えて外を見ていた。新大阪を発車する時もうすでにあたりは暗くなっていたため、暗闇の中にある家の電灯と近くの高速道路を走る車のヘッドライトしか見えない。だが、楽しむものはこれだけではないのだ。
外に押される感覚を覚えるとき、
「留萌。今のなに。」
「700系。」
「だろうなぁ・・・。」
「はぁ。東海もだんだん面白くなくなってきたなぁ・・・。」
「・・・。」
そんなこんなで浜松まで帰ってきた。
引き続き今回もキャラクターの由来とかまぁいろいろ。
木ノ本榛名。本作では坂口と永島のキューピットの役割を果たしています。
彼女の名字は北陸本線の木ノ本駅に由来しますが、名前のほうは長野新幹線の安中榛名ではありません。名前の榛名は僕が中学生の時に興味を持った旧日本海軍の金剛型高速戦艦3番艦榛名に由来します。