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MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:2
82/184

82列車 最後には最後なりの

 17時00分。東海道本線(とうかいどうほんせん)の乗り場に行く。僕達の乗る列車17時16分発の車両はまだ10番線に来ていない。これからは浜松(はままつ)まで戻るために帰路(きろ)に就く。ここまで来ると全員の(つか)れも頂点(ちょうてん)に達する。全員荷物を置いて体を伸ばしていた。しかし、17時06分。僕達の乗る列車がやってくるとそれまでの休息(きゅうそく)はうその様に忙しくなる人もいる。そういう人、みんなでその車両の前に押し掛けその車両を写真に収める。来た車両はE231系でも211系でもなかった。E217系という車両である。この車両は横須賀線(よこすかせん)の方で活躍(かつやく)している車両で東海道線では活躍していない。だが、このように少数ではあるものの東海道線で活躍(かつやく)しているのもある。

 E217系に乗ると、

「それじゃあシナ先生。決着をつけましょう。」

第3回鉄道シバリしりとり大会開戦である。しかし、3回目は人の多さに(はば)まれて速攻(そっこう)で中止になった。それでも、品川(しながわ)までは持った。そして、佐久間(さくま)達はというと発車間際(はっしゃまぎわ)になって戻ってきた模様で東京(とうきょう)を発車してすぐの車内で見ることができた。

 この列車の中では全員ばてていた。醒ヶ井(さめがい)はバトルアーマーの本を読みながら眠りに入っている。木ノ本(きのもと)PFP(ピーエフピー)の電車でGO(ゴー)!を進めている。佐久間(さくま)夢前(ゆめさき)はグリーン車でくつろいでいると言っていたし、箕島(みしま)も起きていれなくなったようで眠っている。留萌(るもい)はどこであれを買ったのだろうか。「鉄道ジャーナル」に目を通していた。中学生の方はというと大嵐(おおぞれ)が運転室の後ろから真剣(しんけん)な目つきで前を見ている以外は席に座って寝ているか、ゲームをしているかのどちらかだった。他にこの車両に乗っているのは北石(きたいし)潮ノ谷(しおのや)である。OB・OGとハクタカ先輩、(くすのき)先輩、柊木(ひいらぎ)(はやぶさ)、アド先生は隣の2号車にいる。もちろんむこうで何をしているかなんてわからない。そして、僕はというと第3回の続きをシナ先生とやりあっていた。

永島(ながしま)さん。僕も混ぜてもらえませんか。」

運転室の(かたわ)らで前を見続けていた大嵐(おおぞれ)がいつの間にか僕の前に来ていた。

「いいよ。」

僕は大嵐(おおぞれ)が座れるようにシナ先生との間を開けた。

 大嵐(おおぞれ)も混ぜてやったしりとりは熱海(あたみ)到着前に終了した。終了といっても決着がついたわけではない。相変(あいか)わらずよく続くものである。

 熱海(あたみ)到着直前6号車付近まで車内をつたっていった。途中の4号車と5号車のグリーン車を拝見(はいけん)して、6号車の方に抜けた。熱海(あたみ)に到着すると片側56枚の扉が一斉に開きホームにどっと人があふれる。その人の間をかいくぐり隣のホームに停まっているJR東海の車両に乗り込む。211系の5000番台。ここまで来ると戻ってきたという感覚がわく。

永島(ながしま)。シナ先生。いい加減あれの決着付けましょうよ。」

留萌(るもい)がさっきまでやっていたしりとりの続きをやろうと言った。

「そうですね。永島(ながしま)先輩とは()()()がありますから。」

北石(きたいし)もそれに乗ってくる。

「僕達も混ぜてよね。」

そう言ったのは柊木(ひいらぎ)だった。

「今度はさっきみたいにパスしないんだから。」

今のっていた列車の中で対策でもしたのだろうか。(はやぶさ)が自信満々(じしんまんまん)で言う。

「私もやるよ。」

木ノ本(きのもと)も話に参加してきた。その後は諫早(いさはや)(そら)(かわ)朝風(あさかぜ)も誘い第1回からの参加人数は一人増えたことになった。

 しりとりの方式は濁点(だくてん)半濁点(はんだくてん)の取り外し可、同じものは2回以上使用してはいけないそして、鉄道に関係すれば建造物(たてもの)であろうとテレビ番組であろうと関係ないというルールに(のっと)って行われる。今度のまわり方はさっきよりも早かった。全員対策でもしたのだろう。

瀬戸大橋線久々原(せとおおはしせんくぐはら)。」

次は木ノ本(きのもと)のターンである。

「「ら」かよ。さっき「雷鳥(らいちょう)」は出たし、「ライラック」はもういっちゃったし・・・。」

木ノ本(きのもと)は「ら」の切り返しに困った。困るのは当然だろう。木ノ本(きのもと)にはもう後がないのだ。

「あっ。一ついいの思いつきました。」

大嵐(おおぞれ)がつぶやいた。木ノ本(きのもと)の次は大嵐(おおぞれ)である。

大嵐(おおぞれ)(なに)。」

(はやぶさ)が興味を示した。大嵐(おおぞれ)(はやぶさ)の右耳に手を当て小声でそれを言った。

「ああ、確かにそうだね。」

自分の頭の中にも浮かんできた。確か、近鉄(きんてつ)には「(らく)」という車両がある。

「こんな簡単なの思いつかないのかな。」

留萌(るもい)があきれて言う。

「さくら、うるさい。」

両手で頭を抱えているが何も浮かんでこない。

「・・・。だめだ、負けた・・・。パス・・・。」

初めてのスリーパスによる脱落である。

()たー。」

大嵐(おおぞれ)が嬉しそうに言う。

南海電鉄(なんかい)「ラピート」。」

「それかぁ。」

木ノ本(きのもと)は声をあげた。

「だから言ったじゃん。こんな簡単なの分からないのかって。」

「今言われてみればそうかも。一種の簡単すぎて難しい問題ってやつだよ。」

沼津(ぬまづ)に着く間に、脱落したのは木ノ本(きのもと)だけで他はクリア。いつかは決着がつくはずなのに決着がつかない。どういうしりとりなのだろう。

 沼津(ぬまづ)には19時28分に着いた。ここからは一気に浜松(はままつ)まで帰る。JR東海静岡圏(しずおかけん)快速(かいそく)列車「ホームライナー」のお出ましである。その前に夕食である。ほとんどの人は夕食の調達(ちょうたつ)に行ったが、僕は何も食べる気がしなかったため、そのままホームに残った。夕食の調達から戻ってくるとそれをほおばる。もちろん行儀(ぎょうぎ)が悪いのなんの言っている場合ではない。夕食を食べ終わった人たちからまた、さっきの続きである。さっきまでの結果は再びリセット。また1からの勝負である。

 19時43分。「特急あさぎり7号」沼津(ぬまづ)行きが入線する。この臨地研修、最後に乗る車両は371系である。371系は東京(とうきょう)新宿(しんじゅく)静岡(しずおか)沼津(ぬまづ)を結ぶ特急「あさぎり」のために製作された車両で、「カシオペア」のE26系客車と同様1編成しか存在しない。白を基調(きちょう)とした屋根の高い車体が自分の前に横たえられる。

 371系のプラグドアが観光バス(バス)のドアのように開いた。「あさぎり」にここまで乗ってきた乗客が下車する。乗客全員が降車し終わると次に乗り込むのは清掃員(せいそういん)である。車内の清掃がし終わると僕達が乗り込む。座席は発行された切符が指定するところに座った。うまいことにしりとりをやるメンツが固まって座った。こうなれば「ホームライナー浜松(はままつ)5号」が発車するのを待たずして、開戦である。

20時00分。「ホームライナー浜松(はままつ)5号」がカクンと揺れて沼津(ぬまづ)を発車する。沼津を発車して「ホームライナー」は富士(ふじ)清水(しみず)静岡(しずおか)藤枝(ふじえだ)島田(しまだ)菊川(きくがわ)掛川(かけがわ)袋井(ふくろい)磐田(いわた)の順に止まる。1時間39分の最後の旅路である。

静岡(しずおか)でナヨロン先輩と別れる。そしてこちらはまだ先を目指す。

しりとりは当然のことながら続いている。今は大嵐(おおぞれ)のターンである。

M車(エムしゃ)。」

次は諫早(いさはや)の順番である。

谷地頭(やじがしら)。」

「「らうす」。」

北石(きたいし)にはまだラ行の持ちネタがあったらしい。僕も「らうす」という列車は知らなかった。

鈴鹿(すずか)。」

空河(そらかわ)木ノ本(きのもと)に順番をまわす。

神田(かんだ)。」

玉名(たまな)。」

(はやぶさ)柊木(ひいらぎ)にまわす。

寝台特急(ブルトレ)の停車駅、(つえ)ぇなぁ。「特急南紀(なんき)」。」

「「き」・・・「き」ねぇ・・・。キハ82。」

立て続けにディーゼルカー関連を使われる。

柊木(ひいらぎ)潮ノ谷(しおのや)も俺のジャンル使うなよな。」

北石(きたいし)が文句を言った。

荷物室(にもつしつ)。」

朝風(あさかぜ)が続けた。

「こういうとき自分の名前っていうのは強いですねぇ。「つばめ」。」

今回のしりとりには夢前(ゆめさき)も参加している。パスは今のところ0回だ。

目白(めじろ)。」

シナ先生もすぐに自分のターンを終わらせた。

六甲(ろっこう)ライナー。」

留萌(るもい)もすぐに終わらせる。

最後は僕だ。

「「寝台特急(しんだいとっきゅう)あさかぜ」。」

これでまた大嵐(おおぞれ)に戻る。

こんなことをしている間にも「ホームライナー」浜松(はままつ)に向けてコマを進めている。21時35分。あと4分ほどで終点浜松(はままつ)に到着する。

永島(ながしま)さん。このしりとりにふさわしい終わらせ方するから次まわってきたら「し」でまわしてください。」

諫早(いさはや)がそう言うので、

「行くぞ、諫早(いさはや)高槻市(たかつきし)。」

言うには言ったが、このしりとり最高の終わらせ方って何なんだろうか。

終点(しゅうてん)。」

しりとりをやっていた人全員が「ああ。なるほどね。」と言った。確かにこれの最後に一番ふさわしい終わらせ方なのかもしれない。

 21時39分。予定通り「ホームライナー浜松(はままつ)5号」は終点浜松(はままつ)に到着した。ここから10分くらいを経て僕たちは解散した。今までの中では心の中に残る一番のいい思い出になったかもしれない。


このしりとりで使った「らうす」ですが、北海道を走っていた列車名が乗っている本にぱらぱらめくって乗っていたというだけなので、実際にこの列車が設定されていたというのがこちらでも裏付けられていません。ごめんなさい。

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