表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:2
80/184

80列車 「こまち」・「はやて」と暇つぶし

次の標的(ターゲット)は「つばさ128号」東京(とうきょう)行きだ。さっきは開放するシーンだったのが今度は連結するシーンに変わる。今度は余裕を持って14番線に行く。E4系(イーフォーけい)MAX(マックス)」が先に到着(とうちゃく)し、連結器(れんけつき)収納部分(しゅうのうぶぶん)が大きな口を開け、スタンバイする。そして次に「つばさ」がやってくる。

9時15分。「つばさ128号」が福島(ふくしま)に到着した。連結をするときは開放する時と逆の動作をする。走りながら連結器収納部分(れんけつきしゅうのうぶぶん)が開き、その奥から連結器が出る。そして、連結する前に一時停車し、連結する。

(口が開くところを撮れたらいいな。)

と思っていたが、開く段階が予想以上に早かったため、今のシーンは撮ることはできなかった。そして、今回やってきたE3系(イースリーけい)は2000番台であった。この2000番台は1000番台と違い、ヘッドライトが一言でいえば笑っている。留萌(るもい)は2000番台の笑い(ヘッドライト)は「カワイイ要素」らしくE3系(イースリーけい)ならこれが好きだという。でも、僕にはどうもこの顔は合わないと思っている。その時だった・・・。

その時だった。キーンという聞き覚えのある小さく高い音が新幹線(しんかんせん)のホームに(ひび)き渡る。新幹線の本線を何かが通過する表れだ。その音を聞きつけ全員で13番線へ急ぐ。木ノ本(きのもと)留萌(るもい)柊木(ひいらぎ)はすでにカメラ、携帯(ケータイ)を構えその列車を()()せていた。

(どっちから来る。)

と思いながら、東京(とうきょう)寄りに目線を送る。

(来た。)

東北新幹線の下り線に見える、白く(するど)いライト。「つばさ」ではない。

 その列車は果たして何なのか。

 だんだんとその列車が近づき、その正体を現した。

 先頭の黒。美しい白(白い車体)に入ったピンクのライン。ラインの下はシルバー。

 この塗装(いろ)だけでわかる。「こまち」だ。

 6両編成の「こまち」の後ろに続くのはこれまた美しい白(白い車体)にピンクのライン。ラインの下はシルバーではなく(こん)。10両編成の「はやて」が「こまち」の後ろに続く。

 携帯(ケータイ)を「こまち」に向け、シャッターチャンスを待つ。

 横を時速275km/h(キロ)で「こまち」と「はやて」が通過する。

 いいときにシャッターを切ったつもりだった。だが、写真に写っていたのは、()しくもE3(こまち)の車体の側面だけだった。こんな写真には何の用もない。保存せずに消した。

「あっー。くそっー。」

同じホームでもう一人叫んでいる。叫んでいたのは柊木(ひいらぎ)だった。

「うまくいかなかったのか。」

木ノ本(きのもと)が聞いた。

「・・・。」

少し間をおいてから柊木(ひいらぎ)が大きなため息をつく。

(どうしよう・・・。)

自分の頭の中でどうするか考える。

「次の撮るか・・・。」

独り言が聞こえてきた。

(あれを失敗したら終わりだ・・・。)

 9時17分。「MAX(マックス)やまびこ128号」・「つばさ128号」東京(とうきょう)行き発車。この列車を見送ってからはこの連結開放(れんけつかいほう)を取りに行っていないシナ先生と「こまち」・「はやて」の撮影に失敗してしまった柊木(ひいらぎ)が再度チャンスを狙いに行っただけで、他は待合室で待っているか、まだ「つばさ」の連結開放を見に行っただけだった。

 10時20分。ここでの撮影が終了し、再び在来線ホームに足を運ぶ。ここから先は東京(とうきょう)までずっと普通である。10時27分。東北本線(とうほくほんせん)、上り、普通(ふつう)郡山(こおりやま)行きが福島(ふくしま)を発車する。この列車も701系通勤電車だった。また、この車両だったため、留萌(るもい)が文句を言っていた。

 普通列車に乗るとすぐに暇になり、全員持ってきたゲームや本にはしった。しかし、それをしない人もいる。木ノ本(きのもと)は持ってきた電車でGO(ゴー)!POKET(ポケット)寝台特急編(ブルトレへん)の全クリを目指していたようだったが、発車時(はっしゃじ)乱暴(らんぼう)操作(そうさ)をしてしまったため減点(げんてん)をくらいすぐにやめていた。僕は朝風(あさかぜ)と雑談にはしった。ネタが尽きるわけではないが、安達(あだち)辺りまで来ると、話すことにも限界が来た。なぜなら、雑談は今始まったものではないからだ。

「なぁ、永島(ながしま)。なんかやらないか。」

留萌(るもい)が聞いてきた。

「やるっていっても何するんだよ。」

やるといってもやるものがないのに困る。

「あれでいいじゃん。鉄道シバリのしりとり。」

僕の前に座っていた木ノ本(きのもと)がその話に入ってくる。

「面白そうだね・・・。」

シナ先生もその話に入ってきた。

「でしょ。さすがシナ先生、分かるぅ。」

 その後は参加者を(つの)った。第1回鉄道シバリしりとり大会はシナ先生、空河(そらかわ)朝風(あさかぜ)永島(ながしま)木ノ本(きのもと)柊木(ひいらぎ)(はやぶさ)大嵐(おおぞれ)北石(きたいし)潮ノ谷(しおのや)の順番で回ることになった。醒ヶ井(さめがい)は鉄道知識がないためすぐにギブアップすると言って参加しなかった。

「じゃあ、もうすぐ二本松(にほんまつ)に停まるから二本松(にほんまつ)から始めようか。」

シナ先生が戦い(しりとり)の火蓋(ひぶた)をきる。

「「つ」、ですか。「つ」、「つ」・・・津和野(つわの)です。」

「「の」・・・。「能登(のと)」。」

「「と」・・・。じゃあ、「特急はまかぜ」、鳥取(とっとり)行き。「り」。」

「「り」・・・。東海道本線(とうかいどうほんせん)琵琶湖線(びわこせん)栗東(りっとう)。「う」。」

「「特急うずしお」。」

「「お」・・・。音鉄(おんてつ)。」

鶴岡(つるおか)。」

「「カニカニはまかぜ」。」

瀬田(せた)。」

まず1順目は普通にクリア。これから先はある意味苛酷(かこく)になる。ふつうのしりとりと違うため、自分の持っている持ちネタが勝負どころになる。2順目は「た」から。ここもふつうにクリア。本宮(もとみや)まで来る間に何回自分に回ってきただろうか。ネタが()きたわけではないが一人一人の考える時間が長くなった。ここまで来るとヒントの出しあいと心の読み合いが始まる。

「この車両についてるよな。」

僕が「も」に対するヒントを出した。今は柊木(ひいらぎ)に順番が回っている。

「確かについてますけど、今モーター(それ)は使いません。」

柊木(ひいらぎ)ヒント(それ)はあくまで最終兵器(さいしゅうへいき)だと言った。

「くそ。いいネタが浮かばない。モハ。」

次は(はやぶさ)のターンだ。

「「は」か・・・。」

(はやぶさ)が考え込んだ。

「ブレーキシステム。」

留萌(るもい)がヒントを出す。言いたいことはたぶん「発電(はつでん)ブレーキ」のことだろう。

盛岡(もりおか)函館(はこだて)間の特急。」

僕もヒントを出した。ちなみにこの列車の名前は「はつかり」である。

寝台特急(ブルトレ)。」

今度は柊木(ひいらぎ)だ。

「乗ってきたよね。」

こんなことも分からないのかという顔で木ノ本(きのもと)が言う。

「あっ。なるほど。「白鳥(はくちょう)」。」

ここまで来て思いついたようだ。これを言ったと同時に柊木(ひいらぎ)は「そっち。」と言っていた。彼が言いたかったのは一緒に徹夜した「寝台特急(しんだいとっきゅう)はくつる」か、彼女の名字の「寝台特急(しんだいとっきゅう)はやぶさ」のことだろう。

黒部峡谷鉄道(くろべきょうこくてつどう)宇奈月温泉駅(うなづきおんせんえき)。」

大嵐(おおぞれ)はすぐにその返答を返した。

「「き」ねぇ。」

「き」から始まる特急列車、駅名はたくさんある。僕もポンと浮かんでくるものは言われている。今浮かんでくる駅名は「北陸本線木ノ本駅(ほくりくほんせんきのもとえき)」である。

鬼怒川(きぬがわ)。」

シナ先生が思ったのは鬼怒川(きぬがわ)だった。

和寒(わっさむ)。」

空河(そらかわ)が両手を広げ、その後腕を交差させ、いかにも寒そうな動作をする。なんと空河(そらかわ)が言いたかったのは「わっ、サム。」と「和寒(わっさむ)」をかけたギャグである。

「確かにあるねぇ。」

どうやらその駅の存在を他に知っていたのは僕だけだったみたいで、他はそんな駅があるだと感心していた。

「「む」・・・。「む」から始まる奴、なんかあったっけ。」

朝風(あさかぜ)がそう言い考え込むと、

「台風のニュースでよく放映される室戸岬(しこくのみさき)。」

僕はそんな雑知識も()()ぜてヒントを出す。これで通じればある意味すごい。

「成程。「むろと」。」

どうやら通じてしまったようである。

「また「と」かよ。」

自分でヒントを出しておきながら、文句を言った。

戸倉(とくら)。」

文句を言ってすぐ切り返す。

「「ら」か。「特急ライラック」。」

木ノ本(きのもと)はあっという間に自分のターンを終わらせる。

(くれ)。」

柊木(ひいらぎ)もすぐに自分のターンを終了させる。

「おい、ちょっと待て(つばさ)。よりによって一番難しいラ行で来るなんて・・・。」

ラ行で終わったことに(はやぶさ)が文句を言った。

「そうか。ラ行は確かに少ないけど、「れ」だったら答えやすいと思ったんだけど・・・。」

「確かに。」

柊木(ひいらぎ)の言葉に僕は納得した。

「「れ」なら、昔北海道を走っていた「礼文(きゅうこう)」があります。」

北石(きたいし)がヒントを出した。北石(きたいし)の言う急行は「礼文(れぶん)」のこと。確かに96年の時刻表にはまだその列車が載っている。ただ、これをそのまま言うとゲームオーバーになってしまう。ここは「礼文号(れぶんごう)」にしろというある意味のメッセージだろう。

「そんなのよりもっと簡単なヒントがあるだろ。例えばレール(これ)がなきゃ電車は走れないんだからさぁ。」

ヒントの難しさに柊木(ひいらぎ)がため息をついた。

「これのJR内での列車番号(コールドネーム)。」

木ノ本(きのもと)もヒントを出す。

「そう言えば、榛名(はるな)達って去年「ひかりレールスター(あれ)」に乗ったんだよなぁ。」

留萌(るもい)がもう一つヒントを出す。

「君たちは乗れたんだよねぇ。私も行きたかったよ。」

去年の臨地研修に参加していないシナ先生がうらやましそうに言う。

「あっ。そういうことか。」

ここまでヒントがでなければ答えられないのだろうか。それとも(はやぶさ)の持ちネタが少ないのか。

「「ひかりレールスター」。」

「そっちかぁ。俺の思ってた方とは違うなぁ。」

北石(きたいし)が言う。

「いや、ふつう「礼文(あれ)」は出てこないって。」

柊木(ひいらぎ)がツッコミを入れた。

 列車が郡山(こおりやま)に到着する。到着したらしりとりは中断するかと思うのは大きな間違いである。停戦するのは乗り換えの途中だけで、乗り換えが完了すればまた始まる。次は潮ノ谷(しおのや)スタートだ。

中央本線(ちゅうおうほんせん)「特急あずさ」。」

この切り返しに柊木(ひいらぎ)が、

「そういや、お前の好きな人の名前「あずさ」だったな。」

昔の話を引っ張り出した。

(だま)れ、(つばさ)。」

潮ノ谷(しおのや)が荒い口調で言う。

「「さ」ねぇ。日豊本線佐伯(にっぽうほんせんさいき)。」

「「き」ですか・・・。紀勢本線紀伊有田(きせいほんせんきいありた)。」

武生(たけふ)です。」

朝風(あさかぜ)が「ふ」で切り返した。

「「ふ」かぁ。」

といって考え込んだ。

「ラベンダーの産地。」

北石(きたいし)がヒントを出した。

「成程。「|フラノラベンダーエクスプレス(あれ)」か「富良野駅(あっち)」ですね。」

北石(きたいし)のヒントに空河(そらかわ)が答える。

富士(ブルトレ)にもあるな。」

木ノ本(きのもと)が続ける。

「・・・。」

僕はこのターンで「寝台特急富士(しんだいとっきゅうふじ)」を使う気はなかった。

「VVVFインバーター(これ)もありますね。」

(はやぶさ)が音鉄らしい答えを思いついたらしい。しかし、これも使う気はない。

「さっきまで「つばさ」を見てきましたよね。」

柊木(ひいらぎ)が言う。ここでピンときた。

「よし、こいつだ。」

(「富士(ふじ)」か。「VVVF(ブイブイブイエフ)インバーター」か。それとも「福島(ふくしま)」か。)

左手の人差し指を立て、木ノ本(きのもと)に向けた。

福井(ふくい)。」

福井(ふくい)かぁ・・・。そう来るとは思わなかったわ。」

「確かにありますねぇ。」

大嵐(おおぞれ)が感心したように言う。

「でも、ここでパスするわけにはいかないからな。「いでゆ」だ。」

「「ゆ」ですか。「ゆ」ならまだ出てない寝台特急(ブルトレ)があります。「ゆうづる」。」

柊木(ひいらぎ)が「ゆうづる」で渡すと(はやぶさ)(なげ)いた。

「「る」って。「る」から始まるのって無いよう。」

「だめだ。何も浮かばない。パス。」

ヒントも出たがはやぶさにはなにも思いつかなかったらしい。ここで初めてパスが出た。

「えっ。「る」。」

大嵐(おおぞれ)にまわる。

「僕もパスです。」

二人連続でパスした。

「まぁ、「る」から始まる駅なんて二つしかないから、無理もないかもなぁ。留萌(るもい)。」

北石(きたいし)が自分の雑学を入り混ぜた。

名鉄伊奈(めいてついな)。」

「「な」かぁ。南海電鉄(なんかいでんてつ)。」

東海道線辻堂(とうかいどうせんつじどう)。」

身延線内船(みのぶせんうつぶな)。」

難波(なんば)。」

その後はこんな感じで進んでいった。


考えるのが大変なんですよ。このしりとり。

僕たちも実際やりましたけど、やり始めると続くものなんですよ。パスはあってもゲームオーバーは無し。どうでもいい快挙を成し遂げています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ